青森県知事への要請──ウラン試験・安全協定締結の前にそびえる数多い疑問

[青森県知事への要請・質問書「ウラン試験・安全協定締結の前に多くの疑問に答えてください(2004年11月16日提出)」より抜粋]

◆──県民の声は無視されたまま
 原子力委員会が10月20日、青森県で開いた「長計へのご意見を聴く会」では、県民から再処理への強い不安や疑念が次々と表明された。しかし、原子力委員会はこれを事実上無視している。また、青森県は安全協定素案そのものに対して、青森県弁護士会などから寄せられている多くの疑問に答えていない。
◆──美浜3号機事故問題の解明が先
 3村知事は美浜3号機事故について「重度なる原子力施設の事故」と表明し、いったん安全協定に関する審議を延期した。この事故は直接原因でさえ、まだ不明である。事故の責任者である関電の藤社長は、日本原燃の会長であり、さらに安全協定に立ち会う電事連の会長でもある。この実態を無視して、なぜ安全協定締結へと進むのか。
◆──保安規定の認可がまだ
 ウラン試験への前提条件には「保安規定が認可されていること」がある。しかし、11月12日現在、重要なガラス固化施設が含まれる第3グループについては、いまだ保安規定の申請書すら出されていないし、化学試験も終わっていない。使用済み燃料受入・貯蔵プール問題を起こした日本原燃の場合、保安規定は特に厳しく監視することが不可欠である。それにもかかわらず、なぜ安全協定締結へと進むのか。
◆──なぜ放出放射能の規制方式をそんなに甘くするのか
 なぜウラン試験の時は本格運転よりウランの放出規制を10倍以上も甘くするのか。さらに本格運転時の放出放射能の規制方式を茨城県とくらべて甘くするのはなぜか。
 
◆──このまま稼働すると余剰プルトニウムがますます増える
 再処理することを苦しまぎれにも正当化するプルサーマルは、計画が電事連の立てたものから大幅に遅れている。今でさえ海外には30数トンのプルトニウムがあるが、6ヶ所再処理施設が稼働すると、さらに余剰プルトニウムが増える。プルトニウムの需要がないまま再処理施設の運転を開始してしまえば、計画はさらに泥沼化していく。
◆──核のゴミ処理をどうするつもりか
 長計策定会議の策定委員から「中間貯蔵の受入先は絶対見つからないので、だから再処理をしなければいけない」との声まで出てきている。前記「ご意見を聴く会」では、最終処分地が決まらないまま再処理を進めるのはいかがなものかとの主張が、再処理推進のパネラーからさえ出ている。安全協定をこのまま結んでしまえば、青森県が核のゴミ捨て場になる危険性が飛躍的に高まる。
◆──青森県にも実情に即した判断が求められている
 新潟県、福島県、および福井県の知事は、「核燃料サイクル政策には国民的合意ができていない」と政府に主張している。これら3知事は「国策を無批判に受け入れることが、はたして県民の福利向上につながるのか」という根本的な疑念を表明している。青森県にも独立した判断が必要ではないか。
◆──今こそ岐路にたたされている
 再処理施設の稼動を認めれば、土壌や海に蓄積される放出放射能とともに、放射能に汚染された膨大な施設を子々孫々の代にまで残すことになる。そのことを懸念する県民の声は高まってきている。重要な判断の岐路に立っているいまこそ、県民の声に真摯に耳を傾けるべきではないか。
要請事項
県民などの疑問や意見を十分聴くまで安全協定の締結はしないでください。

以上

 2004年11月18日

再処理とめよう! 全国ネットワーク
青森県上北郡六ヶ所村倉内笹崎1521菊川方
電話およびファクシミリ 0175─74─2522

作成:2004年11月18日

連絡先

グリーン・アクション
〒606-8203
京都市左京区田中関田町22-75-103
(代表:アイリーン・美緒子・スミス)
TEL: 075-701-7223
FAX: 075-702-1952

再処理とめよう! 全国ネットワーク
青森県上北郡六ヶ所村
倉内笹崎1521菊川方

再処理とめよう!
全国ネットワーク・連絡団体

花とハーブの里(青森県)

みどりと反プルサーマル新潟県連絡会(新潟県)

グリーンピース・ジャパン(東京都)

グリーン・アクション(京都府)

美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会(大阪府)

脱原発ネットワーク・九州(福岡県)