要望書:8月10日の意見聴取会に向けて大飯原発の断層再調査に関する要望書

  • 以前の調査で「活断層ではない」と判断した会社が
    再調査を行うことは認められません
  • 再調査の信憑性を保証するために
    活断層学会等が推薦する第三者の専門家の立ち会いのもとで
    再調査・評価を行ってください

地震・津波に関する意見聴取会 委員各位
経済産業大臣 枝野幸雄 様
原子力安全・保安院長 深野弘行 様

 大飯原発の断層再調査が決定しました。先の7月31日の意見聴取会では、関西電力の再調査の計画について、多くの委員の皆さんから意見が出されました。ボーリング調査を中心とする関電の計画に対して、活断層であるかどうかを判断するためには 「ボーリングで決着するのか。トレンチ調査が必要」なこと、トレンチを掘る位置についても「F−6を確実にとらえる場所を選定すること」等の重要な指摘がなされました。

他方、この再調査の実施主体については、委員の皆さんからからは意見がありませんでした。また、意見聴取会終了後に報道関係者からの質問に対して、保安院の黒木審議官は「再調査の実施主体については事業者にまかせている」と語りました。

前回の要望書にも書いたように、今回トレンチ調査を行うのは、建設前にトレンチ調査を実施した会社と同じ(株)ダイヤコンサルタントです。ご承知のように、この会社は三菱マテリアルのグループ企業であり、大飯3・4号を建設した三菱重工と同じく三菱系の企業です。そして、F−6断層について「活断層ではない」と判断した会社です。F−6断層が活断層である可能性が指摘され、社会的に大きな関心事になっているときに、このような会社に再度調査を任せることが許されていいのでしょうか。「念のための調査」を繰り返す保安院の姿勢からは、既に結論が用意されているかのようです。

私たちは、断層再調査において、その信憑性が保証されることがまず重要であると考えます。福島原発事故によって、これまでの国と電力会社・原子力関連企業、さらに国の専門家による安全審査のあり方が根本的に問われています。これらの反省もなく、これまでどおりのやり方で断層の再調査を行うなど、もはや社会的に通用しません。
 
大飯原発の断層再調査にあたっては、その信憑性を保証するために、専門家の渡辺満久氏のコメント(別紙参照)にあるように、少なくとも、「活断層学会等が推薦する第三者の専門家を立ち会わせること」が必要です。

福島原発被災者の無念と怒りの声を聞いてください。活断層の可能性が否定できないのに原発の運転が強行され不安を抱いて生活する地元や周辺住民の気持ちをくみ取ってください。官邸前に押し寄せる再稼働反対を叫ぶ人々のやむにやまれぬ行動の深層に思いをはせてください。

次回8月10日の意見聴取会で、下記を決定されるよう強く要望します。

要  望  事  項

  1. 断層のトレンチ調査の実施主体は、原子力関連会社ではなく、中立的な調査会社を選任すること。
  2. 断層の調査・評価には、信憑性を保証するために、活断層学会等が推薦する第三者の専門家を立ち会わせること。
  3. 調査方法・調査結果については、全ての情報を公開すること。

2012年8月8日

グリーン・アクション
京都市左京区田中関田町22-75-103 TEL 075-701-7223 FAX 075-702-1952

美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会(美浜の会)
大阪市北区西天満4-3-3星光ビル3階 TEL 06-6367-6580 FAX 06-6367-6581

国際環境NGO FoE Japan
東京都豊島区池袋3-30-22-203 TEL 03-6907-7217 FAX 03-6907-7219

福島老朽原発を考える会(フクロウの会)
東京都新宿区神楽坂2-19 銀鈴会館405 共同事務所AIR  TEL/FAX 03-5225-7213