関西電力宛の質問書
5月11日付質問書
使用済MOX燃料の「処分の方法」、
MOX燃料の内圧評価の変化等に関する
関西電力(株)社長 森 詳介 様
2010年5月11日
1.使用済MOX燃料について
・貴社の高浜3・4号機プルサーマルに関する設置変更許可申請書(1998年5月11日付)では、「使用済燃料の処分の方法」について、「燃料の炉内装荷前までに使用済燃料の貯蔵・管理について政府の確認を受けた場合、再処理の委託先については、搬出前までに政府の確認を受けることとする」となっています。
- この設置許可変更申請書で、貴社が政府に確認を受けたのは、「燃料の炉内装荷前までに使用済燃料の貯蔵・管理」を行うということですか。
- 使用済MOX燃料の再処理委託先は、「搬出前までに政府の確認を受ける」となっていますが、委託先の目処はあるのですか。
- 再処理の委託先が決まるまで、原発の使用済燃料ピット(プール)で貯蔵・管理するということですが、その安全性の確認にあたっては、何十年を想定し、その間どのようにして安全性を確認しているのですか。
- 定期検査では、使用済燃料プールについてどのような検査を行っているのですか。
- 貴社の設置変更許可申請書は、原子力安全・保安院の内規「『使用済燃料の処分の方法』の確認について」(2004年3月12日付)が出される6年も前のものです。何を根拠にして、「燃料の炉内装荷前までに使用済燃料の貯蔵・管理について政府の確認を受けた場合、再処理の委託先については、搬出前までに政府の確認を受けることとする」としたのですか。
- 原子炉等規制法23条第2項第8号では、原子炉を設置及び変更する場合に、「使用済燃料の処分の方法」を記載しなければなりません。使用済MOX燃料のプールでの貯蔵・管理は、この「処分の方法」にあたるのですか。
・「使用済燃料の再処理等を適切に実施する」ことを目的として、「原子力発電における使用済燃料の再処理等のための積立金の積立て及び管理に関する法律」(2005年5月20日)が制定され、貴社も積立を行っています。
- この法律に基づく積立金の対象になっている使用済燃料とは何ですか。
- 使用済MOX燃料は積立の対象になっていますか。積立の対象になっていない場合、その理由は何ですか。
・貴社は電気事業会計規則等によって再処理等引当金などの積立を行っています。
貴社の有価証券報告書では、「使用済燃料再処理等準備引当金」という項目があります。この引当金は「再処理等を行う具体的な計画を有しない使用済燃料の再処理等の実施に要する費用に充てる」と記載されています。この貴社の引当金は現在248.3億円となっています(第85期2008.4.1〜2009.3.31)。
- この引当金の対象である「再処理等を行う具体的な計画を有しない使用済燃料」とは具体的にどのような使用済燃料ですか。使用済MOX燃料は含まれますか。
- この引当金の対象として使用済MOX燃料が含まれる場合、引当金の計上は、MOX燃料の装荷時ですか、それとも使用済MOX燃料が発生した時ですか。
- 248.3億円の内訳はどうなっていますか。
2.MOX燃料の内圧評価の変化(14.6→16.1MPa)について
設置変更許可申請書でのMOX燃料の内圧評価値はA型燃料で約15.7MPa、B型燃料では約14.6MPaであることは確認済みです。輸入燃料体検査申請書ではB型燃料の値が16.1MPaに上がっています。なぜ上がったのかという質問に対し、次の電話回答がありました。
電話回答: 「変更許可申請での評価は代表例での内圧評価結果を示したものです。輸入燃料体検査申請書では実際に使用するMOX燃料のプルトニウム富化度等を考慮して、内圧評価結果は16.1MPaとなったものです。」
しかし、この回答では理解できないため、なぜ14.6が16.1に上がったのかについて、再度質問します。
- 設置変更許可申請書では代表例を示したとのことですが、MOX燃料に関する第3.2.5(2)図では、「1領域中燃料」(平衡炉心での取替燃料)のとり得る内圧範囲が示されており、A型ではその最大値が約15.7MPaとなったことが示されています。結局は、すべての燃料が取り得る内圧の最大値がB型では約14.6MPaとなったと考えられます。この考えで間違いないですか。
- その14.6が16.1に上がった理由は、「実際に使用するMOX燃料のプルトニウム富化度等を考慮」した結果だということでした。設置変更許可申請書ではプルトニウムは代表組成(核分裂性プルトニウム割合約68%)が採られていましたが、それが低組成(同割合約64%)になって、アルファ線によるヘリウム発生量及び放出量が増えたことが一因であるということですか。
- 第95部会資料によれば、代表組成が低組成に変わったとき、B型MOX燃料の内圧は14.6から15.4に変わります(設計基準19.0×設計比0.83=15.4)。しかし、これでは16.1には届きません。次の各可能性について答えてください。
内圧評価に用いている解析コードFPACの不確定性が増加したのですか。特に、FPガス(核分裂生成ガス)の放出率の不確定範囲が増大したのですか。
蒸発性不純物の量が増えたためですか。
最初に封入するヘリウムガスの量を増やしたのですか。
3.島根原発で発覚した機器の点検漏れなどに関連して
島根原発では、機器の点検や交換の漏れが多数発覚しています。2007年には当時の甘利経産大臣の指揮のもと不正報告などの「徹底的な洗い出し」が行われ、全ての電力会社が、不正報告や点検漏れ等はもうないと表明していたはずでした。それにもかかわらず、今になって多数の点検漏れ等がまた明らかになっています。
貴社も、2007年に不正報告や点検漏れ等はもうないと報告していました。島根原発でこのような事態になったことを受け、点検漏れ等がないことを改めて確認しましたか。
貴社の原発で点検漏れ等は一切ないのですか。
2010年5月11日
グリーン・アクション 代表:アイリーン・美緒子・スミス
京都市左京区田中関田町22−75−103 TEL 075-701-7223 FAX 075-702-1952
美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会 代表:小山英之
大阪市北区西天満4−3−3 星光ビル3階 TEL 06-6367-6580 FAX 06-6367-6581