リーフレット:日本原燃が適用している大気への放射能放出評価方法──フランスは6年も前にやめています

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フランスのラ・アーグ再処理工場では、排気筒から放出された放射能(クリプトン85)は、比較的近い風下で地表に降りてしまうことが、実際測ってわかりました。この地表に降りた放射能の濃度は、当初立てていた計算値より大幅に上回っていることが指摘されました。
フランスでは、このギャップが公的に認識され議論された結果、それまでの理論を捨て去り、測定事実を優先させる別の方法(Alternative Method)が、政府や事業者であるコジェマ社も含めたグループGRNC*1により2000年以後採用されるようになりました。
GRNCの報告書では、当初の気象指針のモデルは、煙突が高い場合、工場から近いところでは、適用は不適切であると結論づけています(煙突が高いのはフランスも六ヶ所も同様です)。
六ヶ所再処理工場で、フランスの方式を採用すると、現在日本原燃が公表している「これは超えない」という「約19マイクロシーベルト*2」の2倍ちかい「35.73マイクロシーベルト*3」になります。フランスの法的な線量目標値は「30マイクロシーベルト」なので、それも上回っています。

放射能が畑に降りてくるイラスト

先輩のフランスから民主的な方法を学びましょう

フランスでは、それまでの理論が実測に合わないことを素直に認め、実測値を重視する方法を採用することをコジェマ社、フランス政府、市民団体を含めた広範囲の人びとの知恵を集めて決めています。

次は六ヶ所の番です

六ヶ所再処理工場からの大気放出放射能の計算に使われているような気象指針は、フランスでは不採用となっています。日本原燃の安全評価の基礎が誤っていることが明確になった今、従来の安全評価は直ちに見直しましょう。


*1: GRNC (Groupe Radioecologie Nord-Cotentin)
1997年設置。J. F. Viel教授によって提起されたラ・アーグ再処理工場周辺の小児白血病問題を調査する目的で、環境省と厚生省によって召集されました。事業主体であるコジェマや政府系の(IPSN)や海軍、また核放射能に関する専門家の市民団体であるACROやGSIENなどで構成されています。
*2:マイクロシーベルト(オSv)=0.001ミリシーベルト(mSv)
*3:参考資料:陳述書──六ヶ所再処理工場からの放射能大気放出に関する被ばく評価への気象指針の不適用性について(美浜の会代表小山英之氏 2006年9月22日提出)右記サイトより閲覧可:http://www.jca.apc.org/mihama/reprocess/chinjutsu060922.htm
フランス語資料──Comparaison des mod粛es gaussiens de dispersion atmosph屍ique de Doury, de Pasquill et CAIRE avec les r市ultats des mesures du Krypton 85 r斬lis仔s autour de lユusine de retraitement des combustibles irradi市 de La Hague, IPSN, Rapport DPRE/SERNAT/00-21(2000).