福井県に質問・要望書を提出
福井県知事あての質問・要望書
MOX輸送容器への異物混入について、真の原因が究明されるまでは、
海上輸送の手続きを進めないよう関電に要請してください
関電が公表するとしている異物混入の報告について
県として独自に厳しく検討し、その結果を公表してください
福井県知事 西川一誠 様
2010年1月28日
福井県は高浜原発で使用するMOX燃料について、昨年12月24日に輸入燃料体検査補正申請の報告内容を了承する旨を関電に伝えました。
その直前、12月21日に開かれた福井県原子力安全専門委員会において、関電はフランス国内での高浜MOX燃料の陸上輸送の際、輸送容器1基の内部に26個もの木片が混入していたことを報告しています。
私達はこの異物混入問題について、1月14日に関西電力本店において関電と交渉を行いました。交渉で関電は、「地域の皆様にご安心いただくとの観点から、メロックス社による原因調査の結果がまとまった後、しかるべきタイミングで公表したい」と回答しました。
輸送容器への異物混入については、メロックス工場からの搬出時に異物がなかったことは確認されており、輸送中は密閉された状態でした。それにもかかわらず、輸送後に異物が見つかっています。故意に混入しなければ常識的には起こりえないはずの事態です。仮に人為的なものでないとすれば、搬出時の検査で見落としがあったということになります。いずれにしても、メロックス社と関電の安全管理がずさんであることを端的に示すものです。
また、輸送容器に異物が混入していたのですから、安全側に立って考えれば、燃料棒自体にも異物が混入しているのではないかという疑義が生じます。10年前のBNFL事件では、MOX燃料棒へのネジの混入が発覚しましたが、結局関電はその原因をはっきりさせることができず、うやむやになったままです。
今回発覚した異物混入について、その原因を徹底的に究明し、同時にMOX燃料の安全性を確認すべきです。しかし、交渉の中で関電は、何度も｢メロックスの安全管理に問題はない｣と繰り返しました。原因も明らかになっていない段階で、メロックスに問題はないとする予断に満ちた姿勢で、関電が最後まで原因を究明できるのか疑念を抱かざるをえません。
関電の原因調査と対策が形式的なものに終わらないよう、福井県として、関電が公表するとしている報告の内容を独自に厳しく精査されることを強く要望します。
また、私達は1月14日の関電との交渉で、異物混入問題の原因と対策が明確になるまで、MOX燃料の海上輸送の手続き（国への申請など）を進めないよう求めました。これに対して関電は、後日電話で、「再発防止策を確認した上で海上輸送を行うこととしている」とのみ回答しました。「輸送の手続きを進めないように」との要求については、「海上輸送の開始時期が類推されるから」という理由にならない理由で答えていません。この関電の回答から、異物混入問題の報告と海上輸送の手続きを切り離して進めるのではないかと強い危惧を抱いています。
福井県として、異物混入問題の真の原因が究明されるまで、海上輸送の手続きを進めないよう関電に強く要請してください。
関電からの報告がなされるまで、下記のとおり質問と要望を行います。また、関電が報告を公表した段階で、それを踏まえて改めて要望を行いますので面談をお願いします。
質 問 事 項
- 関電は、福井県に対し昨年12月8日に異物混入に関する情報提供を行ったと回答しています。具体的にどのような説明があったのですか。
- 福井県は、輸入燃料対検査の補正申請書について報告内容を了承していますが、異物混入については、これとは別に検討し対応を取るのですか。
- 「密封された輸送容器に異物が混入するという通常起こりえないことが発生したのですから、燃料棒自体への異物混入も否定できません。事実、BNFL事件では燃料棒にネジが混入していました。燃料棒への異物混入が本当にないのか、関電に確認していますか。
要 望 事 項
- MOX輸送容器への異物混入について真の原因が解明されるまでは、海上輸送の手続きを進めないよう関電に強く要請してください。
- 関電が公表するとしているMOX輸送容器への異物混入に関する調査報告について、県として独自に厳しく検討してください。その結果を公表してください。
- MOX燃料に異物が混入していないことの確認を関電に求めてください。
2010年1月28日
グリーン・アクション 代表：アイリーン・美緒子・スミス
京都市左京区田中関田町２２−７５−１０３ TEL 075-701-7223 FAX 075-702-1952
美浜･大飯･高浜原発に反対する大阪の会 代表:小山英之
大阪市北区西天満４−３−３ 星光ビル３階 TEL 06-6367-6580 FAX 06-6367-6581
