安全委員会「安全白書」のプルサーマルに関するコメント

安全委員会は、本日発表した「安全白書」の中で、プルサーマルの技術的基盤が整っている根拠として、国内2基での少数体MOX試験、「ふげん」での実績、海外での実績をあげている。今時、まだこんなことを述べるとは驚くばかりである。日本の商業炉で予定されているMOX燃料は、上記「実績」とは質的に異なるものである。プルトニウム富化度は、高浜4号の6.1%に対し、フランスの「実績」は3〜3.6%と極めて低い。また燃焼度も、高浜4号で45000MWd/tに対し、フランスの「実績」は約40000MWd/tである。高燃焼度MOX燃料の安全性確認は、国内で研究すら行われていない。

安全委員会は、現実に進行している事態からまったく目をそむけている。例えば、東京電力はコジェマ・メロックス工場でMOX燃料の製造を開始したが、その製造前確認試験ではウランのみを使った製造確認しか行っていない。MOX燃料の安全性がウラン燃料で確認されたというのである。しかし、これではプルトニウム・スポットの確認すらできない。とりわけメロックス工場で造られるMOX燃料には、25%濃度の大きなプルトニウム・スポットが存在し、燃料の安全性にとって重大な問題がある。また、メロックスでは、プルトニウム・スポットの検査方法として「化学エッチング法」を採用している。しかし、この「化学エッチング法」では、スポットの濃度は確認できないことを経産省・保安院も認めている。

このように現実に問題となっているMOX燃料に関する諸問題に一切関心を払うことなく、昔ながらの中身のない「実績」だけでMOX燃料の安全性を呪文のようにとなえる安全委員会は、まさに「裸の王様」という他はない。

1999年のBNFLによるデータねつ造事件に関しては、私達市民が明らかにしたものであり、安全委員会は何も見抜けなかった。

安全委員会にMOX燃料の安全性を語る資格はない。

以上

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