制度・措置検討小委員会への質問書

制度措置委員会の委員のみなさんへ

 3月8日から3回にわたり、バックエンド事業に関する具体的な制度・措置の在り方について、その必要性を含めみなさんが検討を重ねてきたご苦労に、まず敬意を表します。第3回委員会では、植草委員長の「いよいよ詰めに入った」というまとめのように、次回は電気事業者参考人から「電気事業者試算」が示されるものと理解しています。
 しかし、審議が現行の原子力政策とそれが計画的に実施されることを前提としているため、現実性に欠け、活発な議論を損なう結果になっているといわざるをえません。
 バックエンド事業を含めた核燃料サイクル政策については、政府与党内や地元自治体首長をはじめ、各層から国民的な議論が求められ、政策の実施は国民の合意によるべきだとしています。政策の中軸となる原子力長計の見直し作業にとりかかろうとする現段階で、国民的な合意をえていないコスト等検討小委員会の報告にもとづき議論を
すすめ、とりまとめを行うことは、原子力政策について、国民各層での活発な議論の機会を損なうものといえます。
 また、限られた審議時間となる電気事業分科会においても、委員からコスト小委員会報告でとりあげていない様々なケースについての試算も必要との意見も多数のべられています。経済産業大臣の諮問機関ではあれ、核燃料サイクル事業は国民の生命・財産に甚大な被害をもたらす潜在的な危険性をもつものであることからも、委員会審議
では多方面からの質問に答えるべきです。

 今回の制度設計の議論、またコスト委員会で出された数字などについて、私たちは多くの疑問を持っています。新しい制度を作る前に、一般の消費者の疑問に答えることが必要と考えます。別紙の14項目の質問について、ぜひ総合資源エネルギー調査会電気事業分科会制度・措置検討小委員会(第4回)の中で議論していただき、回答をお願
いします。

2004年5月1日

コストから原発を考えるプロジェクト

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制度措置委員会の委員のみなさんへの質問

 今回の制度設計の議論、またコスト委員会で出された数字などについて、私たちは多くの疑問を持っています。新しい制度を作る前に、一般の消費者の疑問に答えることが必要と考えます。以下の問題について、ぜひ委員会の中で議論していただき、回答をお願いします。

1.MOX燃料という面から見ると、再処理及びMOX燃料加工は、ウラン燃料におけるウラン濃縮や転換、加工と同じ「上流」となり、当委員会での大日方委員が発言(第2回)されているように、再処理費は「後処理費」ではなく、「燃料費」と考えるのがスジではないでしょうか。
 例えば燃料加工メーカーは廃止措置費用を消費者に請求するわけでもなく、また40年、50年後の燃料加工費を請求するわけではありません。民間企業である日本原燃がMOX燃料を製造するために再処理をするのですから、日本原燃が「燃料費」として電力会社に費用(廃止費用も)を請求するのがスジで、これなら国民に説明できるのではないでしょうか。

2.「コスト等検討小委員会」に提出された電事連の試算では、2035年頃までに発生する約3.2万tの使用済燃料を再処理し、2046年頃までに発生する2.4万tを中間貯蔵施設で貯蔵し、残りの約1万tはサイトのピットで保管することになっています。
 2046年頃までに発生する使用済燃料は約6.6万tとされる半分の再処理量でコストを計算しても、中間貯蔵後の再処理コストが入っておらず、使用済燃料全体のリサイクルコストが分りません。是非「全量再処理」するコストを電事連に明示させてください。3.2万tの再処理では半分を「直接処分」することを意味しているように見えます。

3.またすべての使用済み核燃料を「直接処分」する場合のコストも明示させてください。
  
4.新燃料を装荷する前に、電気事業者は取出し後の搬出先=再処理工場を明示しなければならなかったのが、搬出前に明示すればよいようになり(原子炉等規制法第23条第2項第8号)、再処理するかどうかの決断に時間的余裕が与えられました。そして今年3月12日、経済産業省は「使用済燃料の処分の方法」の確認について(内規)を公表しました。それによれば、電気事業者に再処理委託契約量、ピット貯蔵容量、既装荷量、装荷予定量を報告させ、この4月に保安院はこれら報告書の確認をしたところです。
 ところで電力事業者は日本原燃と約1万tの再処理契約を締結していますが、2046年頃までに約6.6万t発生するとされる使用済燃料に対し、六ヶ所再処理工場が3.2万tの再処理量とすれば、残りの約3.4万tの使用済燃料の搬出先はどうなるのでしょうか。

