グリーン・アクション(京都)、原子力資料情報室(東京)、Ecodefense(モスクワ)共同声明(日本語)
国際発信:2009年5月11日
日ロ環境団体による声明 日ロ原子力協力協定が及ぼす結果
本日、ロシアのプーチン首相は東京に到着します。来日中、麻生首相と会談する予定です。報道によると、両首相はロシアと日本の間の2国間原子力協力協定を調印します。協定は、日本の核物質をロシアに送ることを可能にします。具体的には、 両国は、英国とフランスで日本の使用済み核燃料が再処理される際、取り出されるウラン(回収ウラン)をロシアで再濃縮することをこの数年間、検討してきました。再濃縮された回収ウランは、燃料として日本の原子力発電で使用されるか、第三国に輸出されることになるでしょう。 これまでの情報から、ロシアのアンガルスク(Angarsk)にあるウラン濃縮工場が主に使用されるのは明らかです。なぜなら、ロシアがアンガルスクに「国際ウラン濃縮センター」を設立しているからです。このセンターは、イラン等の国際制裁下にある国々を含め、国内でウラン濃縮できない国に対して、ウラン燃料供給を保証しようとするものです。 日本とロシアの間で協定が締結され、再濃縮への道が開かれた場合、日本の使用済み核燃料から抽出されたウランは、ユネスコ世界遺産のバイカル湖の近くにあるアンガルスク・ウラン濃縮工場へ約1万キロメートルもかけて輸送されます。このような長距離輸送はテロ攻撃の対象となり、また大量の放射能を放出する輸送事故につながりかねません。
回収ウランの濃縮と核燃料製造から生じる膨大な劣化ウランを含む放射性廃棄物は、永久的に環境中から隔離し貯蔵しなければなりません。ロシアの環境団体によると、アンガルスクにはすでに10万トン以上もの放射性廃棄物が貯蔵されています。ロシアの核産業はこの廃棄物を処分する計画をまったく持っていません。コンテナに貯蔵された放射性廃棄物は、屋外に置され、コンテナは部分的に腐食していると伝えられています。放射能漏れの危険性があります。放射能が漏れた場合、アンガルスクの周辺が汚染され世界最大の淡水湖であるバイカル湖の生態系にも被害が及ぶ恐れがあります。
また、濃縮のためロシアへ回収ウランを送る日本の提案は国際的核不拡散体制をさらに弱体化させてしまうことが憂慮されます。日本政府は、日本の核物質がイランやその他の核兵器開発疑惑のある国へ流用されないという確証を持ち得ません。ロシアは昔から自国の資源で国内需要(高濃縮ウランを軽水炉用のウラン燃料濃縮レベルへ還元することも含む)を賄ってきました。他国からのウランが輸出される可能性がより高いと考えられます。国際原子力機関(IAEA)の核保有国に対する不十分な保障措置や、イランのブシュール(Bushehr)原子力発電所へ燃料供給を決定したというロシアの確固たる意思は深刻な懸念材料です。IAEAによる最新の保障措置施設リストに、ロシア連邦の施設は含まれていない。
地元住民は全面的にウラン濃縮の国際センターの設立と新しい濃縮契約の計画には反対しています。2006年12月から抗議してきました。非常に繊細なバイカル湖の生態系が放射性物質によって破壊されることを阻止するために、人々は当局に新たな濃縮契約の撤回を求めています。日本とロシアは、民主主義の価値を遵守し、地元住民の願いを尊重するべきです。私たちは、両政府に対し日本の回収ウランの再濃縮をロシアで実施することを認める協定を締結しないことを要求します。
連絡先:
グリーン・アクション: 075-701-7223 もしくは 090-3620-9251 (アイリーン・美緒子・スミス)
email: amsmith@gol.com
原子力資料情報室: 03-3357-3800 (伴英幸)
email: cnic@nifty.com
Ecodefense (モスクワ, ロシア): +7-985-7766281 or 903-2997584 (Vladimir Slivyak)
email: ecodefense@online.ru