関西電力宛:関西電力の原発2次系配管──検査対象箇所の絞り込み等に関する質問書
関西電力株式会社 社長 藤 洋作 様
2005年2月28日
貴社は、3月中に美浜3号機事故の「最終報告書」をとりまとめる予定と言われています。2004年8月9日の美浜3号機事故以降、貴社の配管肉厚管理については様々な問題点が出てきています。類似箇所を測定することで検査を省略したり、小口径配管やステンレス配管でも大幅な減肉が見つかっています。また最近では、中央制御室にも多量の蒸気が流入していた事実が明らかになりました。私たちは、美浜3号機事故以降、数回にわたって貴社と交渉を行ってきましたが、「最終報告書(案)」をとりまとめる前に、下記質問書に回答されることを強く要請します。
1.小口径配管エルボ部の測定について
- (1)
- 東京電力は、小口経配管エルボ部はUTでは測定できないため、エルボ部下流の直管部を測定していたことが明らかになりました。福島第1原発4号機の場合、エルボ部を測定できなかった配管は、外径21.7mm(15A)の小口径配管でした。貴社は、小口径配管エルボ部の測定はどのように行っているのですか。東電と同じように、直管部を測定しているのですか。
- (2)
- 美浜3号で新たな見つかった大幅減肉10箇所のうち、第6高圧給水加熱器ドレン管ウォーミング管直管(157−23、157−62)は「2B以下の小口径配管」となっています。スケルトン図では、外径15A=21.7mmで、上記福島第1原発4号機と同じ大きさです。この配管のエルボ部はUTで測定しているのですか。エルボ部のこれまでの測定履歴を示してください。
- (3)
- 上記第6高圧給水加熱器ドレン管ウォーミング管直管(157−23、157−62)は、「その他部位」とされていますが、そこは偏流発生部位ですか。偏流はどこで発生しているのですか。
2.美浜3号で新たに確認された減肉等について
- (1)
- 美浜3号機で大幅減肉が見つかった10箇所全てが「その他部位」であり、6箇所はこれまで一度も検査が行われていませんでした。貴社は全ての原発について「今後至近3回の定期検査でその他部位を全て検査する」としています。これまで「その他部位」は、10年間で25%を検査することになっていますが、今後、この検査頻度などについて見直す必要はないのですか。
- (3)
- 美浜3号ではステンレス配管でも減肉が見つかっています(蒸気発生器ブローダウン水回収管45度エルボ部)。なぜステンレス配管で減肉が生じたのですか。当該部位の温度、流体の状態(水系か蒸気系か)、流体速度、圧力等を示して説明してください。
3.余寿命5年以下の配管について
原子力安全・保安院が2月18日に出した「原子力発電所の配管肉厚管理に対する要求事項について」では、配管余寿命が5年以下になった場合について、取り替えなどの措置を指示しています。
各原発ごとに、余寿命5年以下の配管の資料を示してください。その場合、配管の「肉厚測定部点検結果整理票」を示してください。
貴社の昨年大飯1号の主給水管で大幅減肉があった時のプレス発表(2004.7.27)では「平成15年までのデータ管理システム*4は、余寿命*5が簡単に検索できるシステムではなかったため、・・・」と書かれています。そして注で「*4:平成15年度にシステムの改良を行っている」となっています。すなわち、現在では「余寿命が簡単に検索できるシステムになっている」はずであり、資料を探すのに時間はかからないはずです。
4.検査対象箇所の絞り込みについて
- (1)
- 原子力安全・保安院が2月18日に出した上記文書では、「検査対象箇所の絞込みの実例」が示されています。これまで貴社が行ってきた、検査の絞り込み、代表部位の設定箇所はありますか。あれば、具体的に示してください。
- また、今後新たに代表部位を設定することを検討していますか。
- (2)
- 前回の交渉では、大飯2号で行った類推の手法は行わず、全て検査するとの回答でした。今後も、代表部位などは設定せず全て検査するということに変わりありませんか。
5.大飯1号の主給水管の減肉について
昨年7月に、大飯1号の主給水管で大幅な減肉が生じていることが明らかとなりました。4系統の内、3系等では大幅減肉が生じ、残り1系統ではほとんど減肉が生じていませんでした。減肉が生じていたのは、45度エルボ部も含まれており、他方減肉が生じていなかったのは、条件が厳しいと言われる90度エルボ部でした。なぜこのようなことになったのか、その原因は明らかになりましたか。
6.中央制御室への蒸気の流入について
美浜3号機事故では、多量の蒸気が中央制御室にも流入し、「複数の制御盤に水滴の跡があった」と、最近報道されています(2月25日朝日新聞)。
他方、貴社が12月21日に福井県に報告した資料では、蒸気の影響範囲は、「タービン建屋全域(1階〜3階)に及んでいた。なお、中間・制御建屋の一部にケーブル貫通部等から蒸気がはいったが、設備に影響はなかった」と書かれています。
中央制御室の運転員が高温の蒸気にさらされ原発の運転・制御ができなかったり、機器の操作が不能になっていたとすれば、大変な事態に陥った可能性があります。
中央制御室への蒸気の流入とその影響に関して、詳しく説明してください。
以上
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