4月14日の保安院交渉の積み残し問題に関する保安院からの電話回答(4月20日)
「総点検では、『連絡溝』の全ての有無は確認していない」(青木氏)
「施設・設備の健全性は確保されていない」ことを認める!
——未だ、水漏れの確認は万全とは言えない——
「再処理とめよう!全国ネットワーク」の4月14日の保安院交渉で、後日返答することになった2つの問題について、約束どおり、20日18時頃に青木課長補佐より当会に電話回答があった。回答内容は次の通り。
1.「連絡溝付け忘れ」問題について
「不適切施工問題が起こってからの総点検では、『連絡溝』の全ての有無は確認していない」ことを認める!
4月14日の交渉で青木氏は、「連絡溝は全て付け忘れていたため、補修の際ライニングプレートをめくって目視で確認した」と述べた。しかし、この点については、事実確認を行って改めて回答することになっていた。その回答が4月20日に電話であったが、その内容は14日の発言を訂正するものであった。
(1) 総点検で確認した連絡溝は、切り欠き・肉盛り溶接箇所のみ
青木氏は、14日の交渉で、連絡溝の存在は目視で確認したと話していた。今回は、連絡溝の存在する箇所について、日本原燃の平成15年8月6日付「使用済燃料受入れ・貯蔵施設のプール水漏えいに係る調査、点検結果及び補修計画について」の8ページに記載されている内容を説明し始めた。そこでは、総点検の箇所として、次のように切り欠き・肉盛り溶接が記載されている。
「1.点検の範囲 ii切り欠き・肉盛り溶接に係る点検箇所
切り欠き・肉盛り溶接が行われる可能性のある次の箇所について点検を実施した。
・先張りライニングプレートと後張りライニングプレートの下地材が交差する箇所
・先張りライニングプレート同士の据付時期が異なり、お互いの下地材が交差する箇所
・プール・ピット等の三隅コーナー部(後略)。」
(2) 「目視で確認」とは、総点検ではなく、建設中の話し
青木氏は、「目視で確認した」ということについては、「建設時にライニングプレートの後張りの前に、下請け業者と元請け業者が目視で確認した」と述べた。しかし、それは建設中の話しである。その当時の点検体制等が信頼できないから、総点検することになったはずである。しかし、上記のように、総点検では、せいぜい、切り欠き・肉盛り溶接を行った箇所の連絡溝しか確認していないことになる。
(3) 総点検では、全ての連絡溝は確認してない。水漏れの確認は万全ではない
「総点検で、全ての連絡溝が施工されているかどうかは確認していないことになる」と指摘すると、青木氏も「総点検では全てを確認していない」ことを認めた。
すなわち、施工当時に連絡溝の有無を確認せずにライニングプレートを張り付けるとか、連絡溝の無いことに気が付きながらも手直しせずプレートを張ってしまった場合には、切り欠き・肉盛り溶接が存在しないため、連絡溝の有無の確認もされていないことになる。
結局、今回の回答が示しているのは、水漏れを検知する連絡溝が、果たして全て施工されているのかどうかは一切不明のままということである。プール水漏れ問題から始まった「総点検」であるにもかかわらず、「総点検」では確認されていない。水漏れの確認は万全とは言えない。「施設・設備の健全性は確保されている」とはけっして言えないということである!
2.「作業工数:6100人日」について
根拠を示さず「不自然でない」
青木氏の返答は、「人日で表現されている工数に不自然な点はない」というものであった。6100人日の根拠を示さずに、「不自然な点はない」と言っているのである。ところが、貯蔵プール全体でのライニング溶接の開始と終了の間の期間をもって7ヶ月と言っているだけである。 各設備ごとに見れば主要設備部の工期は7ヶ月ではなく、およそ3ヶ月である。月によっては5つの設備で同時並行に溶接が行われている(下図参照)。また、作業員に占める溶接士の比重も異なっている。要するに、六ヶ所施設の場合は、BWRプールのように単純ではなく、設備にも作業の在り方にも複雑な”構造”をもっているのである。この”構造”を正確に考慮して6100人日の根拠が示されない限り、工事期間に無理がなかったことは証明されない。
日本原燃のホームページより http://www.jnfl.co.jp/goiken/answer03-01.pdf
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