METI STEPS UP PRESSURE ON TEPCO BUT WILL ALSO FACE QUESTIONING—

Nucleonics Week(ニュークリオニックス・ウィーク)
Vol.43 No.37
September 12, 2002
記事抜粋 / 日本語訳

[page 11; right hand column; third paragraph from the bottom]

しかし、上級官僚は、近藤教授のグループが有力な提言を引き出す時間が足りないのではないかと話している。ある関係官僚は「非常に難しい複雑な問題で、3週間で必要な改革をするのは無理だ」と語っている。

[page 12 first column, and the second column until the end of the article]

国際原子力規制協会(INRA)のヨーロッパ代表は、「(東電職員が)こんなことをやっても見つからないと思った理由の背景には、ある種日本の文化的事情があるように見える。日本では監督を充分やっていないのか、われわれよりもずっと業者を信用しているのか、あるいは、日本の国会があまり関心を持っていないのかも知れない。」

ドイツ連邦環境・原子力安全省(BMU)原子力安全局のヴォルフガング・レンネバーク局長の補佐官のひとりは今週、日本とは対照的にドイツでは一般市民が原子力問題に非常に「敏感かつ批判的」なので、電力会社が組織的に点検所見を隠したり、許可されていない修理をするようなことは「夢想だにできない」と語っている。「ドイツでそんなことをしたらどんな目に遭うか、電力会社も分かっている。国会は大変な騒ぎになるだろうし、やった原発は運転停止になって、認可も取り消されるだろう。」ドイツの電力会社幹部なら「こんなことは絶対にしない。仮に公になったら、どうぞ原発を止めて運転許可を取り消してくださいと宣言するようなものだから」とこの補佐官は述べている。

アメリカでは、原子力規制委員会(NRC)官吏によると、点検所見の隠滅や無許可で炉内部の修理を行うことは、「免許業務範囲の逸脱」に該当する可能性があるという。この官吏は、規制当局が「それを確認した場合、ただちに原子炉は無期限停止になる」としている。刑事訴追の可能性もある、とアメリカの官吏たちは語っている。

アメリカとヨーロッパの官吏はまた、東電原発サイトに駐在している原子力安全・保安院の原子力保安検査官の役割にも疑問を投げかけている。アメリカのある官吏は、東電が炉内部の修理をしたり亀裂の発見を隠していたのに、現場の検査官がそれを知らなかったと主張していることに驚きを表明している。「炉内の修理は大がかりな作業だ。現場に常駐している検査官がそれを見逃すはずがない。見逃していたというなら、どこかにおかしいところがあると言うことだ」とこの官吏は言う。独BMUの官吏は、点検所見を何年も隠し続けられたということは、「検査官が決められたとおりに見回りをしていなかったか」、現場の検査官と管理職員との間に「批判的な距離が保たれていなかったということだ」と述べている。

東電幹部は、日本のマスコミに対して、日本は1980年代から90年代初めにかけての「バブル経済」のエネルギー需要に追いつくために電力が必要だった。だから、隠蔽もやむを得なかったと語っている。しかし、原子力安全・保安院もすでに認めているように、日本が不況に入った1995年以降2001年までも、引き続き点検所見が隠され続けていたことは、隠蔽工作の根がもっと深いことを示唆している可能性がある、とする専門家もいる。日本で長年東電と仕事をした経験をもつGEの元原子力部門重役は、「日本というのは、何か悪いことがあっても、誰もそれを認めないところだ」と語る。

近藤教授の小委員会とは別に、経産省は9月9日、原子力安全・保安院が東電の虚偽記載事件を公にするのになぜ2年も掛かったのかという、外国の規制官のもうひとつの疑問でもある問題を明らかにするための委員会を設置すると発表した。この委員会には、佐藤一男・元原子力安全委員会委員長が委員長に就任する。9月13日に初会合を開き、各方面で言われているように、記載されていない点検所見があるとのGE職員からの内部告発が、2年前に原子力安全・保安院に対して行われたさいに、同院の対応に不備がなかったかどうかを調査することになっている。

日本の原子力発電所立地市町村は、1999年にイギリスで作られたプルトニウム燃料の品質検査に不備が見つかったさいにも別の特別委員会が設置され、近藤教授が委員長となったが、経済省は真面目な改革をはねつけ、問題隠蔽の責任の一端を担った、と主張している。

市民団体や野党国会議員など、政府追及に手ぐすねを引く反対派は、8月29日以来、連日の経産省によるマスコミへの情報リーク、辛口の原子力界重鎮の特別調査委員会委員への急遽指名、果ては先週金曜の——日本の記者やカメラマンの群れに囲まれたなかでの——派手な東電幹部「急襲劇」は、経産省や原子力安全・保安院に対する批判をかわし、東電ひとりに責任を負わせるための周到な工作ではないかと見ている。「政府が出している今のメッセージは『東電がやった。われわれには何の責任もない』というものだ」と、電気事業連合会のあるコンサルタントは今週語っている。

——マーク・ヒッブス、ボン

以上

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