関西電力宛:副社長・原子力事業本部長立ち会いのもとに起きた美浜3号機の臨界の失敗と原子炉起動のやり直しに関する質問書
2007年1月11日
関西電力社長 森詳介様
貴社は1月10日の午後1時に美浜3号機の原子炉起動を強行しました。中央制御室では、貴社の副社長(森本浩志原子力事業本部長)、原子力保全改革推進室長、美浜発電所所長及び原子力安全・保安院の保安検査官までもが立ち会い、臨界を監視しました。
午後1時に運転担当課長が「臨界操作開始」と声をかけ、運転員が制御棒を引き抜くレバーを押して原子炉を起動させました。しかし予定していた1時間後には臨界には達せず失敗しました。
そのため、午後6時頃にはいったん制御棒を元に戻しました。一次冷却水のホウ素濃度が高かったため、冷却水に水を送り込みホウ素濃度を下げる操作を行いました。
そして午後10時半に再び制御棒を引き抜く操作を行い、午後11時37分に臨界に達しています。
核分裂反応を抑制するためのホウ素濃度の調整は、原発を動かすにあたって基本中の基本のはずです。今回はホウ素濃度を高く設定していたため核分裂反応が抑えられましたが、ホウ酸濃度が低く設定されておれば、瞬時に臨界が進み核暴走の危険さえありました。安全性に直結する基本の操作を誤ったことは、やはり貴社の安全性軽視の体質が、原子炉起動という第一歩から露見したのではないでしょうか。それも、原子力事業本部長である副社長が立ち会っていながら、このようなトラブルを起こすとは、一体どういうことでしょう。
なぜ、このような臨界の失敗と起動のやり直しという事態に至ったのでしょう。貴社のプレスリリースでは「美浜発電所3号機につきましては、本日13時00分に原子炉を起動し、同日23時37分に原子炉が臨界に達しましたので、お知らせします」とあるだけで、臨界の失敗と起動のやり直しについては何も書かれていません。そのため、以下の点について、詳しく説明してください。
- 臨界に失敗した原因は、一次冷却水中のホウ素濃度の設定が高すぎたためだと報道されていますが、午後1時の時点のホウ素濃度はいくらだったのですか。
- 一旦引き抜いた制御棒を元に戻すための操作はいつから開始したのですか。
- 水の注入によってホウ素濃度をいくらに変えたのですか。
- そのために、どれくらいの水を注入したのですか。
- ホウ素濃度の設定をなぜ誤ったのか、具体的に説明してください。
- 原子力事業本部長である副社長が立ち会いながら、なぜこのようなトラブルが起きたのですか。
- このトラブルについて保安院と福井県には、いつ、どのような報告をしたのですか。
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