志賀原発運転差止訴訟判決に関する緊急申し入れ書
2006年3月30日
原子力安全委員会
委員長松浦祥次郎殿
原子力安全・保安院 院長 広瀬研吉殿
2006年3月24日金沢地方裁判所は、北陸電力が建設・運転する志賀原発2号炉は、原子力安全・保安院、原子力安全委員会の行った安全審査の想定した地震を越える地震が発生する可能性を否定できないので運転してはならないとする判決を下した。判決は、現行の原子力施設の耐震基準が、1978年に策定された古い地震学の知見に基づくもので、近年次々と発生している地震で確認された諸事実から、基準の不十分さが明確になったとしている。
判決は、2000年10月6日の鳥取西部地震では活断層が未確認の地域でマグニチュード7.3が観測されたが、島根原発の安全審査では直下地震としてマグニチュード6.5しか想定していないこと、2005年8月16日の宮城県沖地震は女川原発の安全審査の想定より遠くて小さい地震であったが、想定以上の揺れを観測したこと、政府の地震調査推進本部が想定する地震規模に比較して原子力施設の設置許可時の想定する地震規模が小さいこと等に具体的に言及している。安全審査で想定した地震での揺れの推定が、実態と合わないことを厳しく指摘している。
これらの指摘は、全国の原子力発電所や原子力施設に共通することで、かねてから原子力関連施設の耐震設計に疑問をもつ私たちが指摘してきたことである。
日本は地震列島で、いつどこで大地震が起こるか分からない。原子力施設がひとたび破壊されれば、取り返しのつかない惨事を招くことになる。
判決を踏まえて、以下の緊急申し入れを行う。
- 志賀原発の運転を停止し、耐震性を再確認し、説明責任を果たすこと。
- すべての原子力発電所と核燃料サイクル施設の耐震安全性を速やかに見直すこと。見直しが済むまでは施設の運用を休止すること。
- 当初の設置許可と異なる運転許可(プルサーマル等)は、新しい知見での評価が済むまで凍結すること。
- 建設中の六ヶ所再処理工場のアクティブ試験を中止し、耐震安全性を速やかに見直すこと。
- 現在審査中の、原子力施設の設置許可申請の審査を凍結し、新しい知見に基づく申請に差し替えるよう、申請者に指示すること。
- [申し入れ団体:計71団体]
- R-DANネットワークさがんもん/命のネットワーク/いらんちゃ原発連絡会/牛小舎/(有)オフィス・パパン/核燃から海と大地を守る隣接農漁業者の会/核のゴミキャンペーン/核のごみキャンペーン・中部/核のゴミから土岐市を守る会/核の「中間貯蔵施設」はいらない!下北の会/核燃サイクル阻止1万人訴訟原告団/核燃止めよう浪岡会/核燃料廃棄物搬入阻止実行委員会/柏崎刈羽原発設置許可処分取り消し請求訴訟原告団/柏崎原発反対同盟/柏崎地区労働組合会議/柏崎守る会連合/からつ環境ネットワーク/唐津の海を守ろう市民の会/環境と平和のネットワーク「ハーモニー」/北九州から脱原発社会を考える会/九電消費者株主の会/「9条の会・おおがき」/グリーン・アクション/グリーンアクション・六ヶ所/グリーンピース・ジャパン/原子力資料情報室/原子力発電を考える石巻市民の会/原水爆禁止長野県協議会/原水爆禁止日本国民会議/原発いらん!下関の会/「原発核燃とめようかい」/原発反対刈羽村を守る会/財団法人原爆の図丸木美術館/山谷労働者福祉会館活動委員会/志賀原発差止訴訟原告団/志賀原発差止訴訟弁護団/志賀町勤労者協議会/島根原発増設反対運動/市民ネットワーク千葉県/下北半島と神奈川を結ぶプロジェクト/「終焉に向かう原子力」実行委員会/ストップ・ザ・もんじゅ東京/ソーラーネット/高木仁三郎市民科学基金/脱原発・東電株主運動/脱原発ネットワーク・九州/脱原発福島ネットワーク/脱原発をめざす新潟市民フォーラム/たんぽぽ舎/「チェルノブイリ子ども基金」/「チェルノブイリ被害調査・救援女性」ネットワーク/東京電力と共に脱原発をめざす会/徳山ダム建設中止を求める会/ネットワークみどり/花とハーブの里/浜岡原発を考える静岡ネットワーク/「反原発出前のお店」/PEACE LAND/弘前脱原発・反核燃の会/福島老朽原発を考える会/フェアトレードショップ ら・なぷぅ/プルサーマルいらない浜岡ネット/プルサーマルを考える柏崎刈羽市民ネットワーク/平和・人権・環境を考える岐阜県市民の声/平和と緑の会/放射能のゴミはいらない!市民ネット・岐阜/美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会/未来バンク/有事立法はイケン(違憲)!広島県市民連絡会/若狭連帯行動ネットワーク