高レベル放射性廃液をガラス固化体にする技術が未確立のまま再処理へ突入? 日本原燃は事業者として情報を公開する責任を果たすべき

日本原燃の六ケ所再処理工場の技術は未完成
見切り発車させたら絶対にだめ
アクティブ試験を目前に大きな疑問点

再処理工場は各地の原子力発電所から使用済み核燃料を集め、化学的に処理してプルトニウムとウラン、高レベル放射性廃液(死の灰)に分離する施設です。再処理工場では、分離された高レベル放射性廃液を安全に保管するためガラス材と混ぜて溶かし、ステンレス容器に入れて固化体(高レベルガラス固化体)にすることが不可欠です。しかし、日本原燃の六ヶ所再処理工場では未だにこの技術が未熟で、ガラス固化溶融炉で高レベル放射性廃液をうまく固化体にできないのが実態です。それでも日本原燃は実際の使用済み核燃料430トンを再処理するアクティブ試験へと突入しようとしています。

  • 高レベル放射性廃液のガラス固化体
実証も何もされていない代物。
アクティブ試験がぶっつけ本番となる。
見切り発車でも動かす。プルトニウムの抽出が最優先、
後処理はいつも後回し。──これが原燃の基本姿勢。

六ケ所再処理工場は基本的にフランスのコジェマ社の再処理工場(UP3)をモデルに作られています。ところがなぜか、高レベル廃棄物を封じ込めるガラス固化溶融炉についてはコジェマ社の方式を採用せず、世界でもあまり実績のないドイツの技術をベースに核燃サイクル機構が開発した方式を採用しています。しかし、この方式には、溶融炉の底が目詰まりを起こすという決定的な欠陥があります。ガラス固化体を製造できなければ、高レベル放射性廃液は液体のまま、たまり続けることになり、常に漏えいする危険性があります。ほんのわずかでも環境中に漏れ出せば重大な放射能汚染が引き起こされます。

原発はトイレなきマンションと言われています。加えて、そのトイレに出す前の再処理工場の段階で、一番濃度の高い放射能廃液を安全に保管するための技術が確立されていないのです。

──日本原燃の問題その1
日本原燃は、ガラス固化溶融炉の技術がまだ未熟だと分かりながら、六ヶ所再処理工場でアクティブ試験に踏み切ろうとしています。また、技術を開発している日本原子力研究開発機構(当時=核燃料サイクル開発機構)自身が中間評価を依頼するために設けた、本来なら好意的な評価が期待できる評価委員会からですら、下記のような意見が出るありさまです。
核燃サイクル機構の溶融炉開発技術の現状を中間評価した評価委員会委員の発言
「ガラス固化体を製造する過程の技術開発がまだ十分に開発されていないことを、評価委員になって初めて知った」(2003年9月の諮問に対する評価委員会の2004年1月答申書の添付・評価意見より)
──日本原燃の問題その2
日本原燃は、本質的に欠陥のある溶融炉技術を導入してしまったことを今でも認めていません。
──日本原燃の問題その3
日本原燃は溶融炉についての技術の成果または問題点についての情報を明らかにしていません。日本原燃が導入した溶融炉は、実は茨城県東海村で2009年度まで試験運転と研究開発が続けられることになっています。しかしその結果が出る前に六ケ所再処理工場が営業運転に入るスケジュールが立てられています。今年7月6日、日本原燃は六ケ所再処理工場で行った化学試験に関する報告書を発表し、溶融炉について「総じて良好な結果を得た」としていますが、未だに具体的には何も明らかにしていません。

ぶっつけ本番で高レベル廃液を生み出す再処理に入ることは許されません。
現状を直視し、まずは事実資料をすべて公表させることが重要です。