5.日本原燃との契約にかぎって「再処理工場の廃止費用」が再処理費に入っていなかったというのは本当ですか。海外再処理分には廃止費用も入っていたのですから、当然本来の再処理引当金の範囲には工場の廃止費用は入っていたと判断すべきです。再処理工場の廃止費用は未回収として委員会の見解がまとめられつつありますが、まったく納得できません。廃止費用が未回収であるという明らかな根拠を示してください。

6.原発が発電して30年以上たち、再処理引当金ができてからも15年以上たっています。いままで未回収の費用があったことの責任はだれがもつのでしょう。責任の所在を明らかにしてください。

7.再処理引当金はtあたりいくら引き当てられていますか。制度制定当初から現在までの数字をすべて教えてください。

8.既発電分の費用と今後発電する費用との割合は再処理工場の稼働率によって全く変わってしまいます。現在の状態で金額を特定することはできるのでしょうか。それとも金額を特定しないまま制度だけつくってしまうのでしょうか。

 例として、再処理工場の廃止費用のうち既発電分はいくらになるかということを考えてみます。
 第2回委員会で配布された資料によれば、1兆5500億円の廃止費用のうち、既発電分が6800億円、将来発電分が8700億円となっています。これは2004年度までに発生した使用済み核燃料が1.4万t、2005年度以降発生する使用済み核燃料が1.8万t、合計3.2万tを40年間で処理するという前提で想定された数字になっています。
 さて問題の六ヶ所再処理工場では不正な溶接が200か所以上、不正な金属の切断が100か所以上見つかりました。またその他にも配管の接続ミス、部品の間違いなど、次々にトラブルがみつかっています。この工場が果たして100%の処理量を達成できるのか、大変疑わしいのです。ちなみに過去日本でもヨーロッパでもなんのトラブルもなく100%で稼動した再処理工場はありません。
 では50%の処理量しか達成できなかった場合を想定してみましょう。処理量は1.6万t、廃止の費用はほとんど変化しないと思われます。とすると、1兆5500億円の約88%、約1兆3600億円を既発電分として支払うことになります。
 処理量がもっと少なかったらどうなりますか。たとえば既発電分である1.4万tの処理も達成することができなかったら、2010年以降に検討されるという第二再処理工場の廃止費用までも過去の分として請求されるのでしょうか。
 委員のみなさんは「まさか」と考えていらっしゃるかもしれませんが、六ヶ所再処理工場の建設状況・品質管理のずさんさを考えると50%の処理量を想定する方が楽観的すぎるのではないかと思います。100%が前提というのはあまりにも「非現実的」といわざるをえません。(この委員会と同じ総合資源エネルギー調査会の原子力安全保安部会で検討会を設けて総点検をして評価しています。ぜひそこで提出されている日本原燃
の報告書をごらんください)
 全量再処理という国策が前提でこの委員会の審議が行われていますが、全量再処理はあくまで方針・希望であって、現実とはかい離しています。どうやって今後全量を再処理するのかわからない段階で「全量再処理」という非現実的な前提で制度を作ってしまったら、今後どれだけ費用がふくらむのかわかりません。

9.今回の試算の中には、まだ計算されていないバックエンド費用があります。今後まだ「考えられていなかった」未回収の費用が出てきたらどうしますか。
 たとえば劣化ウランや回収ウランの処分費用が入っていません。今は資産ということになっていますが、利用する計画はほとんどありません。将来は廃棄物として処分することになる可能性が高いと考えます。

