安全性を無視した無謀な判断に抗議する共同声明

安全性を無視した無謀な判断に抗議する共同声明
高浜3・4号機の審査書確定・変更許可に強く抗議する

 
原子力規制委員会は2月12日、高浜3・4号機の設置変更許可申請書の審査書案をささいな修正を施しただけで確定し、設置変更の許可を行った。これは、重大事故による放射能被害を人々に強いるものである。約3600件の意見・指摘に耳を傾けることもなく、無謀な判断を下したことに強く抗議する。

  1. プルサーマルの審査なく、使用済MOXは地元に据え置かれる
  2.  昨年12月17日に市村管理官が規制委員会で冒頭説明したとおり、プルサーマルはもっぱら福島事故前の1998年5月変更申請に関する審査・許可に依拠しただけで、新基準に基づく審査は見られない。パブコメへの回答では「既に許可されたものであり、本審査は、MOX燃料の使用を前提としています」と述べ、さらに「MOX燃料に特定した基準・審査ガイド等は必要ありません」とまで述べ居直っている。
     また、住民が強く懸念する使用済MOX燃料は、関電の設置変更許可申請書のどこにも、その言葉さえ見当たらない。結局、プルサーマルは申請されたという明確な形跡がなく、審査もなされていないのである。

  3. 福島事故のような汚染水への対策は審査されていない
  4.  福島事故で実に深刻な現状にある汚染水問題への対策は、高浜原発の審査では対象とされていない。対象は事実上気体状の放射能だけであり、設備は放水砲とシルトフェンスだけである。
     2012年9月6日の福井県原子力安全専門委員会において、福島事故のような汚染水への具体的な対策・準備が直ちに必要ではないかと指摘されている。関電は一応はそれを認め、タンカーや吸着剤などを挙げたが、結局それらは検討課題とし、委員会の要請に応えていない。
     今回の審査書では、汚染水に対する具体的な対策にはいっさい触れないままの措置を、規制委員会は容認した。パブコメへの回答では「体制を整備する方針であることを確認しています」としてこれで十分としてしまっている。具体的方針は一切問題にしていない。これでは、重大事故直後から流出する汚染水により海が汚染されることは避けられない。何よりも、福島事故の実態と原因を解明することが優先されるべきである。

  5. 放射能被害は不可避、避難計画はないに等しい
  6.  関電が想定している重大事故では、炉心溶融が始まるまでに19分、溶融炉心が原子炉容器の底を貫通するのに1時間半しかかからない。これでは、住民が重大な被ばくを被るのは必然であり、このような原発を動かすことは許されない。
     仮に避難しても、高浜原発から30km圏の住民が避難する兵庫県の避難施設の31%は、土砂災害や洪水などの危険区域にある。要援護者の避難は困難を極めることが明らかになっている。避難計画は根本的な見直しが必要であり、現状で原発を動かせば住民は多大な犠牲を強いられることになる。

 今回の判断は余りにも無謀である。審査書を撤回し、まずは30km圏内の各自治体住民及び広範な周辺住民に今回の判断内容を説明し、批判を受けるべきである。これら犠牲を被るべき住民の合意なしに、高浜3・4号機を動かすことはけっして許されない。

2015年2月12日

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