青森県会議員宛:アクティブ試験安全協定書(素案)の問題点

2006年2月19日
青森県会議員の皆様へ

1:放出量の管理目標値として、もっと多く放射性物質を扱う通常運転の場合を当てはめている

 アクティブ試験では、来年3月までのほぼ1年間で273トン、来年4月からの約半年間で残りの157トンの使用済み燃料を再処理することになっています。ところが安全協定書(素案)では放射性物質(放射能)放出の管理目標値として、毎年800トン再処理するという通常運転の場合の放出量をそのまま採用しています。

 つまり1年間に800トンのせいぜい35%程度を再処理するのに、放射能放出量の管理目標値は800トン処理並みを基準に計算しているのです。結果として原燃に対しとても甘い規制値になっています。

 

2:濃度規制がない

  • この安全協定書(素案)はアクティブ試験で放出される放射性物質の濃度を規制していません。これまでに結ばれてきた再処理以外の六ヶ所村核燃サイクル施設の安全協定書にはすべて濃度規制値が明記されてきました。いままでの核燃サイクル施設の安全協定書では放出される放射性物質は、3ヶ月平均の濃度で規制されています。今回の素案の場合、濃度規制はまったく表示されていません。
  • 平成12年の科技庁告示第13号で、他の原子力施設の場合と違って、再処理工場は海洋放出の濃度規制がはずされました。それでもその告示では気体放出についての濃度規制は規定しています。しかしこの安全協定書(素案)では気体放出の濃度規制も外されているのです。
  • 茨城県の安全協定では、再処理工場に対しても、気体も液体放出も濃度規制があります。3ヶ月平均濃度として管理目標値に入っています。
  • 気体に関する濃度測定は原燃の六ヶ所再処理施設のアクティブ試験の項目にも入っています。

3:大量放出が規制できないようになっている

 茨城県の安全協定書では、年間だけでなく3ヶ月放出量も規制の対象になっています。一方、六ヶ所の再処理施設の安全協定書(素案)は茨城県の場合よりとても甘くなっています。茨城県の場合、クリプトン85の大気中放出については、「備考」ではあれ、1日放出量や1時間放出量も規制対象として書かれています。青森県の素案にはこれがありません。

 放出量の枠内を年間にしてしまうと、そのときどきで大量放出されてもそれは規制対象にならなくなってしまいます。


別途モニタリングについての注目点

 青森県が1月24日に公表したモニタリング計画では、海水中の放射能濃度を300Bq/リットルとしています。これは計算上、約78平米ある「むつ小川原港港湾区域」での平均濃度です。

 このように広い区域の平均をモニタリング対象にするとは非常におかしなやり方です。アクティブ試験が始まれば、放出口の近くでは何倍もの濃度の放射性物質があることになります。しかし、これはモニタリングされないようです。ちなみに、夏に放出口の真上付近を測定したら、日本原燃の計算結果では、上記の100倍もの濃度の放射性物質があることになります。