[日本語訳]セラフィールドの将来に対する二重の脅威──Double threat to future of Sellafield

ジェフリー・リーン、ジェイソン・ニセ
2003年3月2日 インディペンデント紙

セラフィールドの新しい危機は、その将来に対する新たな脅威を有していると、日曜版インディペンデント紙は暴いている。その最新の、最も激しく論争を呼び起こしている2つの施設は、(ソープ再処理工場と新MOX工場SMPのこと)深刻なトラブルに見舞われており、大臣達は、セラフィールドの国家的理由を損なう2つの新しい原発の建設を計画している。

不吉な二重の致命的な打撃の一つは、カンブリアの核燃施設を操業しているBNFLが、新工場でのプルトニウム燃料の最初の注文の完成が、少なくとも1年以上遅れることを認めたことである。つまりこれは、BNFLが以前に施設の生存可能性を危うくすると警告していた遅れである。

2つ目は、多くの批判をあびているソープ再処理工場の主要な顧客達が、BNFLによる値上げの企てに対する報復として、それをボイコットすると脅しをかけていることだ。

この2つの危機は、セラフィールドの心臓部を直撃している。セラフィールドの役割は、イギリス国内と海外の原子力発電所から発生する高い放射能をおびた使用済核燃料を受け入れ、「再処理を行い」、再び原発で使用するためにプルトニウムとウランを抽出することである。

問題は、前述のセラフィールドの役割に対する需要がないことにある。というのも、世界でプルトニウムとウランがだぶついているからだ。イギリスはすでにプルトニウムを大量に貯蔵しており、テロリスト達の潜在的な標的になっているという懸念が増加している。15ヶ月前にBNFLは、プルトニウムとウランの混合酸化物燃料(MOX燃料)を製造する新しい施設の操業を開始したが、それは高くつくので、会社は顧客を見つけることに苦労している。

また一方で、再処理に要する費用がブリティッシュ・エナジー社の倒産の主因であり、そしてこの費用の問題は、原子力に終止符を打つことに手助けしている大臣達によって認められている。原子力は、先週公表されたエネルギー白書から削除された。そして、直近のこの事態が起こる前でさえ、再処理とMOX工場の経済性は不安定なものであった。BNFLは、イギリス国内の批判者達やアイルランド政府の批判を押し切って、この春までに終えなければならないスイスの原発用の最初の注文を完成させることに関する「明確な遅れ」は、その操業に「深刻な損害」を与えるだろうと主張することで、政府を説き伏せて、2001年12月にMOX工場の操業開始許可を得た。

工場がフル操業するまでに予想以上に時間がかかっているため、2004年春の段階でもプルトニウム燃料の製造が完了しないことを、今ではBNFLも認めている。スイスの顧客は、不承不承この事態を受け入れているが、BNFLは以前から、このような遅延が「数千万ポンド」の価値のあるほかの注文に影響をあたえかねないと主張している。

2つ目の危機は、ヨーロッパにおける再処理の最大の顧客であるドイツの原子力会社が、BNFLの値上げ要求に対し、再処理から撤退すると脅していることである。BNFLは、ソープ再処理工場の経済的困難を緩和するために、契約にコスト上昇の「変更」を要求している。BNFLは、これは「機密事項であり、「マスコミを通じた交渉を行わない」と述べ、この危機について語ることを拒んでいる。

現在、最終的には皮肉なことだが、大臣達は18億ポンドの費用をかけて、売れないMOX燃料を燃やすためにセラフィールドに2つの新しい原発を建設しようとしている。この計画は、増えつづけるプルトニウムの在庫をなくすため、「環境保護の見地」から正当化されることであろう。それは異常な事態である。まず使用済核燃料がセラフィールドの原子力コンビナートの一方の端から入れられ、再処理されてプルトニウムとウランが抽出される。それらの物質は、MOX工場で燃料となる。するとこの燃料が新しい原発で燃やされて再び使用済核燃料となり、サイクルが完成する。

環境への放射能汚染に反対するカンブリア人の会の活動責任者であるマーティン・フォワードは、昨日、次のように述べた。「これは長く続けられてきた茶番劇の最終幕だ。事業が破綻したため、セラフィールドは結局、納税者に何十億ポンドの犠牲を課して、まるでヘビが自分の尻尾を飲み込むような結末になっている。政府はもはやこれらすべてのばかばかしい事態に終止符を打ち、再処理を安楽死させ、英国をこの苦悩から解放させるべきだ。

以上

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