青森県商工労働部資源エネルギー課宛て質問書:新聞広告で示された放射線の人体影響に関する阿部道子氏の見解について
2006年3月28日
青森県・商工労働部資源エネルギー課 御中
商工労働部資源エネルギー課は、3月17日の東奥日報に放射線の影響に関する全面広告を掲載しました。その中で、青森県が顧問としている阿部道子氏は、「一度に200ミリシーベルト以上の放射線量を受けない限り人体への影響は確認されていないのです。一般公衆の線量限度である年間1ミリシーベルト以下であれば、全く影響はありません」と述べています。しかし、放射線防護に関する国内法令の基礎ともなっている国際放射線防護委員会(ICRP)の考え方は、どんなに低線量であっても放射線は人体に無害ではないというものです。阿部道子氏は、国際的常識とは異なった特異な見解の持ち主といわざるを得ません。広告の中で示された同氏の見解について、その公告内容に責任をもつべき商工労働部資源エネルギー課に以下の質問をします。
- ICRPの1990年勧告(Publication60)は、広島・長崎における原爆被爆者の死亡率調査の結果から「95%レベルで統計学的に有意ながんの過剰は約0.2Sv[200mSv]以上の線量でのみみられる」とした上で、「もっと低い有意レベルならば、0.05Sv[50mSv]ぐらいの線量で過剰がみられる」としています。この調査の最新の報告では、5〜125mSvの線量区間(平均線量35mSv)でも、ガン死の過剰発生が統計的に有意であるとされています(第13報2003年)。また、「長崎原爆松谷訴訟」において最高裁判所は、推定被ばく線量20mGy〜30mGy(ほぼ20mSv〜30mSv)を受けた原告に対して、右半身マヒ等の障害や、被爆直後の脱毛といった健康被害が放射線に起因するものであることを認定する判決を下しています(2000年7月18日)。
さらに、胎児への影響については、ICRP−84によれば、出生前の胎児のX線被ばくにより、約10ミリグレイ(およそ10ミリシーベルト)程度でもリスクが高まるとされています。- なぜ、「一度に200ミリシーベルト以上の放射線量を受けない限り人体への影響は確認されていない」と言えるのですか。
- その場合の「人体への影響」とは、ガン死や白血病死などの死に限らず、例えば免疫機構の低下などの影響もないと断定しているのですか。
- ICRPは放射線の人体影響に関する確率的影響については、しきい値の存在を認めておらず、しきい値なし直線モデルを放射線防護の考え方の基礎に置いています。これは、どんな低い線量であっても放射線は無害なものではなく、被ばくの度合いに応じて生体への影響が生じるという考え方です。
- なぜ、「一般公衆の線量限度である年間1ミリシーベルト以下であれば、全く影響はありません」と言えるのですか。
- このような主張は人々に被ばくを強要する危険がありますが、なぜ安全側に立つのではなく、このような主張を敢えてするのですか。
- (3)阿部道子氏に支払っている顧問料はいくらか明らかにしてください。
- (4)阿部道子氏の主張の誤りを公的に明らかにし、同氏を解任すべきではありませんか。
2006年3月28日
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