火力発電所の検査記録ねつ造事件に際し、関西電力の原子力発電所の検査記録に同様のねつ造等がないか徹底調査等を求める申入書

原子力安全・保安院長 佐々木宜彦 様

5月31日、関西電力が関西国際空港エネルギーセンターの火力発電所の自主検査記録をねつ造、改ざんしていたことが明らかになりました。近畿経済産業局の立入検査にれば、2001年から3年間も、検査記録のねつ造等を続けていたのです。

東京電力による原発検査のデータ不正事件は、まだ記憶に新しいものです。東電のデータ不正事件は2002年8月に発覚しました。すなわち、今回の関電の火力発電所での検査記録のねつ造は、東電事件の1年前から行われており、東電事件が発覚しても記録のねつ造を続け、今まで隠し続けていたことを意味します。極めて悪質なものです。

今回の事件に関する関西電力の「調査報告」(5月31日)の要旨では、「データねつ造はあったが安全性には問題なし」と結論づけています。あのBNFL・MOX燃料データねつ造事件と全く同様の姿勢をとっています。

近畿経済産業局は、この「調査報告」に対して、同日、追加報告を指示しました。その中で、「検査をしていなかった設備について安全は確保されていたとする根拠」、「計測値、管理基準値を変更したことが妥当であるとする根拠」等を明らかにするよう要求しています。検査もしていないのに、なぜ安全と言えるのか、データねつ造が妥当といえるのか。至極当然の指摘です。

また今回の火力発電所でのデータねつ造は、関西電力自体の品質保証体制が極めていい加減なものであることを事実で示しています。

関電はプルサーマルを再開するため、昨年10月23日、品質保証体制は改善されたとの「報告書」を出しました。貴職は、2月5日に、関電の「報告書」は妥当として、プルサーマル再開のお墨付きを与えました。関電「報告書」では、社長が関与するよう品質保証体制を改善したと大々的にうたわれ、貴職もその点を重要視してきたはずです。

しかし、多くの人々が、今回の火力発電所のデータねつ造事件に驚き、原子力発電所でも同様のことはないのかと疑念を抱いています。

「社長の関与による品質保証体制の改善」と言うならば、火力、原子力の区別はありません。また時期的にも、品質保証体制が改善したとする関電「報告書」が出た時期と、火力発電所でデータねつ造を行っていた時期は同時期です。一方で火力発電所の検査データをねつ造しながら、他方でプルサーマルの品質保証体制が改善されたとは、到底信じることができません。

よって、以下の点を申し入れます。

申し入れ事項

  1. 関西電力の原子力発電の検査記録に、データねつ造等がないのか、徹底的な調査を行ってください。
  2. プルサーマルに関する、関西電力の品質保証体制について、改めて徹底的な調査を行ってください。

連絡先

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