10.今回の試算の中には、まだまだ費用が高騰しそうな費用がいろいろあります。今回の試算をはるかに超える費用が発生することが明らかになった場合はどうしますか。
 高レベル放射性廃棄物のガラス固化体やTRU(超ウラン)廃棄物の地層処分は、世界でもまだ確立した方法はありません。この段階で、経費を見積もってもその妥当性を判断することは困難です。特にTRU廃棄物については、まだ何の制度もできていません。どこまで地層処分にするのか、放射能レベルも決まっていないのに、正確な見積もりが出せるとは思えません。
 たとえば、海外返還高レベルの貯蔵事業はすでに六ヶ所で始められています。この費用は2200本で2700億円となっています。1本あたりで1億2273億円です。ところが、今後六ヶ所で発生する高レベルの管理費用になると、28800本で6400億円になり、1本あたり2222万円になります。これは、50年間置いておくだけの費用です。最終処分では1万年の安全を確保するため、地下深く埋めることになってい
ますが、こちらは1本あたり7500万円になります。
 50年置いておくより、地中深く埋めるほうが安いというこの数字は信じられません。
 すでに事業が始まっている部分は妥当な数字が出ているが、今後始める部分は信頼性の乏しい数字だという証拠です。

11.「コスト等検討小委員会」の報告書の数字を使って単純に計算するとMOX燃料の値段はウラン燃料の約13.5倍となってしまいます。こんなに高い燃料を使用することは、大変な負担になります。資源が足りない日本の資源の「節約」というだけでは、これほどの費用がかかるのはおかしいと考えますが、委員のみなさんはこれを妥当な「資源の節約」と考えますか。

 報告書より:電気事業者試算では、MOX燃料加工工場により生産されるMOX燃料は合計で4,800tHMとしているが、?1.(5)で述べる核燃料サイクルコストの計算で使用されている諸元等を用いて試算すると、これによって代替されるウラン燃料は約4,300tUとなり、その取得費用は9千億円程度と見込まれる。
 この報告書の数字を使って計算すると4300tUのウラン燃料の節約のために12兆円を超えるお金が必要というになります。再処理費用が11兆億円、MOX燃料費用が1兆1900億円、合計で12兆1900億円のコストがかかります。代替のウランの取得価格は9千億円となっていて、実に13.5倍にもなります。

12.「コスト等検討小委員会」ではコスト計算の諸元としてバックエンド処理の結果としての「MOX燃料としての次世代再生率15%」を前提にしていますが、これは使用済燃料中のプルトニウム約1%をMOX燃料では約10%にして加工し、使用済MOX燃料を複数回再処理することにより、「15%」という数字を導き出したと思われますが、間違いありませんか。しかし、計画されている六ヶ所MOX燃料加工工場では、使用するウランは劣化ウランか天然ウランであって、回収ウランは予定されていません。よって「次世代再生率」は15%ではなく、使用済燃料中のプルトニウム1%、又は混合抽出として2%に過ぎないのではないでしょうか。

13.5.3円/KWHという今回出された原発の発電コストが、財務諸表上の数字、8.3円/KWHとかけ離れているということが明らかになりました。数字がかけ離れている理由は何ですか。これだけ現実とは違う数字をもとに、今後の制度を作っていいのでしょうか。

14,今回検討されている再処理のコストには原燃の経営状態がまったく考慮されていません。日本原燃は03年度上半期で約170億円の欠損を計上しています。多分下半期の欠損も同額以上となることは確実視されます。03年度上半期欠損金の大きな内訳は、営業外損失金が約105億8千万円、ウラン濃縮設備評価損が約63億5千万円となっています。
 営業外損失の原因と思われるものは「前年度同期に受け入れていた再処理施設建設分担金125億円が03年度上半期では受け入れられなかった」と説明しています。電力会社はこれまでなんの見返りも求めず、毎年125億円の建設分担金を支払ってきました。
 これについて、電力会社では、原子力費用にも入れず、諸費として寄付金の扱いになっています。
 資本勘定の方では、建設分担金が入らなかったからと思われる一時借入金が330億円増えています。また負債が増加し、ただでさえ苦しい経営を圧迫しています。また「未経過リース料残高」が前年度末に比し約122億円増加していますが、「リース物件取得価格」は前年度末費で約130億円増となっています。
いずれにせよ、再処理役務料金の前受金が02年度末で約9081億円もありながら、累積の欠損金が約553億円という経営状況で、今後どれだけの負担が電力会社ひいては私たち消費者に負わされるのかわかりません。日本原燃の経営が与える影響を評価して明らかにしてください。