大飯3・4号機の安全性に関する質問・要望書

敷地内破砕帯の現地調査・検討を早急に行うこと
制御棒挿入性に関する基準を明確にし、安全評価を行うこと
これらが明確になるまで再稼働に向けた準備を停止してください

 野田首相と3閣僚は6月16日、西川福井県知事の同意を得て、大飯3・4号機を再稼働することを決定しました。しかし、この政治的決定によって、敷地内破砕帯の危険性等が消えてなくなるわけではありません。
 西川知事が首相に伝えたのは「安全性」という予定された言葉だけです。事実、その判断の基礎になったはずの県原子力安全専門委員会の6月11日付報告書には、安全性に関する独自の判断が何も書かれていないに等しいのです。
 それどころか、6月10日の同委員会では、敷地内の破砕帯及び制御棒挿入性に関する新たな安全性問題が浮上しています。それらは原子力安全・保安院に判断を迫るものです。
 そのため、以下の質問を行い、その観点から最後に要望を行います。

1.大飯原発敷地内を通る破砕帯の問題

 敦賀原発では、4月の現地調査によって、国の専門家が破砕帯は活断層であると認めました。これを契機に、同様の危険性が大飯原発の破砕帯にも存在するのではないかという疑いが急浮上してきました。複数の専門家によってその危険性が指摘され、原子力安全委員会の班目委員長も調査検討の必要性を指摘しています。
関西電力は、これまで国に提出した説明資料の中で、設置許可申請書では出していたF−6破砕帯のトレンチ北側の図を省略していました(添付資料)。また、粘土の記述についても省略しています。

  1. 敦賀原発における破砕帯と同様の危険性がないかどうかについて、新たな専門家の見解も考慮して、大飯原発直下の破砕帯を早急に調査・検討すべきではありませんか。

2.大飯3・4号機の制御棒挿入時間の評価基準値について

 関西電力は6月10日の福井県原子力安全専門委員会において、制御棒挿入時間は評価基準値2.2秒を超えて11秒になってもよいとの見解を示しました。福井県はこの考えに立って県議会全員協議会で議員に説明しています。これが福井県の安全判断だということです。
 関電の考えは、基準値2.2秒はたとえば蒸気発生器伝熱管破断事故のような事故に適用されるもので、地震には適用されないがゆえに緩めてもよいとするものです。これは事実上、地震による事故を一般の事故よりも軽微だと見なすものです。

  1. 保安院はこれまで制御棒挿入時間が基準値2.2秒を超えれば、何らかの補強工事等をしない限り運転はできないと説明してきました。関電の考えは、その考えに違反するのではありませんか。
  2. 福島事故を踏まえれば、一般の事故での基準値が2.2秒であれば、地震時の基準値はより厳しく2.2秒以下にとるべきではありませんか。

以上の疑問点を踏まえて以下の点を要望します。

要   望   事   項

  1. 専門家の意見を採り入れて破砕帯の現地調査・検討を早急にやり直してください。
  2. 基準値2.2秒を超えてもよいとの関電の見地は、福島事故を踏まえれば不当であることを表明してください。活断層が3連動したときの制御棒挿入性がどうなるのかの評価結果を出してください。
  3. このような調査・検討作業が終了するまで、大飯3・4号機の再稼働準備作業は停止してください。

2012年年6月25日

原発設置反対小浜市民の会 福井県小浜市 小浜郵便局私書箱第3号

プルサーマルを心配するふつうの若狭の民の会 福井県若狭町 

サヨナラ原発福井ネットワーク 福井県越前市入谷町13-20

グリーン・アクション
京都市左京区田中関田町22-75-103 TEL:075-701-7223 FAX:075-702-1952

美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会(美浜の会)
大阪市北区西天満4-3-3 星光ビル3階 TEL:06-6367-6580 FAX:06-6367-6581

福島老朽原発を考える会(フクロウの会)
東京都新宿区神楽坂2-19 銀鈴会館405 共同事務所AIR TEL/FAX:03-5225-7213

国際環境NGO FoE Japan
東京都豊島区池袋3-30-22-203 TEL:03-6907-7217 FAX:03-6907-7219

グリーンピース・ジャパン
東京都新宿区西新宿 8-13-11N・Fビル2F TEL:03-5338-9800 FAX:03-5338-9817

福島原発事故緊急会議
東京都文京区関口1-44-3 信生堂ビル2階 ピープルズ・プラン研究所気付
TEL:090-6185-4407 FAX:03-6424-5749