福島原発事故に伴う「避難の権利」の確保および子どもたちの被ばく量最小化に関する質問書
2011年6月20日
原子力災害対策本部 御中
福島原発事故に伴う「避難の権利」の確保および子どもたちの被ばく量最小化に関する
質 問 書
1.福島原発事故に伴う住民の被ばく量の把握と避難区域の設定について
- 避難区域の設定の「年間積算線量20ミリ」の基準については、国際放射線防護委員会(ICRP)と国際原子力機関(IAEA)の緊急時被ばく状況における放射線防護の基準値(20〜100ミリシーベルト)を考慮したということだが、この基準値は、内部被ばくと外部被ばくの両方を考慮したものということで間違いないか。
- 避難区域設定において、内部被ばくによる積算線量を除外し、外部被ばくのみを判断基準にしている理由は何か。
- 子どもたちを含む一般住民の内部被ばくによる積算線量については、どのようにして明らかにするつもりか。
- 子どもを含め県民の中では内部被ばくに対する不安が高まっている。希望者すべてに対して、ホールボディーカウンターの検査を実施すべきではないか。
- 文科省が積算線量を算出するための測定点としている場所は、どのように選定したのか。その地区で最も線量が高い地点が選定されているのか。
- 積算線量を算出するにあたり、屋外に8時間、屋内に16時間とした上で、屋内を屋外の0.4倍としている根拠は何か。実態に即しているのか。
- チェルノブイリにおいては、強制避難レベルは約5ミリシーベルト(土壌555,000ベクレル/平方メートル)、アメリカ・フランスの自国民に対する避難勧告レベルは10ミリシーベルトであるが、日本政府として「20ミリシーベルト」を選択した理由は何か。
- 少なくとも放射線に対する感受性が高い妊婦・乳幼児・子どもに対しては、成人よりも避難の基準を厳しくすべきではないか。
2.避難の権利の保障について
- 住民は自らの線量とリスクを知るために、どのような手段があるのか。どのような措置を講ずるつもりか。
- 行政が指定した「避難区域」以外の区域の住民で、自らの判断で自主避難を行った場合、その費用は補償されるのか。その判断基準は何か。未定の場合、どのようなプロセスでいつ決定されるか。
- 線量が高い地域において、自主避難を行う住民がのちに補償を受け取れるようにするため、「被災証明」が発行されるべきではないか。
- 避難区域の周辺で比較的線量が高い地域において、避難を勧告し、避難の権利を保障するような区域を設定すべきではないか。
3.子どもの避難・疎開・夏休みの前倒しについて
- 学童の避難・疎開について、学校ごとの疎開の受け入れを表明している自治体もあるが、国として受け入れを表明している自治体等の調査はしているのか。国が積極的にあっせんを進めるべきだと考えるがいかがか。
- 夏休みの前倒しについては学校長の判断で可能だが、国としても積極的に進めるよう助言・支援を行うべきではないか。
4.子どもたちの被ばくのトータルな管理について
- 文部科学省は、子どもたちの被ばく量に関して「今年度1ミリシーベルトを目指す」としているが、これは、始業式以降の学校内(始業から終業まで)に限定され、給食による内部被ばくを除いた値である。子どもたちの被ばく量を最小化するためには、3月11日以降の被ばく量をカウントし、学校外における被ばくや内部被ばくも考慮にいれた「トータルで1ミリシーベルト」を目指すべきではないか。
- 学校内のみならず、3月11日以降の学校外の被ばく量、内部被ばく量を入れた、現在の子どもたちのトータルな被ばく量の把握について、どのように行われているのか、行うつもりなのか。
- 学校給食による内部被ばくは「学校内」の問題であるのに、「今年度1ミリシーベルト」という学校内被ばくの中に含めないのはなぜか。
- 学校給食については、暫定基準値以内の食材を使用しているとのことだが、暫定基準値を守ったとしても、最大で年間17ミリシーベルトもの被ばくを許すことになり、これだけでは全く不十分ではないか。食材中の放射能についてのより詳細なモニタリングと産地の厳格な管理が必要だと考えるがいかがか。
- 内部被ばくについて、子どもに固有の計算方式(実効線量係数など)を考慮しているか。
- 1ミリシーベルトを目指すために、モニタリングと校庭の表土除去に対する限定的な財政支援の他に国が行う具体的な措置は何か。
- 福島県が行う県民健康調査について、国はどのように関与するのか。
子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク
福島老朽原発を考える会(フクロウの会)
国際環境NGO FoE Japan
グリーン・アクション
美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会(美浜の会)
国際環境NGO グリーンピース・ジャパン