京都市への申し入れ:若狭の原発事故に伴う避難と避難の受け入れについて

若狭の原発事故に伴う避難と避難の受け入れについて
                                   2014年4月8日
京都市長 門川大作様

 日頃は、私たち京都市民の安全を確保するためご尽力頂き、ありがとうございます。
 福島第一原発事故では、60キロ離れている福島県庁間近まで避難対象となる20ミリシーベルト/年の汚染が観測されました。京都市役所を含む多くの京都市内はこの距離より近い所に若狭の原発があります。京都市に取って、原発事故は死活問題です。
 福島第一原発で起きた過酷事故は、3年が経過した今も、収束どころか、放射性物質の環境への拡散を続け、その深刻さは増すばかりです。しかるに国は、汚染水対策もままならないというのに、原発を基幹的エネルギーと位置付けて再稼働に躍起となり、あろうことか、地震国であるトルコなど海外への売り込みにも血眼となっています。
第三者委員会として厳格な規制を行うはずの原子力規制委員会は、ほとんどの要員を再稼働適合審査に割いて、汚染水対策を軽んじているだけでなく、審査の途中で全機合格の見通しを公言するなど、もはや規制委員会・規制庁の名に値せず、原子力推進委員会に変質したといっても過言ではありません。
 国は、避難計画は自治体が作るべきものとしながら、その計画策定に必要な指針が示されないなど、無責任な姿勢に終始しています。このように、国が福島事故を教訓とすることなく、ひたすら再稼働をめざしてしている今こそ、住民の生命財産をまもる第一義的な責任は基礎自治体が負っていることを再確認していただき、下記の質問と申し入れに対する明確な回答をお願いするものです。所管が分かれている場合は、所管部署に紹介の上、回答をお願いします。

1.若狭の原発から60キロの京都市役所も被曝する可能性が高い
福島事故による汚染マップ、滋賀県の汚染予測、兵庫県がこれまでに公開した50-60圏の汚染予測のいずれもが、若狭の原発から60キロの距離にある京都市役所周辺もIAEA基準である安定ヨウ素剤の服用地域となる可能性が高いことを示しています。そうではありませんか。

2.京都市自体が被曝する(した)場合の防護・避難について
兵庫県知事は、プルームは50-60キロ圏の篠山市、70-100キロ圏の神戸市に、最短2時間で到達すると答弁しています。京都市は少なくとも2時間以内で住民が服用を終える体制づくりが求められていますが、どのようにお考えですか。

3.京都市自体が被曝する(した)場合の受け入れについて
京都北部住民の受け入れ先とされている神戸市や、宇治市、八幡市など各自治体は、被曝した場合は当該自治体住民の避難・防護を優先し、受け入れは返上することもあるなどと述べています。京都府もこのような前提に同意したうえで、受け入れ要請を行っています。そうではありませんか。 京都市は自ら被ばくした際の対応をどうされますか。

4.飲料水の規制基準はあくまで平時の基準によるべきです
滋賀県が琵琶湖の水の汚染予測を公表しましたが、通常の規制基準を20倍も上回る「非常時の規制基準」にもとづいて取水制限期間を7〜8日としています。事故が起きれば(すなわち必要な時に)撤回される基準とはなんでしょうか。非常時の基準はどのような法的根拠を持っているのですか。
 京都市はあくまで平時の基準を維持すべきであり、南湖で80日とされる取水規制期間中の飲料水確保をどうされますか。

5.実効性ある防災・避難計画なき再稼働に明確に反対してください
京都市は、国がPPAの設定や安定ヨウ素剤の服用について明確な方針を示さないまま、あるいは実効性ある避難計画ができないままでの再稼働を認めた場合、「実効性ある避難計画がなければ再稼働に反対である」と意思表示してください。

申し入れ書:若狭の原発事故に伴う避難と避難の受け入れについて(PDF)