２０１３年９月３０日

京都府知事　山田啓二様

　東日本大震災および東京電力原子力事故の被災者・避難者に対し、多大なご支援をいただき、まことにありがとうございます。特に、国による支援がほとんどなく苦しんでいた原子力事故自主避難者へのご支援を、事故発生後早期より柔軟に実施してくださいましたことに、心より御礼申し上げます。
　昨年６月全会一致の議員立法により国会で成立した「東京電力原子力事故により被災した子どもをはじめとする住民等の生活を守り支えるための被災者の生活支援等に関する施策の推進に関する法律」（以下「支援法」）は、この原発事故被災者の放置状態の抜本的改善へ希望の光となりました。この「支援法」は、被ばくを可能な限り避けながら被災地に住み続けることも、避難を選択することも、避難先から帰還を選択することもいずれも自己決定として肯定する画期的な理念法です。
そして、「支援法」に基づく『施策の適正な実施に資するため、当該施策の具体的な内容に被災者の意見を反映し、当該施策の具体的な内容を定める過程を被災者にとって透明性の高いものとするために必要な措置を講ずるものとする』（「支援法」第１４条）と明記されています。復興庁は「支援法」成立後、即刻被災者の実態を調べ、被災者の声を集めるべきでした。
ところが、これを１年２ヵ月も放置し、被災者の意見を聞くこともなく８月３０日に「被災者生活支援等施策の推進に関する基本的な方針（案）」（以下「基本方針（案）」をたった２週間のパブリックコメントを求めるだけで、公表しました。多くの批判を受けてパブコメ期間は１０日延長されましたが、『被災者にとって透明性の高いもの』とはほど遠い実態です。「支援法」の存在を知る人は少なく、被災者自身にも知られていない現実があります。
福島・東京では説明会を開いたそうですが、京都府を始め、関西にもたくさんの避難者の方がいます。避難していることすら周りの人に言いだせない人、避難しているのに避難登録できない人もいることを考えれば、その数は今把握されている何倍にも上ると考えられます。こうした人々に、直接意見を求め、対話を通して必要な支援施策を把握していく作業が必要です。
「基本方針（案）」の施策は今年３月に公表した被災者支援パッケージと変わらず、既存の施策の寄せ集めになっていて、同法でもっとも重要な「避難の権利」を保障する避難者施策は全くありません。３３市町村だけの支援対象区域は、汚染の実態とかけ離れています。健康不安の解消ではなく、生涯にわたっての健康診断と医療支援が必要です。
関西に住む避難者の生活や健康にかかわる実態を改善できる施策実現のために関西でも公聴会を開くよう京都府から復興庁に要請していただくよう切に望みます。
　また、支援法ではじまる原発事故被災者の支援について、一本化した府の窓口を作り、京都府下の原発事故被災者の現状と支援の課題を整理し、避難者への国の支援施策および避難者受け入れ自治体への国の支援施策についての要望を、京都府として国に出していただけますよう、お願いいたします。

1. 原発事故子ども・被災者支援法の基本方針策定にあたり、京都で公聴会を開くよう復興庁に要請してください
2. 支援法ではじまる原発事故被災者の支援について、一本化した府の窓口を作り、京都府下の原発事故被災者の現状をふまえ、避難者支援施策について国に要望してください

提出団体: (2013年9月29日 現在34団体)

原発事故子ども・被災者支援法　京都フォーラム／ＮＰＯ法人　使い捨て時代を考える会／絆キャンプ／グリーン・アクション／原発なしで暮らしたい丹波の会／七番目の星／新日本婦人の会・京都府本部／I女性会議・京都／エコロジックバンド／３・１１ゆいネット京田辺／アジェンダ・プロジェクト京都／市民環境研究所／京都北部「いのち」を守る宗教者の会／京都原発研究会／京都・水と緑をまもる連絡会／サステナわかさ／難民ナウ！／グリーンフォレスト京都／ふくしま月あかりの会／こどもの未来をまもる会・生駒／震災復興プロジェクト近畿／名張の未来を考える会／原発やめよう/つながろう関西・マダム会議／Oracle itami 〜ポスト3.11を避難者と共に考える伊丹市民の会〜／おおさか生命環境コミュニタス／和歌山・放射能ガレキから命を守りた委員会／脱原発・滋賀☆アクション／大阪の公害問題を考える会／大阪此花発！STOPがれき　近畿ネットワーク／子どもたちの未来と環境を守る会ひょうご／被災者支援を考える会ひょうご／ちょっと待って！放射能ガレキ 関西ネット／花風香の会／奈良県大和郡山市平和委員会

ダウンロード：要望書　京都府知事　原発事故子ども・被災者支援法の基本方針策定にあたり 京都で公聴会を開くよう復興庁に要請してください そして、京都府下の原発事故被災者の現状を把握し、 避難者支援施策について国に 要望してください（PDF）