共同声明:川内原発1・2号の審査書決定と設置変更許可に抗議する 安全性軽視のエスカレーションで再稼働に突き進む規制委員会

共同声明 2014年9月10日
川内原発1・2号の審査書決定と設置変更許可に抗議する
安全性軽視のエスカレーションで再稼働に突き進む規制委員会

 原子力規制委員会は、本日(9月10日)、川内原発1・2号の審査書を決定し、設置変更を許可した。私達は、これに強く抗議する。

 審査書案に対して、全国から17,819件もの多くの意見が寄せられた。これは、多くの人々が川内原発の再稼働と審査内容に対する異議の表明だった。しかし、本日の会合では、わずかな意見の要点と回答を紹介するだけで、それぞれの意見に対する回答やその検討内容について、具体的に明らかにすることもしなかった。
 基準地震動評価について、日本の地震の特徴を捉えた武村式で評価するようにとの意見に対しては、具体的回答することをさけ、九電は「入倉・三宅式よりも安全側に評価している」と述べるにとどまった。福島第一原発の深刻な汚染水流出について、川内原発ではなんら対策が取られていないこと対しては、「格納容器から流出しない対策を要求している」との回答だけだ。多くの専門家も指摘している火山リスクについても、なんら意見を反映していない。噴火の兆候把握さえできず、その基準さえないことについても、従来通り「モニタリングの強化」等で済ませてしまっている。
 防災計画・避難計画については、規制委員会としての正式な審査も行っていない。

 今回は、審査書が確定し、設置変更に伴う基本設計などについての設置変更を許可しただけだ。これからまだ、基本設計通りに施設や機器の具体的な設計がなされているかを確認する工事計画認可の審査、保安規定認可の審査、使用前検査が残っている。今日は、基本方針に対する決定だけであり、再稼働に進むことはできない。これからが具体的な内容の審査だ。今後も、審査の過程に対して監視と批判を強めていこう。

 今日の委員会では、規制委員会が原子力委員会と経産大臣に意見聴取した回答が示された。再稼働を進めれば、使用済み核燃料がさらに増えることは明らかなのに、この核のゴミ問題も放置したままだ。原子力委員会は、実現性もない「再処理を行うことを原則」としていること、それまでの間は「適切に貯蔵・管理するという方針」だと九州電力が述べていることだけで了承している。一体どこで「貯蔵・管理」するというのか。経産大臣は、「新規制基準に適合すると認められた場合、・・『エネルギー基本計画』の方針に従って、再稼働を進め」ると、自らの責任を棚上げにして、再稼働推進を強めている。

 規制委員会の安全性軽視はエスカレートしている。大阪地裁で闘っている、大飯原発3・4号の運転停止を求める国相手の裁判では、規制委員会・国は、原子炉を止める為の制御棒挿入時間は規制基準の審査対象外であるとの暴論をはいている。事故時の「止める」「冷やす」「封じ込める」の最初の最も基本的操作についても、安全性軽視は甚だしい。

 全国の運動が連携して、川内原発の再稼働を阻止していこう。全ての原発の再稼働を止めよう。

グリーン・アクション   
京都市左京区田中関田町22-75-103 TEL:075-701-7223 FAX:075-702-1952
美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会(美浜の会)
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