映画「六ヶ所村ラプソディー(鎌仲ひとみ監督)」上映会(3/12)報告

過日、2006年3月12日に美浜の会と共同で、映画「六ヶ所村ラプソディー(鎌仲ひとみ監督)」の上映会を開催しました。会場には、雨天にもかかわらず、多数の方々にご来場いただきました。

映画上映の後、鎌仲ひとみ監督による講演では、映画作成時のエピソードや、前作「ヒバクシャ〜世界の終わりに」から六ヶ所にたどりついた想いなどを語っていただきました。ここに印象に残ったことばをご紹介します。

鎌仲ひとみ監督

映画「六ヶ所村ラプソディー」鎌仲ひとみ監督 講演より(2006年3月12日)

推進派・反対派双方を平等に取材し、その間にいる「サイレント・マジョリティ」と共に、この問題を考えたい、という気持ちから取材をはじめました。

映画では、まず、反対派の方々に出会います。彼らは、ただ純粋に、「自分の作物を守っていきたい」「農業を続けていく誇りを維持していきたい」「子どもたちにも安全な食べものを残してやりたい」という想いで活動していることが、よく伝わってきます。彼らは今、各村で1人とか、2人という、孤立した状態で、反対の意志を表明されています。

そこで語られることは、反対も推進も表明しない中間層「サイレント・マジョリティ」で、いつづけることは、じつは「現状肯定」つまり推進派に所属していることを意味するという危惧です。

私たち1人ひとりの選択や営み(「しない」という営みも含めて)が、この国をつくっており、この六ヶ所の状況もつくり出している気がします。その状況をまず把握した所からはじまるんだと思っています。

取材させていただいた、無農薬のお米を作られている方は、再処理が始まると、手塩にかけて育てたお米に、放射能がこれまでの2倍ふりつもる(県公式発表値)ことを憂慮し、「私のお米を汚すのはやめてください」と声をあげつづけているわけですが、村から「おまえがそんなことを言うと、かえって作物が売れなくなるので、だまってろ。他も、みんなだまっているじゃないか、だから、だまっていなさい」と、言われています。

一方の、推進派の方々を取材させていただくのは、とても困難でした。どこへ言っても丁重にことわられました。ねばり強く依頼しつづけて、ようやく推進派でクリーニング業を営む方に取材させていただきました。その方は、村の人たちが、勉強しないで安全か危険かよくわからない状態で、親類同士がケンカして、賛成か反対かでずっと仲違いしてきたことを、そろそろやめたいと、ケンカではなく、議論できるよう勉強会をされている人です。この方が取材に応じてくださり、そのあと2,3人の推進派の方が参加していただき、反対派とバランスが取れるようになってきました。

この映画に出てくれたのは推進・反対双方とも、ほんの2,3人です。その他、ほとんどの人はだまっているんです。なぜ、ほとんどの人が口を閉ざしているのか、取材していくなかで、少し見えてきました。

元々、最初はみんなすごく反対していたそうです。泊地区でも住民1万2千人のうちの6千人〜8千人が反対していました。しかし、それが1つひとつ潰されていった過程があります。理由は、国策だからということで政治家が金で抱き込んでいった経緯があったり、また、今ほど、原子力が危険であると理解しにくかったなど、理由はさまざまですが、いつの間にか、核関連施設がなくては暮らしていけない状態になっていきました。

原子力がいいとか、悪いとかを越えて、「なぜ、あなたはそういう選択をしたのか」──まず、これを理解したいと思いました。

六ヶ所の村人たちは、自分の生活の根っこが、核に絡めとられている以上、危険だ、反対だといわれても、「じゃあ、いったいここ(核関連施設の仕事)から離れて、どうやって子どもを養い、メシを食っていけばいいんだ」という切実な想いが心の中にあります。

そういうところに追い込まれているわけですが、それでは、いったいだれが、そこまで追い込んだのかというと、私自身でもあるし、日本中で電気を使っていることのツケが、どこにどう廻っているのか、私たちに知らされてこなかったということに、大きな根があるのではと感じました。

これからも私たちは、一見便利で大量の電気を生む原子力をこれからも支え続けていくのか。それは私たちの生活にとっては、快適で便利なものかもしれないけれど、そのしわ寄せが、六ヶ所村の人たちをこういう状況に追い込んでいます。また、再処理工場が動き出せば、そこから出てくる放射能を取り込んだ食物を食べるのは、巡りめぐって、やはり私たちです。こういうことをマスコミは伝えないわけです。

私はマスコミが伝えない、この六ヶ所の状況をこれからも撮りつづけたいと思っています。そこに、私たち日本を写し出す鏡があると考えています。

以上

上映会終了後、参加者の方々からは多数のアンケートをいただきました。用紙の裏面にまで感想を書いていただいた方もありました。アンケートにご協力いただき、本当にありがとうございました。その結果を紹介します。※:以下の感想・意見はウェブサイト上への掲載について承諾いただいたものです。

映画「六ヶ所村ラプソディー」上映会(3/12)ご来場者アンケート回答

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