福井県庁にて再稼働反対の緊急ネット署名、質問・要請書などを提出
- 再稼働反対の緊急ネット署名14,096筆、運転再開反対署名568筆(総数65,730筆)
- 質問・要請書:県の専門委員会「報告書」(6月11 日付)では、最も重要な安全性問題について、評価・判断を示していません
2012年6月13日
最も重要な安全性問題について、評価・判断を示していません
- 活断層の3連動時に制御棒が基準値(2.2 秒)以内に挿入できるか判断していない
- 大飯原発直下の破砕帯について、評価を示していない
これら重要な安全性問題を放置したまま、
大飯3・4号の再稼働を了承しないよう要請します
福井県知事 西川一誠 様
6月11日、福井県原子力安全専門委員会の中川英之委員長は、「報告書」(「福島第一原子力発 電所事故を教訓とした県内原子力発電所の安全性向上対策について(大飯3、4号機の安全性に ついて)」)を西川知事に提出しました。その際、中川委員長は「ハード面、ソフト面とも十分 な対策がされている」と述べています。しかしこの「報告書」は、下記に示すように、最も重要 な安全性問題について評価・判断を示していません。
下記の質問に早急に回答してください。とりわけ、県の安全専門委員会の「確認結果」として 示されているものについて、具体的に回答してください。
1. 制御棒挿入性について 関電の新たな評価値1.88秒については、「関電のデータを確 認しただけ」という理解でいいですか。
制御棒挿入性については、「報告書」19頁で下記のように書かれています。これは、14頁に ある「第3章 関西電力が実施している大飯3、4号機の安全性向上対策とその確認結果」の[備 考]となっています。これは、関電の見解であり、県の安全専門委員会としては、「データを確認 した」となっています。
制御棒の挿入性
(略)
大飯発電所3、4号機の制御棒挿入時間に関しては、原子力安全委員会におけるストレステスト の審議の過程で出された質問に対し、保安院から耐震指針の基準地震動に対する詳細解析結果とし て挿入時間 1.88 秒(評価基準値 2.2 秒)であることを説明している。本委員会は事業者から説明 を受け詳細解析の基礎データを確認した。
活断層の2連動の場合、現行の制御棒挿入時間の評価値は2.16秒です。私たちは政府交渉 の場で、この1.88秒は、「保安院が関電から口頭で聞いただけであり、正式な報告もなされて おらず、そのため当然に国に報告もされず、それゆえ国として評価・判断は行っていない」とい うことを確認しています。 (1)関電が示した制御棒挿入時間の評価値1.88秒は、国の評価を未だ受けていません。国 が評価した評価値は2.16秒です。これが事実であることを確認してください。
2. 活断層の3連動の場合(760ガル)に、制御棒が基準値2.2秒以内に挿入されることを国がまだ評価していないという事実を確認してください。
この問題については、「報告書」24頁で下記のように書かれています。これは、「3-3本委 員会の確認結果の(2)地震動評価」についての「国および事業者の対応状況」として書かれて います
(国および事業者の対応状況)
(略)
事業者は、念のためこれらの3つの断層が連動した場合の地震動評価を行い、その結果、断層モデ ルによる地震動(760 ガル)と距離減衰式による地震動(643 ガル)の値を得た。また、事業者は、これらの地震動の値はいずれも、大飯発電所3、4号機のストレステスト(一次評価)において、燃 料損傷に至らないと確認されている地震動の値(1,260 ガル)を下回っていることから、原子炉容器や蒸気発生器などの主要機器の耐震安全性や制御棒挿入性についても問題がないことを確認した。
3つの活断層(海側のFo-B、Fo-Aと陸地の熊川断層)が連動した場合の地震動につい ては、「念のため」としながらも関西電力は760ガルであるとしています。そして関西電力は、 ストレステストによって、基準地震動の1.8倍(700×1.8=1,260 ガル)を下回っているため、 「制御棒挿入性についても問題がないことを確認した」となっています。
