原子力規制委員会への要望書:基準地震動の評価でも、津波評価と同様に、 国内の地震の特性を反映している武村式で再評価を
基準地震動の評価でも、津波評価と同様に、
国内の地震の特性を反映している武村式で再評価を
原子力規制委員会委員長 田中俊一 様
原子力規制委員会委員長代理 島邦彦 様
原子力規制委員会は、再稼働のための審査を急ピッチで進めていますが、審査終盤のPWR原発(川内1・2号、玄海3・4号、伊方3号、大飯3・4号、高浜3・4号、泊3号)では、基準地震動の評価はまだ確定していません。電力各社の申請では、基準地震動及び基準津波の評価が二重基準となっています。津波の波源評価については土木学会の指針(2002)に基づいて「武村式」が用いられています。しかし、同じ断層でも基準地震動を導く場合、電力会社は「入倉式」を用いています。申請が始まったBWR原発(柏崎刈羽6・7号、島根2号、女川2号)でも同様のことが問題となります。地震と津波は福島原発事故を引き起こした当の原因でありながら、未だに二重の評価が行われていることは、到底納得できません。
審査会合で島委員は、「地震と津波の震源は同じ」と繰り返し発言しています。震源は同じなのですから、その評価方法も同じであるべきです。また、昨年12月18日の大飯原発の基準地震動審査において、規制庁の小林勝安全規制管理官は、事実上武村式で基準地震動を評価し直すよう指摘しました[※1]。
断層が引き起こす地震モーメント(地震の規模)を断層面積から算出する場合、入倉式を使った値に対し、武村式を使った場合の値はどんな断層面積に対しても4.7倍になります。この両者の違いは、それぞれの基になった地震データの違いにあります。
入倉式は、Wells and Coppersmith(1994)に集約された世界中の244の地震から抽出した、米国、中国等のアジア、南米、トルコ、イラン等の約40の地震データを基にしており、その中で日本国内地震は福井地震のみです。他方、武村式は、すべて日本国内の地震データに基づいています。武村式が大きな地震規模となるのは、日本の地震の特性を反映しているためです[※2]。このことから、国内の原発の地震動評価においては、津波評価の場合と同様に、武村式を採用すべきです。
これまで原発の地震動評価は、入倉式に依拠してきました。入倉氏は2001年に自らの論文で、武村式の方が高い値になる理由として、「日本周辺の地域特性によるものか、今後の検討が必要とされる」と述べています。それから10年後に福島原発事故が起こり、それでも今なお電力会社は入倉式で地震動評価を実施しています。福島原発事故を繰り返してはならないと肝に銘じるならば、安全側にたって、武村式を用いて基準地震動評価をやり直すべきです。
- 基準地震動の評価においても、津波評価と同様に、国内の地震の特性を反映している武村式で評価しなおしてください。
2014年1月16日
提出24団体(再稼働審査中のPWR原発の地元 鹿児島・佐賀・愛媛・福井・北海道、審査が開始されたBWR原発の地元 島根・新潟・宮城、関西・首都圏の市民団体)
反原発・かごしまネット
玄海原発プルサーマルと全基をみんなで止める裁判の会
プルサーマルと佐賀県の100年を考える会
原発さよなら四国ネットワーク
島根原子力発電所3号機の運転をやめさせる訴訟の会
島根原発増設反対運動
原発設置反対小浜市民の会
プルサーマルを心配するふつうの若狭の民の会
柏崎刈羽原発反対地元3団体
原発からいのちとふるさとを守る新潟県民の会
三陸・宮城の海を放射能から守る仙台の会(わかめの会)
みやぎ脱原発・風の会
Aasha project
ベクレルフリー北海道
Shut泊
脱原発をめざす女たちの会・北海道
市民自治を造る会
おおい原発止めよう裁判の会
グリーン・アクション
美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会(美浜の会)
国際環境NGO FoE Japan
原発を考える品川の女たち
福島老朽原発を考える会(フクロウの会)
原子力規制を監視する市民の会
連絡先団体
グリーン・アクション
京都市左京区田中関田町22-75-103 TEL: 075-701-7223 FAX: 075-702-1952
美浜の会
大阪市北区西天満4-3-3 星光ビル3階 TEL: 06-6367-6580 FAX: 06-6367-6581
原子力規制を監視する市民の会
新宿区下宮比町3-12 明成ビル302 TEL: 03-5225-7213 FAX: 03-5225-7214
※1 2013年12月24日付、3団体の規制委員会への要望書「基準地震動でも武村式を適用して再評価してください」
参照:http://www.jca.apc.org/mihama/ooi/nsr_youbou20131224.pdf
※2 「武村式は日本の地震の特性で評価している」(美浜の会)2014.1.9
参照:http://www.jca.apc.org/mihama/ooi/position_jpneq_20140109.pdf