関西電力のプルサーマル計画から生じる使用済MOX燃料に関する福井県への質問・要望書

関西電力のプルサーマル計画から生じる

使用済MOX燃料に関する福井県への質問・要望書


福井県知事 西川一誠 様

 関西電力は1月30日からメロックス工場でMOX燃料の製造を開始し、来年度までに高浜3・4号機でプルサーマルを実施するとしています。

私たちは、プルサーマルによって生み出される使用済MOX燃料の処理の方策について、未だメドさえたっていない状況の中、関西電力に対し「使用済MOX燃料は福井県に永久に溜まり続けるのですか?」という質問書を提出し、3月11日に大阪市内で交渉を持ちました。

 関電はその時、「2010年頃から検討が開始される第2再処理工場で再処理される予定であり、それまでの間、原発プールで貯蔵管理する」と回答しました。国の計画が遅れた場合にはどうするのか具体的な計画を説明してほしいとの質問に対しても、直接の回答はありませんでした。

 私たちは、このような関電の回答から、このままプルサーマルが実施されれば、使用済MOX燃料は永久に原発プールに溜まり続けることとなり、福井県が核のゴミ捨て場となるという危惧を強くしました。多くの人々が、このままでは核のゴミの泥沼に入り込んでいくという不安を強く感じています。

 前福井県知事は、1999年6月7日に、当時の通産大臣と科技庁長官にプルサーマルに関する「要請書」を出されました。その中では「2010年頃に方針決定される第二再処理工場で使用済MOX燃料を再処理する方針であるが、使用済MOX燃料の処理方針を具体的に明らかにすること」と要請されています。しかし、この要請から10年が経過しようとする現在も、「第二再処理工場」についてはメドさえたたず、計画は大幅に後退しています。

 また、現在関西電力がMOX燃料を製造しているメロックス工場では、3月3日に臨界安全適用の制限値を超えたプルトニウムが施設に持ち込まれました。フランスの規制当局は、アレバ社の安全管理がずさんであるとして国際的な原子力事故尺度であるINESでレベル2の事故と判定しました。1995年の「もんじゅ」事故はレベル1でした。これより深刻な状況だという判断がなされています。

 このような状況を踏まえ、貴職に質問し要望します。質問への回答を4月20日までに文書でお願い致します。


質  問  事  項

1.使用済MOX燃料の処理につい

(1)使用済MOX燃料の処理について、関西電力からはいつの時点でどのような説明を受けましたか?

(2)高浜原発の使用済燃料貯蔵プールは、リラッキンが行われています。その状態で、使用済ウラン燃料よりはるかに高い熱を発する使用済MOX燃料を長期間保管した場合の安全性についての説明は受けましたか?

(3)使用済MOX燃料に限らず、通常のウラン燃料の場合も、長期間原発内の貯蔵プールに保管しないというのが貴職の基本的立場ではないのですか?原発内プールでの保管期間について取り決めなどはあるのですか?

(4)交渉では、使用済MOX燃料の処理の方策が決まっていない現状で、なぜプルサーマルを急ぐ必要があるのかと関電に聞きましたが、「資源の有効利用のため」と答えるのみでした。この「資源の有効利用」の実態は、「世界中の全ての原発(約440基)でプルサーマルを実施した場合、ウランの可採年数が約1.17倍に延びる」ということでした。 日本のプルサーマル計画で、どれだけ資源の有効利用になるか、関電や国から説明を受けましたか?

2.1999年に前知事が国に出した要請書に関連して

(1)1999年に前知事が国に出した要請書では、「使用済MOX燃料の処理方針を具体的に明らかにすること」となっています。当時国からはどのような具体的回答があり、それについてどう判断したのですか?

(2)1999年の要請書では「2010年頃に方針決定される民間第二再処理工場」となっています。しかし、2005年に閣議決定された「原子力政策大綱」では、第2再処理工場は「2010年頃から検討を開始する」となっており、大幅にずれ込んでいます。 この遅れについてどのように判断していますか?

(3)現状では使用済MOX燃料の処理の方策(第二再処理工場)は決まっていないという認識でよいですか?

(4)2006年10月に松江市長が国に出した同様の質問書に対して、資源エネ庁は昨年12月に「2010年頃からの検討を円滑に開始するため、必要な準備を行っているところです」と一般的に答えるのみで、松江市長が質問した「第二再処理工場の操業が遅れる場合に使用済MOX燃料はどのように処理されるのか」という具体的質問には回答していません。 また、「原子力政策大綱」では、MOX燃料の処理について「六ヶ所再処理工場の運転実績、高速増殖炉及び再処理技術に関する研究開発の進捗状況、核拡散を巡る国際的な動向を踏まえて2010年頃から検討を開始する」とされています。六ヶ所再処理工場がガラス固化で行き詰まり、高レベル廃液漏えい事故では保安規定違反という厳しい判断も出され、「もんじゅ」は排気ダクトの腐食問題などで運転再開の目処さえたっていません。  10年間のこのような変化を踏まえて、使用済MOXの処理をどうするのかについて、国から具体的な説明がありましたか?また、貴職から説明を求められましたか?

(5)このままプルサーマルが実施されれば、使用済MOX燃料は原発サイトに永久に保管されます。現状では、県民をはじめ多くの人々を不安におとしいれるようなプルサーマルを開始すべきではないと思いますがいかがですか?

3.メロックス工場でのレベル2の事故について

(1)3月に起きたメロックス工場での臨界安全適用違反の事故について、関電や国から情報提供や説明はありましたか?この事故は、関電のMOX燃料製造に関係するものではないのですか?

(2)今回のレベル2の事故は、MOX燃料製造過程の一次混合で起きたのですか?関電は、メロックス工場の品質保証活動の確認は、二次混合から行うとしています。この関電の確認では不十分ではないですか?

(3)国際基準でレベル1の「もんじゅ」事故より深刻な今回のレベル2のメロックス工場での安全管理のずさんさに関して、国や関電に情報を公表させるべきではありませんか?

要  望  事  項

1.使用済MOX燃料が永久に原発内プールに溜まり続けることは、一層やっかいな核のゴミの泥沼に入り込むことになります。そのため、プルサーマル計画を中止するよう関電に要請してください。

2.BNFL事件にかんがみ、今回のレベル2の事故について国が直接メロックス社を調査するよう要請してください。



2009年4月10日 グリーン・アクション 代表:アイリーン・美緒子・スミス 京都市左京区田中関田町22−75−103 TEL 075-701-7223 FAX 075-702-1952 美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会 代表:小山英之 大阪市北区西天満4−3−3 TEL 06-6367-6580 FAX 06-6367-6581

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