しかし保安院は、3月28日の「地震・津波に関する意見聴取会」で3連動の評価について「地 震動評価結果(760ガル)が事業者より示されており、妥当と判断する。更に施設の耐震安全 性評価の実施が必要」としています。
(1)これは、国が3連動の場合の地震動評価結果(760ガル)を妥当としていることを認め ているということですか。
(2)その場合、国が必要としている施設の耐震安全性評価、特に制御棒挿入性に関する評価は、 未だ事業者から国に報告されていないのではないですか。
3. 3連動の地震動評価に関する、県の安全専門委員会の確認結果について 県の委員会は、760ガルの場合の制御棒挿入時間を評価・確認していないのですか。 そうであれば、安全性を確認したとは言えないのではないですか。
「報告書」25頁では、3連動の地震動評価について下記のように書かれています。これは「3 -3本委員会の確認結果の(2)地震動評価」の「本委員会の確認結果」として書かれています。 県の安全専門委員会として、「連動を考慮した地震動評価は妥当であると考えている」との確認
結果を示しています。
(本委員会の確認結果)
本委員会は、FO-A~FO-B、熊川断層の連動について保安院から説明を受け、3連動を考慮した 断層モデルによる地震動評価に関しては、FO-A~FO-B と熊川断層のつなぎ方やパラメータを適切 に設定しており、短周期レベルの不確かさを考慮して評価していることを確認した。また、応答 スペクトル法による地震動評価に関しては、経験式の適用限界も考慮した上で地震動を評価して いることを確認した。これらのことから、連動を考慮した地震動評価は妥当であると考えている。
(1)これは、3連動の場合の地震動として「760ガル」が妥当だということでいいですか。
(2)このように、3連動の地震動については委員会の評価を示しています。しかし、760ガ ルの場合に制御棒が基準値2.2秒以内に挿入されるかについての評価・確認が書かれていませ ん。安全専門委員会としては、評価・確認していないのですか。そうであれば、安全性が確認さ れたといえるのですか。
4. 破砕帯に関する、県の安全専門委員会の確認結果について 保安院の判断のみを示して、安全専門委員会の確認結果を示していないのはなぜですか。
敦賀原発で破砕帯と評価されていたものが、4月の現地調査などによって、国の専門委員会の 委員達が活断層であると認めました。大飯原発敷地内の活断層についても、専門家達が活断層の 可能性が高いことを指摘しています。
破砕帯に関しては、「報告書」25頁で下記のように書かれているだけです。ここでは、「本委 員会の確認結果」としながら、原発直下の破砕帯について活断層ではないという保安院の判断を 記載しているだけです。
(本委員会の確認結果)
(略)
また、大飯発電所敷地内の破砕帯については、保安院は耐震バックチェックにおいて、後期更新世以降に活動したものではないと判断している。
(1)破砕帯について、県の安全専門委員会の確認結果を示していないのはなぜですか。
(2)原発直下に走るF-6破砕帯について、変動地形学の専門家(東洋大学の渡辺満久教授、 名古屋大学の鈴木康弘教授)は、破砕帯は活断層の可能性が高く、これが動けば地表にズレを生 じさせ、原子炉建屋や重要な機器を破壊する危険性があると指摘しています。また、国の委員会の専門家(産総研の杉山雄一氏)も「全データの再確認や現地調査が非常に重要だ」と述べてい ます。新聞報道では、県の専門委員会の委員であり地震の専門家である竹村恵二京都大学教授ら が、「判断の根拠が不十分」と10日の県の安全専門委員会で発言したと報道されています(朝日 新聞 2012.6.12)。
これら専門家の意見を取り入れなかったのはなぜですか。
- 県知事が再稼働の判断をする前に、上記質問に回答してください。
- 制御棒挿入性の評価、破砕帯の評価という、重要な安全性問題を放置したまま再稼働を了承しないよう強く要請します。
2012年6月13日
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