日本原燃への申入書

日本原燃社長 佐々木 正 様

貴社の六ヶ所再処理工場の使用済み核燃料プール(使用済み燃料受入・貯蔵施設(F施設))で、291カ所もの不正溶接が起こったと聞いたとき、私たちは、なぜそんなに多数の不正が起こったのかと強い疑問を抱きました。こんなことが起こるのは、よほどの体制上の欠陥があったからに違いないと思いました。その原因や体制上の欠陥が誰にもわかるように明らかにされることを期待してきました。

政府の「六ヶ所再処理施設総点検に関する検討会」に、貴社は不正溶接の原因や品質保証体制の欠陥について報告書を提出しています。その報告書に関連して、以下の点について指摘または質問をしますので、貴社の見解を3月19日までに文書で回答してくださるよう申し入れします。

1.使用済み燃料プールで291カ所もの不正溶接が起こった原因は結局のところ何だったのか、この点を誰にも分かるように端的に文書で説明してください。

2.貴社は、根本原因分析の結果から最終的に次の5点の品質保証体制における「反省点」を導いています(貴社の2月13日付け点検結果報告書)。

[1]化学的な安全性など原子力安全以外に対する品質保証の考慮が十分でなかった。
[2]施工段階の品質保証の重要性に対する認識が十分でなかった。
[3]使用済燃料受入れ・貯蔵施設施工時の人員配置の適正化を欠いた。
[4]協力会社と適切なコミュニケーションを行える体制の確立がなされていなかった。
[5][1]から[4]の事項に関して、トップマネジメントの関与が不足していた。

これに関連する以下の点について、だれにもわかるように説明してください。

(1) これらの反省点はF施設にとどまらず、再処理工場本体をつくったときの貴社の品質保証体制全体に根本的な欠陥があったことを示しています。それゆえ、工場はつくり直す以外に安全性は保証されないのではないかと私たちは懸念します。 これだけ重要な反省点をもつほどに欠陥のある品質保証体制のもとで建設された工場について、その安全性が保証されているとどうして言えるのですか。

(2) 例えば、「化学的な安全性など原子力安全以外に対する品質保証の考慮が十分でなかった」との反省点は、検討会委員からも指摘されたように、再処理工場の本質が化学的過程にあるという認識が貴社に欠如していたことを示しています。これでは、再処理工場に、隠された本質的な欠陥が存在するという可能性を否定できないのではないでしょうか。

(3) 原子力安全・保安院は、検討会資料9−4の20頁において、「『事業者の信頼性』の基礎となる品質保証体制については、今次点検の結果、幾多の本質的な課題が浮き彫りになった」と述べています。そうすると、品質保証体制に本質的な課題を抱えていて信頼性に欠ける貴社の行う点検によって建物の健全性が確認されているとどうして言えるのですか。

(4) 貴社は点検によって「設備及び建物の健全性」は確認されたというかも知れませんが、書類点検等でそれほど簡単に健全性が確認できるものなのでしょうか。品質保証体制に本質的な欠陥があったのに、どうして書類は信頼できるのですか。また、PWR燃料貯蔵プールの水漏れ箇所を突き止めるだけのことに1年4ヶ月(01年7月〜02年11月)、291箇所の不適切溶接が確認されるまでにさらに9ヶ月(〜03年8月)を要したのに、より複雑な本体箇所の欠陥の有無までがなぜそんなに簡単に短期間で確認できたのですか。

3.貴社は、ウラン試験を今年4月に開始すると表明しています。ところが、いまだに、不正溶接の原因等について青森県民にも、国民にも納得のいくような説明をしていません。しかも、プルサーマルが実施できる見込みはいまだにたっていないのに、なぜそのように急いでウラン試験を進めなければならないのか、この点の説明もなされていません。まだ海外に置かれているプルトニウムを使う目途さえたっていないのが実情なのです。

それほどに急ぐ本当の理由は、原発の使用済み燃料プールが逼迫した状況になっているからではないのですか。もしそうなら、それは現在のスケジュール優先ともいうべき態度です。そのような安易な行為に走ることなく、安全性についてじっくりと検討すべきではありませんか。

4.私たちは2月4日に貴社に対し公開質問書を提出しました。1週間以内での回答を求めましたが、貴社からの回答が寄せられたのは約1ヶ月経過した後でした。

私たちは「工事期間が厳しいとは言えない」という貴社の結論の裏付けとなる事実についてたずねたのです。ところが貴社の回答は抽象的で、具体的な事実に触れるのを避けています。私たちはQ1で「作業工数を計算した際の作業者の人数を明らかにすること」、またQ4で「各設備ごとに」実際の工事期間を記述するよう求めているのに、それらには答えていません。

私たちは、国の公表検査資料に基づいて作成した添付資料も提示して、F施設における後張りライニング期間「約7ヶ月」の実態を問題にしているのです。その添付資料によれば、実質的な工事期間は約3ヶ月であったと読みとれます。この判断が間違いだというのであれば、各施設ごとの具体的な工程表を提示して、そのことを説明してください。

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