3月16日:おおい町への要望書
FoB−FoAと熊川断層との連動を考慮に入れてください
従来の耐震評価値を引き下げるような関電の姿勢は絶対に容認しないでください
おおい町長 時岡 忍 様
大飯3・4号機の運転再開がどうなるかに全国的な注目が集まるなか、「安全確認を最優先に考える」とのお立場を表明されていることに敬意を表します。
おおい町議会の「統一見解」で、「若狭地方に影響を及ぼすと考えられる地震と津波に関する科学的検証の推進」がうたわれているように、大飯原発にとって、地震と津波の問題は特に重要性が高いと考えられます。ところが、津波の現地調査は今年11月初めまでかかります。ストレステストではその調査は事実上無視されています。
とりわけ、いま、大飯原発のすぐそばを通るFoB−FoAと熊川断層との連動性が大きな問題になっています。関西電力が、2月29日の国への報告書の中で連動を否定する見解を出したのに対し、3月12日の「地震・津波に関する意見聴取会」で4名の専門委員は、連動を当然想定すべきだとの意見を強く主張しています。
その際、特に端的に問題になるのは、地震時に制御棒が評価基準値(許容値)2.2秒内に挿入されるかという問題です。これまで関電が国や福井県に提出した報告書では、FoB−FoA連動時の制御棒挿入時間の評価値は2.16秒となっており、評価基準値(許容値)との間にわずか2%の余裕しかありません。熊川断層との連動を想定すれば評価基準値(許容値)を超えるのは確実です。評価基準値(許容値)を超えれば運転が許されないことは、3月1日の福島みずほ議員へのレクチャーの場で、原子力安全・保安院の原子力発電審査課・耐震安全審査室の御田俊一郎・上席安全審査官に何度も確認しています。
ところがここにきて、3月13日の原子力安全委員会・第5回総合的評価検討会の資料第5-3において、原子力安全・保安院は、関西電力の評価によると、制御棒は「許容値2.2秒に対して1.88秒で挿入されるとしている」と述べています(7頁)。つまり、関電は従来の2.16秒を1.88秒に引き下げ、それでもって余裕が十分あるかのように見せようとしています。こうして、仮に熊川断層と連動しても評価基準値(許容値)を超えないように予防線を張ったものと考えられます(数値については下記の表を参照してください)。
大飯3・4号機 制御棒挿入時間に関する評価値と評価基準値
挿入時間の評価値 | 挿入時間の評価基準値(許容値) | |
従来の評価 | 2.16秒 | 2.2秒 |
3月13日保安院資料 | 1.88秒 | 2.2秒 |
福島事故を踏まえながら、従来の評価値を意図的に切り下げるという、このような姑息なやり方が許されていいのでしょうか。「統一見解」では、「福島原発事故の知見を反映した安全基準の提示と対策」が主張されています。その意味では、むしろ従来の耐震評価値をより厳しい方向に見直すことが重要ではないでしょうか。
このような観点に立って、以下の点を要望します。
要 望 事 項
- FoB−FoAと熊川断層との連動を考慮に入れてください。
- ストレステストでは基準地震動(700ガル)の1.8倍が目安にされていますが、これは炉心溶融に至る一歩手前(クリフエッジ)を意味しており、安全性の基準とは別のものです。耐震評価基準値を超える場合は運転は許されないという立場を堅持してください。
- 福島事故を踏まえて安全性をより厳しく評価するという立場に立ってください。まして関電が意図しているような耐震評価値を引き下げるという姿勢は絶対に容認せず、断固として拒否してください。
- 津波調査が終了するまで大飯3・4号機の運転再開の判断をしないでください。
2012年3月16日
原発設置反対小浜市民の会
プルサーマルを心配するふつうの若狭の民の会
七番めの星
グリーン・アクション
美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会(美浜の会)
連絡先団体
美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会(美浜の会)
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