六ヶ所再処理工場のガラス固化技術諸問題について海外が憂慮している問題点 核燃料サイクル安全小委員会宛手紙

総合資源エネルギー調査会 原子力安全・保安部会
核燃料サイクル安全小委員会
委員長 松本 史朗 様
委員 各位 様


原燃の六ヶ所再処理工場における 管理・技術能力
ガラス固化技術諸問題について
海外が憂慮している問題点

こちらは、1991年から日本の核燃料サイクル(プルトニウム政策)の問題に取り組んできている京都のNGOのグリーン・アクションと申します。この問題について海外へ向けて情報の発信も行って来ています。

6月13日(金)の核燃料サイクル安全小委員会開催に向けて、是非ご出席の委員の方々にお知らせしたいことがございます。

米国・フランス・イギリスなどの先進諸国に於いては、核燃料サイクル諸問題を報道する業界紙を含むマスコミも、そして「核燃料サイクル問題」に取り組むNGOとそこに所属する科学者たちも、現在六ヶ所再処理工場アクティブ試験で生じているガラス固化溶融炉問題に対して非常に高い関心を持っており、具体的には、以下のような点に注目しています。

海外の科学者・マスコミが注目している問題点

1.東海1号炉では白金族の堆積が避けられなかったのに、同じガラス固化技術を六ヶ所再処理工場で導入すれば、同じような問題が起こりうることを何故想定しなかったのか。また、六ヶ所再処理工場の規模は東海1号炉よりかなり大きいので、白金族が一層蓄積されるだろうという判断を何故しなかったのか。

2.白金族の沈降と堆積の問題が解決されていない中、対策としては溶融炉を止める必要があるのではないか、また核燃料サイクル安全小委員会はこれについてどのような見解を示すのか。

3.原燃は、溶融炉を管理出来ない状態が起こっているのに、具体的にどのようにこの問題を克服するのかを示していない。小委員会はこれにつきどのような見解を示すのか。

4.偏流の発生原因は何なのかが注目されているのに、原燃はこの問題を「外的事象」としてかたづけている。それは何故か。問題の認識不足ではないのか。小委員会の見解が注目される。

5.原燃の資料*では、「崩壊熱による仮焼層溶融性への影響を考慮していなかった」と書かれている。これでは原燃の再処理工場を運転する能力すら疑われる。崩壊熱が仮焼層の不安定に非常に大きく効いていることは明らかになっている。この原燃の技術・管理レベルの低さは放置できるものではないはずだ。これに付いても同じように小委員会の見解が注目される。 
(*再WG34-3(1))

6.六ヶ所再処理工場のコスト削減のため省かれた濃縮器は重要な設計ミスではないのか。

7.高レベル廃液がタンクに貯まって行く実体は憂慮される問題である。小委員会はこの問題につきどのような見解を示すのか。

以上のように、彼らの視点は非常に細かく、具体的であり、ガラス固化技術問題への注目度の高さが伺われます。小委員会開催にあたり、是非以上のような海外から寄せられる質問や意見に関心を向けられて、委員会でも話し合いが深まっていきますよう、心よりお願い申しあげる次第です。

2008年6月11日
グリーン・アクション
代表・アイリーン・美緒子・スミス