関西電力宛:美浜1号機格納容器内コンクリート壁などからの水漏れに関する追加質問
老朽炉美浜1号機のコンクリートと鉄筋の健全性確認について──ホウ酸水のしみ込み部を調査しないのはなぜですか
2007年7月3日
関西電力社長 森 詳介 様
美浜1号機の「原子炉格納容器内壁面の水のにじみに関する原因と対策」(6月14日公表)と5月17日付の質問への電話回答(6月20日)で、貴社が示したコンクリートと鉄筋が健全であるとする根拠について質問します。
コンクリートと鉄筋について貴社が健全性を確認できたとする根拠は、次の点検結果です。
�しみ出し部の析出物分析で鉄分がなかった。
�しみ出し部3箇所(A、C、E)でコンクリートを約10センチ削って点検した結果、フェノールフタレイン液での調査でコンクリート内部に中性化が認められなかった。また、目視の結果、鉄筋に腐食や欠損がなかった。
�ライナー溶接部1箇所(エ部)で、下のコンクリート表面をリトマス試験紙でPH測定した。結果、中性化していないことを確認した。
�しみ出し部周辺のコンクリートについてシュミットハンマーによる強度測定の結果、設計基準強度を上回っていた。
上記の点検は、主としてしみ出し部の調査であり、しみ込み部のコンクリートと鉄筋の状態を調査していません。また、リトマス試験紙でのPH測定の値等も公表されていません。
このような状況で、老朽炉美浜1号機のコンクリートと鉄筋の健全性が確認できたといえるのでしょうか。
そのため、以下の質問に答えてください。
- ライナー溶接部の貫通亀裂から裏に漏れた酸性のホウ酸水は、コンクリートのどこかからしみ込み、数メートル以上も離れた箇所からしみ出しています。このことは、多量のホウ酸水がコンクリートにしみ込んだことを示唆しています。ところが貴社は、しみ込み部のコンクリートの湿潤状態や鉄筋の腐食を調査していません。しみ出し部よりしみ込み部の方がホウ酸の影響が強いのに、なぜしみ込み部を調査していないのですか。また、調査をしなくても健全であるとする理由は何ですか。
- コンクリートからのしみ出し部(B、D)の2箇所については、前回定検時に二重張りにしたオーニング工事の前に、既にライニングプレートに貫通部があり、そこから漏れた水が析出したのではないかという推測の回答ですが、推測の根拠は何ですか。
また、オーニング前に漏れた水の影響とすれば、前回の定検前に既に水漏れがあり、それを見逃していたということになりますが、なぜ発見できなかったのですか。 - 「コンクリートの中性化」とは、PH値でどの程度以下を「中性化」としているのですか。
- 酸性のホウ酸水がコンクリートと鉄筋に及ぼす影響についての検討結果を示してください。検討していないのならその理由を示してください。
- シュミットハンマーによる強度測定は、「ふげん」で明らかになったようにきわめて不確かな試験方法といわざるを得ませんが、実際のコンクリートから試験体をくりぬいて強度測定を行なっていないのはなぜですか。
- 貴社が確認した、�鉄筋の状態の写真、�フェノールフタレイン液によるコンクリートの状況の写真、�リトマス試験紙のPH値を公表してください。リトマス試験紙で、コンクリートの中性化=劣化を正確に判断できるのですか。
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