「トラブル低減に向けた取り組み計画」などに関する質問書

「トラブル低減に向けた取り組み計画」などに関する

質問書

関西電力(株)社長 森 詳介様

2008年1月23日

1.事故・トラブル増加による「緊急非常事態」について

貴社の原子力事業本部の肥田善雄副本部長は、昨年12月25日の福井県原子力安全専門委員会の冒頭で、事故やトラブルが多発している状況について、「緊急非常事態だと考えている。県からは厳重注意も受けており、徹底した水平展開で未然に防止したい」と述べました。
  1. 「緊急非常事態」とはどういう意味ですか。
  2. 「緊急非常事態」という認識は現在も続いているのですか。
  3. 「緊急非常事態」は終了したのですか。終了したとすれば何故ですか、そしていつですか。

2.「トラブル低減に向けた取り組み計画」の位置づけについて

貴社は1月15日に、「トラブル低減に向けた取り組み計画」(以下「取り組み計画」という)を福井県に提出し公表しました。
  1. 福井県知事は昨年11月の議会の答弁で、プルサーマル再開に関して県民の安心と合意を得るために4項目を提示しました。今回の貴社の「取り組み計画」は、4項目の一つである「トラブル低減対策」に該当するものですか。
  2. 貴社は昨年12月12日の交渉で、「プルサーマル再開と4項目への取り組みは別のもの」と明言しました。現在も同じ認識ですか。

3.「取り組み計画」の内容について

  1. 福井県知事が「最近のトラブル増加の軽減対策」を要求したのに対し、貴社の「取り組み計画」は5年間(2003〜2007年)のトラブル156件を対象にしています。しかし、知事は「最近」のトラブルを問題にしているのです。なぜ今年度のトラブルに特に焦点を当てなかったのですか。
  2. 今年度のトラブルに焦点をあてていない貴社の「取り組み計画」は、福井県知事が要求した「最近のトラブル増加に対する対策」になっていないのではありませんか。
  3. 156件のトラブルの内、美浜3号機事故はどの分類に入るのですか。また、昨年11月の大飯2号機の2次系配管の大幅減肉と12月の湿分分離加熱器空気抜き管の穴あきはどの分類に入るのですか。
  4. 1月16日の福井県原子力安全専門委員会では、委員から「水平展開の突っ込み不足によるトラブルはなかったのか。水平展開の立て方に問題はないのか」「大飯2号機の配管減肉は大飯1号機の配管減肉の水平展開不足ではないのか」との厳しい意見が出されました。貴社の「要因分析」に、「水平展開不足」が入っていないのはなぜですか。
  5. 今年度初めて、蒸気発生器入口管台でのひび割れが確認されました。このひび割れ「異常事象」はどの分類に入るのですか。ひび割れの詳細な原因調査結果はまだ出ていません。それでも、「トラブルは低減できる」と考えているのですか。
  6. 貴社の原発では、2006年度には「異常事象」は7件と少なくなりましたが、今年度は既に19件に達しています。今年度に「異常事象」が増加した原因は何ですか。
  7. 貴社の「取り組み計画」では、トラブルの最大の原因を下請けの「し忘れ・し間違い」としています。今年度の「異常事象」で「し忘れ・し間違い」は何件ですか。その事象の内容を具体的に示してください。
  8. トラブル低減対策として、貴社の社員が「作業計画書の読み合わせに参加する」となっています。これによって、今年度の「異常事象」の何%が改善されるのですか。
  9. このような「取り組み計画」ではプルサーマルを再開できないのではないですか。

4.2003年の活断層調査について

2003年に貴社は活断層調査(褶曲を含む)を行いました。それによって美浜・高浜・大飯の3原発の沖合いで19本の活断層が見つかったとされています。
  1. 当時そのことを公表しなかったのはなぜですか。
  2. 貴19本の活断層について資料(図面、活断層の長さ、原発からの距離、地震動評価)を公開してください。
  3. 現在行っているバックチェックで、この新たな活断層も再評価するのですか。

5.六ヶ所再処理工場での貴社分のガラス固化体について

六ヶ所再処理工場では11月からガラス固化体の製造を開始しています。
  1. 貴社は海外からの返還ガラス固化体については、日本原燃に保管料を払っていますが、六ヶ所再処理工場で製造されるガラス固化体についても保管料を払うのですか。払う場合、1本当たりいくらですか。
  2. 現時点で、貴社の使用済み核燃料は何トン・何体がせん断されたのですか。
  3. これまでに生み出された貴社分の高レベル濃縮廃液の量はいくらですか。
  4. その貴社の高レベル廃液で製造されたガラス固化体は何本ですか。
  5. 現在残っている高レベル濃縮廃液の量はいくらですか。
  6. 六ヶ所再処理工場で製品となった貴社分のプルトニウムとウランは、現時点でそれぞれどれくらいですか。
2008年1月23日


グリーン・アクション 代表:アイリーン・美緒子・スミス
京都市左京区田中関田町22-75-103 TEL 075-701-7223 FAX 075-702-1952

美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会 代表:小山英之

大阪市北区西天満4-3-3星光ビル3階 TEL 06-6367-6580 FAX 06-6367-6581