資源エネルギー庁宛:東洋町においてNUMOの文献調査が拒否されたことを踏まえ、処分事業のあり方を見直すよう求める要望書

2007年5月7日

経済産業省
資源エネルギー庁 御中

核のごみキャンペーン関西

去る3月28日、経済産業省は、原子力発電環境整備機構(NUMO)による高知県東洋町での高レベル放射性廃棄物最終処分場建設のための文献調査開始を認可しました。地元住民はじめ近隣自治体の合意がまったくといっていいほど得られていなかった中での暴挙であったことを抗議します。

そもそも、東洋町の田嶋前市長による文献調査へ応募は、始めから民主的なプロセスを著しく欠いたものでした。議会での町長に対する辞職勧告決議、放射性廃棄物持ち込み反対決議があるにもかかわらず、応募が強行されました。その後も同様の決議に加え、処分場建設を拒否する条例が一旦は可決され(町長の再議により阻まれたものの)住民の反対が根強いことを示しました。加えて、徳島県議会、高知県議会でも全会一致で反対が決議され、周辺自治体の合意が得られていないことも明白な状態でした。

それにもかかわらず、手続きは進行し、NUMOは応募を受理、経産省に対し文献調査開始の認可を申請、経産省による認可へと至りました。このことは、反対があることはもとより承知、それでも既成事実を先行させて、交付金による利権構造を地元に発生させれば、反対運動は切り崩していける、という考え方を如実に表したものです。権力の座にある者がこのような考えを持つことは民主主義の存立を危うくするものであり、断固抗議します。

結局、出直し町長選によって、処分場反対を唱えた沢山新町長が圧倒的な支持を得たことで、一連の手続はようやく撤回されました。しかし、民主的なプロセスを尊重すれば避けられたにもかかわらず、町民の間に不毛な対立が持ち込まれたことは理不尽なことです。処分法および制度の不備と、国の姿勢が改めて問われています。

経済産業省は、東洋町住民から拒否されたことを謙虚に受け止め、文献調査開始の認可を下したことは拙速であったと認めてください。そして、今後は地域住民の合意が形成されるまでは一方的に手続を進めないよう改めて要請します。また、一方的に原子力政策に対する「理解」を求める姿勢を改め、高レベル放射性廃棄物処分事業のあり方について、本当にこのままでいいのか検討し直すよう求めます。


この共同アピールは「核のごみキャンペーン」サイトの「高レベル放射性廃棄物問題]にも掲載されています。