総合資源エネルギー調査会原子力安全・保安部会核燃料サイクル安全小委員会宛:日本原燃のアクティブ試験第2ステップ・中間報告書の評価に関する要望書
2007年1月12日
総合資源エネルギー調査会原子力安全・保安部会
核燃料サイクル安全小委員会
委員長 松本史朗 様
委員各位 様
六ヶ所再処理工場で実施されてきたアクティブ試験第2ステップに関する日本原燃の評価が、昨年12月26日に中間報告書(その2−2)として報告されました。その報告書について、貴委員会は1月15日に検討されることになっています。
その報告書内容について、私たちは特に次の3点に基本的な疑問を抱いていますので、慎重な審議をされるよう要望いたします。
1.「実績工程」期間外の海洋放出等が評価対象になっていないのではないでしょうか
中間報告書が評価対象としているのは、基本的に「実績工程」となっています。第1ステップでは昨年3月31日〜6月26日、第2ステップでは8月12日〜12月6日が「実績工程」となっています。そして第1ステップの中間報告書は7月7日に出されています。
ところが実際には、例えば第一ステップの「実績工程」での燃料せん断により発生した放射性廃液は、その「実績工程」期間内よりも、むしろ期間後に格段に多く海洋放出されています。海洋放出はアクティブ試験の重要な項目になっているにも係わらず、その大部分が評価の対象からはずれているということです。
今回の中間報告書(その2−2)で初めて9月8日という区切りの日付がでてきますが、これが何の日付なのか何も説明されていません。しかし、前後の脈略から判断すると、恐らく9月8日は第2ステップでせん断された燃料からの放射能が初めて海洋放出された日だと推定されます。その場合、6月27日〜9月7日の海洋放出は第1ステップの評価対象になっていないことになります。
6月27日〜8月11日と12月7日以後は評価を行うためのホールドポイントとされています。そのホールドポイントで試験工程を実施すれば、それは必然的に評価対象からはずれてしまいます。中間報告書はこのような基本的な問題を抱えていると考えますので、この点を根本的に再検討されるよう要望します。
2.放射能の海洋放出による拡散状況を調査検討する必要があるのではないでしょうか
中間報告書(その2−2)では、環境への放出放射能量が年間管理目標値を下まわることは試験項目として確認されていますが、海洋放出した放射性廃液がどのように実際に拡散していくのかについて何も書かれていません。年間管理目標値は海洋でのある拡散の仕方を想定した被ばく評価に基づいています。そうである以上、海洋拡散が申請書の想定どおりかどうかについても、試験工程を通じて実際に確認する必要があるのではないでしょうか。
放射能の海洋放出は4月以来実施されており、すでに大量のトリチウムが海洋放出されています(11月18日の放出濃度は一般原子力施設での濃度規制値の約1400倍にも達しています)。その放射能は沿岸沿いに流れるのでなく、広く拡散するような形態をとったのかどうか、試験工程の中で実際に調査されているべきではないでしょうか。
この点について、沿岸漁業者や住民が安心できるよう、国で十分に検討を加え公表するまでは、次に進めるべきではありません。
3.燃料のせん断を中断させた原因物質の実態が明らかにされていないのではないでしょうか
第2ステップの燃料せん断は、昨年8月18日に開始され6体をせん断した後、7体目で中断しています。その中断について日本原燃は、不適合事項の「せん断機内部の固着物除去方法の追加」という件名で報告しています。「方法の追加」という限定的な件名にすることで、せん断中断の原因に触れることを避けているように受けとれます。
実際の現象としては、せん断機に燃料集合体を挿入する過程で停止したのですが、その停止は「マガジン底部に直径数ミリメートルの固着物」のためでした。そのため「ワイヤブラシ等を用いて固着物等の除去を行い、一部残ったものについては砥石にて除去した」と書かれています。
この記述からは、相当な量の固着物が存在したと推定されますが、事実、6月の燃料集合体1体当たりのクリプトン放出量とこのときの1体当たりクリプトン放出量の比較から、ウラン重量にして約400kg以上の燃料粉が固着していたと推定されます。その中には当然プルトニウムの相当量が含まれていたはずです。
ところが、固着物が何なのか、どれだけ存在したのか、それをどう措置したのかなどはいっさい報告されていません。この点をぜひ問題にしていただくよう要望します。
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