原発再稼働審査:重大事故時に基準が禁じる水素爆轟(ばくごう)が起こる可能性あり!

原発再稼働審査:重大事故時に基準が禁じる水素爆轟(ばくごう)が起こる可能性あり!

1月29日に行われた原子力規制庁との交渉で、原発の再稼働審査において、原発重大事故の際に、新規制基準が禁じている「水素爆轟(ばくごう)」が生じる危険性があることが明らかになりました。交渉後の追加質問の回答を含めて以下にまとめました。

 重大事故の有効性評価において原発新規制基準は、炉心溶融により発生する水素によって、格納容器内の水素濃度が、水素爆轟(ばくごう)の恐れのある13%を超えないことを要求している。しかし、大飯原発や玄海原発の申請書では、水素濃度が12.8%に至る解析結果が出ており、水素爆轟の基準に肉薄している。しかも解析で用いられている解析コードは、ただ一組(MAAPとGOTHIC)が使われているだけで、不確かさが考慮されておらず、JNES(原子力安全基盤機構)によるクロスチェック解析も実施されていない。

 解析コードの不確かさについては、適合性審査会合(第29回2013年10月8日)の場で、更田委員も「これだけ不確かさの大きなシーケンスを追っているときに、一例を捉えて13%に達しないという結論が得られましたと言われても」と述べ、関西電力浦田氏は「非常に不確定性の大きな事象になっております。それは十分承知をしておりまして、一つのツールとしてMAAPを使った解析の結果、13%に至ることはなかったということで、すべての蓋然性をもってそれが担保されるというつもりはございません」と回答している。

 1月29日の規制庁交渉の場で、市民側の専門家から、事業者ヒアリングに提出された資料から、GOTHICの不確かさは約2.4%とする文書が提示され、水素濃度の評価値12.8%の2.4%は、約0.31%であり、この不確かさを考慮すれば、水素濃度の評価値は最大で約13.1%になり、水素爆轟(ばくごう)の基準を超えるとの指摘があった。

 交渉の場で規制庁は、検討中と繰り返すだけで、この指摘に対する回答はなく、追加質問を行った。クロスチェック解析については、これまでも実施したりしなかったりで、必要が認められたら実施するという回答であった。今回は重大事故についてはじめての評価であることやJNES側で解析コードの整備を行っていることからも実施して当然であり、この点についても追加質問を行った。

 回答は、「審査にあたっては、JNESや国際的な知見等も踏まえ検証を行っているところであり、その判断をする上で、必要に応じ解析を実施することとしています。これらについては、現在審査中であり、個別の状況について申し上げることは差し控えさせていただきます。」というものだった。これで水素爆轟(ばくごう)の恐れを払拭することはとうていできない。審査は基準に不適合とすべきである。

 交渉では、水素濃度が13%未満であっても、爆発的な燃焼(爆燃)は発生しうるが、申請書では、水素燃焼による静的な圧力変化しか検討されていない点についても問題にした。明確な回答がなかったため、爆発による動的な影響評価について実施させるつもりはあるのかと追加質問したが、基準の文言を繰り返すだけで、回答はなかった。

2014/02/13 1月29日政府交渉連絡先団体
グリーン・アクション/美浜の会/原子力規制を監視する市民の会

ダウンロード:原発重大事故評価において「水素爆轟(ばくごう)」の可能性否定できず