青森県議宛資料:美浜事故が浮き彫りにした、関西電力の企業文化 コスト重視、リスク軽視
藤洋作氏をトップとする組織文化──関電編
9月27日、関西電力は、美浜原発3号機事故後の「現時点でのとりまとめ」を発表しました。
しかし、この報告には事故を起こした関電の欠陥について、一言も触れられていません。美浜事故が起こった背景には何があったのか、関西電力はどのように原子力発電所の安全を軽視していたのか、そして事故後、福井県に対してどのように対応してきたのか、簡単にまとめてみました。
[事故前]
──関西電力は国に無断で基準を変えていた
美浜原発1から3号機と大飯原発1号機では、減肉した二次系配管の厚みが法的規制値より小さくなっていても、配管の寿命はまだあるという判断を出せるように、国に無断で基準を変えていました。事故後これが判明されました。原子力安全・保安院はこれは認められないと批判しています。
──関電の「類似箇所の点検はいらない」の考えは、国に厳しく非難される
原発のある箇所を点検すれば、それと類似する箇所は点検しなくてもよいと、関電は国に無断で判断していました。このことは事故後明らかになり、保安院は、「類似箇所を点検しないのは甚だしく不適切。妥当でない」と批判しています(注)。
──関電は国に無断で肉盛り溶接していた
大飯原発1号機では、二次系配管が薄くなっていたところに外から肉盛溶接をしていました。事故後これが判明され、福井県原子力安全専門委員会で厳しく批判されました(9月29日朝日新聞福井版)。
──大飯原発1号機で違法運転
大飯1号機では、ひどい減肉を放置したまま運転を続けていました。
大飯1号では、主給水管のエルボ部でひどい減肉があり、法的な規制値である「計算上必要厚さ」を5年ほど前にこえて減肉が進んでいました。それを放置したまま原発を運転していたのです。保安院はこれは違法運転であると指摘しています(注)。
──電気を安くするために原発の安全は犠牲に
関電は電力自由化の中で電気を安くつくるために、「徹底した効率化」をはかっています。その中の重要事項として、原子力の利用率を上げること、及び修繕費等を削減することの2点が掲げられています。
(2004年5月関電「経営概況」http://www.kepco.co.jp/ir/outlook/16gaikyou.pdf)
[事故後]
──福井県知事に言われるまで原発を運転し続けた
美浜原発3号機事故が起こった8月9日の直後に、関西電力はこのような事故が起こっても他の原発は止めないと発表しました。西川福井県知事が、「あらゆる原発を止めてでも速やかに点検してほしい」と強く要請してはじめて、関電は原発を止めはじめました(8月13日福井新聞)。
──関西電力が国から厳しい処分を受ける
9月27日、中川経産大臣は関電に対し、定期安全管理審査の評定結果の取り消し及び再評定の通知を出しました。これによって、昨年10月以降に定期検査が終了した美浜1号機、高浜3号機、大飯2号機はランクBから最低のランクCに下ろされました。ランクCとは、「当該審査を受けた組織は、定期事業者検査の実施につき重大な不適合があり、品質マネジメントシステムが機能していない」というランクです。これが関電の原発の品質マネジメントシステムの実態です。
(http://www.meti.go.jp/press/0005608/0/040927hyotei.pdf)
このような企業文化を持つ会社のトップが、再処理事業を担う日本原燃の会長をつとめており、核燃料サイクルを進める電事連の会長に君臨しています。
以上
注:美浜原発3号機事故をめぐって、9月13日に衆議院第一議員会館で原子力安全・保安院との交渉がもたれた。衆議院の稲見議員(民主党)が設定、福島瑞穂議員(参議院議員、社民党)が出席。市民側は、東京、福井、大阪、京都、新潟、宮城などから参加。保安院からは、検査課の荒川氏と森下氏、防災課から白神氏が出席。
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