再処理工場 経営コストの問題

私は経済的な側面から見た再処理の問題点についてお話させていただきたいと思います。

▼ 国内再処理についてお話しする前にまずは、海外再処理について述べたいと思います。

日本の電力会社はこれまでにイギリスのBNFL社とフランスのCOGEMA社と再処理契約を結んできました。最初の契約が成立したのは、今から約25年前ですから、それから約四半世紀がたつことになります。電力会社が再処理事業者と結んだ契約は「コストプラス方式」と呼ばれるもので再処理事業者に一方的に有利なものです。つまり、再処理をするために必要なコストをすべて電力会社に負担させることによって事業者は絶対に損をしない仕組みになっているのです。具体的に、顧客である電力会社が負担しなければならないのは、再処理工場を建設するためのコストと、毎年の人件費、修繕費なの運転費用です。その上、施設の解体に必要になるであろうコストの一部と、25%ともいわれる報酬までも支払うことになっています。

この契約がその後どういう事態を招いたかといいますと、契約が結ばれた時には、まだ再処理工場は建設されていなかったので、建設コストを含めた総事業の予算が不確定でした。しかし、実際に工事が進む課程でその費用が予想以上のものになっていき、BNFL社とCOGEMA社は次々と追加コストを顧客である電力会社に提示し、追加融資契約締結させたのです。

▼ 今からは、BNFL社の例について具体的に紹介させていただきたいと思います。

BNFLのTHORP再処理工場の建設費は当初、3億ポンドと予想されていました。しかし、その後、18億ポンドにまで膨れあがりました。なんと6倍以上のコスト上昇です。 さらに当初、4億ポンドであると予想されていた解体コストは、その後、46億ポンドに修正されました。これはなんと11倍のコスト上昇です。これは1989年の予想額で、50年後に施設が解体された時に必要な金額です。その他にも、高レベル放射性廃棄物を取り扱うガラス固化体製造施設の建設費も必要になったため、BNFL社は次々と電力会社に追加コストを要求しました。

一方で、BNFL社は再処理工場の運転開始から最初の10年間で6000トンを再処理する予定でした。ところが、工場の建設コストなどが当初の予算よりかなり高くなってしまったため、BNFL社はコストを下げるために当初の予定の1.2倍の7000トンの再処理を行うことが可能であると顧客に提案し、了承されました。ところが実際には1994年に再処理が開始されたにもかかわらず、最初の7年でその半分程度しかこなせず、結果として10年間で終わらないことが明らかになっています。BNFLが2年前にイギリスの規制当局に提出した事業計画によると、約束の再処理は予定より2、3年遅れ、2006年か2007年頃になるとの見込みです。この事態は、電力会社に新たな負担を強いることを意味します。つまり、電力会社は年間運転費用(およそ8000万ポンド{約135億円})×延期年数分を、追加コストとしてBNFL社に支払わなければなりません。

BNFLの顧客は当然この事態を嫌がっています。実は2000年9月にBNFLの海外顧客は共同声明を出しています。 その文書が、昨年の春にグリーンピースインターナショナルにリークされましたので紹介したいと思います。

この共同声明で、次のようには顧客は述べています。「コストプラス方式のサービス合意は、全てのリスクが顧客に負わされるので、自分たちに不利」であると訴えています。そして、「私たちはコストのリスクを制限しようと常に試みてきた」が「そのようなコスト上昇および不確かさというものは、ビジネス上、非常に満足できないもので、私たちが置かれている圧力にあっては、私たち自身の燃料サイクルビジネスを不可能にする」ものだとしています。そこにはBNFL社の技術的能力の不十分さや再処理ビジネスの経済不合理性について、一般には決して言わないような不満が多く述べられています。

最近もう一つ興味深い出来事であります。イギリスの最大の電力会社であるブリティッシュ・エネルギー社は国営時代にBNFL社と再処理契約を結びましたが、再処理のコスト増加により、今は赤字経営になっています。そうした中、昨年の11月にイギリスの国会に再処理政策の即時凍結を要請しました。同社のJeffrey重役は記者会見で「再処理をしないでワンススルー政策を取ると、年間2億5000万ポンドの節約になる」と述べ、再処理政策を厳しく批判しました。

このように海外再処理はコストが雪だるま式に高くなっていく中で、再処理業者は電力会社から多くの代金を徴収し続けています。電力の自由化が始まった国では市場競争が激しくなり、再処理を委託している電力会社はかなり苦しい立場に置かれています。再処理を推進する人たちは「プルトニウムは有用な物質」と言いますがわずかな量のプルトニウムを抽出するため、莫大な資金が必要で、電力会社の経営を圧迫しているのが現状です。

▼ 次に、今後計画されている国内再処理について考えてみたいと思います。

日本の電力会社は国策に協力し、日本原燃を設立し、ここ青森に再処理工場を建設してきました。日本原燃は収入がほとんどない会社で、ご存じのように借金が山ほどあります。配った表をご覧下さい。日本の電力会社が日本原燃にどれだけの資金を投資しているかがわかります。建設費が2兆1400万円に登る再処理工場を建設するために電力会社は2000年度末までに、852億円の建設分担金を日本原燃に提供しています。さらに、再処理前払い金として、10社合わせて、4900億円を支払っています。2001年度から2004年度の4年間でさらに5102億円を支払う計画です。各社の再処理契約量を見ると2004年度までに支払う合計前払い金額はほぼ一致します。つまり、1トンあたり1億円の前払い金を支払うという予定です。

最近の新聞報道によると日本原燃の社長は昨年12月に電事連に総事業費の試算を発表しました。それによると一次契約分1万トンを再処理するためには3兆9000億円の資金が必要になります。これは1トンの使用済み核燃料あたり、およそ3億9000万円かかることを意味します。

それでも、この金額はかなり低く見積もられています。大規模な化学処理施設の修繕費用は年間、建設費の5%にものぼると言われています。六ヶ所再処理工場の場合だと、それだけで、年間1000億円になります。ここには再処理施設の解体費用も含まれていません。しかも、今後予想される、電力の全面自由化による競争という要素によって、電気料金へのコスト上乗せは困難になると思われます。

以上をふまえて、六ヶ所再処理工場での再処理を開始すれば、間違えなく電力会社の経営状況が苦しくなります。再処理をしない場合は建設費用は無駄になるかもしれませんが、操業に伴う膨大なコストを考えると工場を動かさない方が得策であるのは間違えありません。安全面はもちろんですが、経済的な面からも一刻も早く再処理から撤退することが何よりも電力会社自信にとって有益であることを強調して報告を終えさせていただきます。

以上

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