核燃料サイクルの見直しに関する経済産業大臣への申入・質問書

経済産業大臣 中川昭一 様

いま、日本においては、核燃料サイクル政策に関する見直しの論議が沸騰しています。原子力バックエンド費用とされる19兆円は莫大な額であり、安易に国民に負担を強いることのできる費用ではありません。この費用の国民負担については、与党の中からも反発の声が上がっています。

しかもこの試算は、第二再処理工場を前提としたものではありません。第二再処理工場をつくらない場合、六ヶ所再処理工場が稼働する約40年間に半分が再処理、残る半分が貯蔵となり、その後は全貯蔵となります。したがって、この試算で見る限り、事実上全量再処理という従来の路線はすでに放棄されています。

近藤原子力委員長は、6月から始まる原子力研究開発利用長期計画(以下、長計と言う。)の論議にタブーは設けないと断言しています。すなわち、従来の路線にこだわることなく白紙の状態で、忌憚のない論議を行って核燃料サイクルの見直しを進めていく考えだと思われます。

そのことを踏まえるならば、従来の全量再処理路線を前提として先行的に進めているコスト試算や長計に関連する様々な施策は、いったんは立ち止まり凍結し、やがて出される新しい方針にそって、その方向を考え直すべきではないでしょうか。とりわけ、六ヶ所再処理工場のウラン試験をいまこの段階で実施することは、今後に取り返しのつかない禍根を残すことになりかねません。施設全体が放射能で汚染された後に建設中止となれば、解体のコストが跳ね上がることになるでしょう。また、ウラン試験が既成事実となることによって、逆に、長計に関する自由な論議を制約する恐れが生じることも考えられます。

このような考えに立って、私たちは貴職に対し次の点を申入れし、同時に下記の質問を行います。質問への回答は文書にて、6月7日当日に手渡して説明してくださるようお願いします。

申し入れ事項

  • 六ヶ所再処理工場のウラン試験を凍結してください
  • バックエンド費用をいっさい国民に負担させないでください
  • 使用済み核燃料の六ヶ所プールへの搬入は中止してください
  • プルサーマルのすべての準備行為は中止してください
  • 中間貯蔵施設の建設計画は中止してください

質問事項

1. 長計論議の間の諸施策の凍結について

近藤原子力委員長による、長計の論議にタブーは設けないという方針は、従来の長計の路線や現状にこだわらずに、今後の変更を余儀なくされれば、原子力と核燃料サイクルのあり方を見直していく考えだと受けとれます。長計が見直され変化すれば、現在の試算は変わり、施策は意味を失うことになります。

質問1.

現長計が変更されることによって中止もしくは変更となることが想定される施策については、新長計による方針が出されるまで、いったん凍結すべきではありませんか。

2.六ヶ所再処理工場について

六ヶ所再処理工場を動かすのか動かさないのかは、今回の長計見直しの中でも最大の課題になると思われます。再処理に関する費用は、バックエンド費用の中でも突出しています。また、六ヶ所再処理工場では今後もトラブルが起こりうることを、原子力安全・保安院も3月30日「評価」(日本原燃株式会社「再処理施設 品質保証体制点検結果報告書」に対する評価)の中で認めています。したがってコストはいまの試算をはるかに上回る可能性があります。再処理工場が動いた場合の放射能の危険性はいうまでもありません。

質問2.
少なくとも原子力長計の見直し論議が行われている間は、施設を放射能で汚染することは避けるべきであり、ウラン試験は凍結すべきではないでしょうか。
質問3.
ウラン試験をこのまま進めてしまい、新長計で六ヶ所再処理工場稼働の方針が中止と変更された場合、ウラン試験の結果ふくれ上がる膨大な解体コストは誰が負うのでしょうか。
質問4.
六ヶ所再処理工場を動かす場合のコストは試算されていますが、動かさない場合の試算も実施して比較し、公表し、長計論議の参考にすべきではないでしょうか。

3.第二再処理工場について

第二再処理工場に現実性がないことは多くの人たちが認めているところです。電事連が提出したバックエンド費用のコスト試算にも、第二再処理工場は含まれていません。電気事業分科会の審議でも、第二再処理工場のコスト試算は現段階ではできないと確認されています。それほど第二再処理工場には現実性がないにもかかわらず、他方では、諸施策の確かな前提であるかのように扱われているのです。そのことが、バックエンド等の問題に関するまともな議論を妨げています。

質問5.

この際、第二再処理工場については、議論の前提から取り除くべきではありませんか。

4.中間貯蔵施設計画について

中間貯蔵施設計画も、第二再処理工場の存在を前提にしています。六ヶ所再処理工場が仮に動いたとしても、40年で廃棄になるため、中間貯蔵施設から運搬する使用済み核燃料の再処理工場とはなり得ないからです。

質問6.
新長計で第二再処理工場の扱いがはっきりするまでは、中間貯蔵施設計画を中止すべきではありませんか。
質問7.
もし中間貯蔵施設を先につくって第二再処理工場ができない場合、その中身の持って行き場がなくなって、貯蔵施設は永久貯蔵施設になってしまうわけです。政府には、そのことへの認識とその場合の対応策はあるのですか。

5.プルサーマルについて

昨年8月5日に原子力委員会は、余剰プルトニウムを持たないという原則を実際にも明確にするために、再処理とプルサーマルとのリンクを決定しました。全量再処理という方針の変更をタブーにしないことになれば、当然プルサーマルの行方も論議の的となります。

質問8.
少なくとも新長計においては再処理の扱いがはっきりするまでは、プルサーマルの準備作業をすべて中止すべきではありませんか。

以上

2004年5月26日

六ヶ所再処理施設ウラン試験凍結・バックエンド費用国民負担反対
プルサーマル計画中止・中間貯蔵施設計画中止・「もんじゅ」廃炉全国会議
(この「全国会議」は2004年6月6日に東京で開催される会議を指しており、次の呼びかけ人によって主催されるものです)

呼びかけ人(活動する主な団体/呼び掛け人はすべて個人の資格です)
アイリーン・美緒子・スミス(グリーン・アクション)
井上年弘(原水禁日本国民会議)
菊川慶子(花とハーブの里)
小山英之(美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会)
斉間満(伊方原発反対八西連絡協議会)
阪上武(福島老朽原発を考える会)
鈴木かずえ(グリーンピース・ジャパン)
高木章次(ストップ・ザ・もんじゅ 東京)
富山洋子(日本消費者連盟)
野坂庸子(核の中間貯蔵施設はいらない!下北の会)
伴英幸(原子力資料情報室)
平野良一
深江守(脱原発ネットワーク・九州)
松丸健二(核燃やめておいしいごはん)
松本浩(原発設置反対小浜市民の会)
松浦雅代(脱原発わかやま)
山口泰子(ふぇみん婦人民主クラブ)

連絡先:
グリーン・アクション(担当者:スミス)
電話:075−701ー7223  ファクシミリ:075−702−1952
グリーンピース・ジャパン(担当者:鈴木)
電話:03−5338−9800  ファクシミリ:03−5338−9817

連絡先

グリーン・アクション
〒606-8203
京都市左京区田中関田町22-75-103
(代表:アイリーン・美緒子・スミス)
TEL: 075-701-7223
FAX: 075-702-1952

グリーンピース・ジャパン
〒160-0023
東京都新宿区西新宿8−13−11 N・Fビル2階
TEL: 03-5338-9800
FAX: 03-5338-9817