京都府知事への要望書:大飯原発・京都府の原子力防災計画・高浜原発に関して

京都府知事 山田 啓二 様

要 望 書

日頃は私たち京都府民の安全のためにご腐心頂きありがとうございます。このたび下記の3点につき要望いたします。

1. 大飯原発の稼働を止めるよう関西電力に求めてください

 去る5月22日、原子力規制委員会が敦賀原発2号機直下の破砕帯を「耐震設計上考慮すべき活断層である」と認定しました。これによって同原発は廃炉となる可能性が高いと報じられています。
同様に、大飯原発においても直下のF−6破砕帯が活断層であるという可能性が指摘されています。
国の審査の指針では「疑わしきは活断層とみなす」こととされ(国の2010 年 12 月 20 日「発電用原子炉施設の耐震安全性に関する安全審査の手引き」)、原発を活断層の上に立ててはならないことは国の基準です。しかし、破砕帯調査が継続中であるにもかかわらず、大飯3・4号機は昨夏の政治判断による再稼働以来、危険と隣り合わせのまま運転が継続されています。
また、大飯原発ではわずか数キロの近さに3つの活断層(FO−A,FO-B,熊川断層)があり、原子力規制庁が、これらが3連動することを前提にして安全審査を行うよう求めたのに対し、関電は、いったんは了承しながら態度を翻して、これに従おうとしません。
 少なくとも、原子力規制委員会により7月に施行される新たな基準にもとづいて大飯原発の安全性を確認するまでは、一旦止めるというのが筋のはずです。昨年、規制委員会すら発足していない中で再稼働した時は、夏の電力不足に備えるためなどと説明されましたが、実際に夏の時期を経ることで電力不足は杞憂であったことが明らかとなりました。
また、被害地元となり得ることが認められた地域の住民は、一方的に 危険に備えることを求められるようになったものの、そもそも危険の原因である原発稼働の是非について意思表示をする権利はまったく与えられないままです。これはフェアではありません。
このように、原発を稼働させてよい環境はまったく整っていない以上、企業の経営のために特例が許され続けることは認められません。

2. 避難計画の説明会を、舞鶴に続いて避難対象自治体、受け入れ自治体で開いて下さい

京都府が原子力防災・避難計画の策定にご尽力くださっていることには感謝します。しかし、それらはいまだ十分なものではありません。

・綾部市は、奥上林地区の1本しかない避難路は家屋倒壊によって通行できなくなる可能性があるとしています。また、舞鶴市民8万9千人は避難先が確保されていません(西への避難の場合)。避難できない住民や避難先を確保できない府民が存在する以上、暫定であれ避難計画が出来たとは言えません。
・汚染予測は低すぎます。予測の際にカットされた数値を本来の100%値に戻せば、60キロ圏でも週100ミリシーベルトに達します。避難対象地域を拡大した第2次避難計画が必要です。

3.関電が計画している高浜3,4号機の再稼働に反対し、安全協定を求めてください

 関電は、大飯原発を9月の定期点検入りまで稼働し続けようとしているだけでなく、高浜3,4号機の運転再開をも表明し、6月末にもMOX燃料が搬入されようとしています。
MOX燃料は、猛毒のプルトニウムを使うなど、一般の原発に比べて格段に危険性が高いとされ、しかも、高浜原発は京都府から5キロ圏内という近さでありながら、関電は地元である京都府との安全協定締結に応じようとせず、一方的に再開を計画することは許せません。避難は、大飯よりさらに困難です。

要 望 事 項

� 関西電力に対して京都府民の声として、直ちに大飯原発を止めるよう求めてください。

� 大飯原発付近の活断層が3連動した場合の評価を行うよう関電に求めて下さい。

� 避難計画について、要配慮者の避難態勢は万全かなど、多くの疑問・質問に答える場を、ぜひ各地で設けてください。

� 高浜原発の再稼働に反対し、引き続き関電に対して実効性のある安全協定締結を求めて下さい。

2013年6月6日
大飯原発を止めるべきだと考える京都府民有志