12月22日:福井県知事の再稼働同意表明への抗議声明

福井県知事の再稼働同意表明に抗議する

福島原発事故の教訓と、住民の声に根差して
高浜原発3・4号の再稼働反対の運動を強めよう

 福井県知事は本日12月22日午前11時過ぎに、高浜原発3・4号の再稼働に同意すると表明した。今夕にはその旨を林経産大臣に直接伝えるという。私たちはこれに断固抗議する。

知事の同意表明は、住民の声を聞こうともせず、自らの責任は棚に上げ、形だけの「国の責任」にすがりつくものだ。

「安全対策や事故時の対応に国が責任を持つ」と経産大臣が語り、安倍首相が原発推進を改めて語ったことを知事は評価した。しかし、事故が起これば国が責任を取らないことは、福島原発事故の避難者のおかれた状況から明らかだ。ふるさとを奪われ、避難した人も残った人も3.11前の暮らしを取り戻すことはできない。甲状腺がんを発症したわが子の苦しみと母の苦しみ、それでも前を向いて生きていく避難者たちの無念と苦悩と希望。帰還政策においたてられ、人生の最後をふるさとで過ごすために戻ってくる高齢者たち。これが今も続く福島の現実だ。形だけの「国の責任」という言葉で再稼働に同意した「知事の責任」が厳しく問われる。

知事は「国民理解の促進」という要望について、全国で国主催のシンポジウム等を開くことを約束させたと自慢げだ。しかしこれは、再稼働を進めるためのもので、住民の声を聞くものではない。
そもそも、県主催の住民説明会は開かないと断言している知事は、福井県民と周辺住民の声を聞くことから始めるべきではないのか。

福井県外での「中間貯蔵」推進について、国の取り組みを確認したという。しかし、舞鶴市・宮津市・京都府はすぐさま中間貯蔵建設反対を表明し、関電社長は京都府内には建設しないと公言した。再稼働推進のための、実現の見込みのない、形だけの「中間貯蔵」計画に知事はしがみついている。

福井県原子力安全専門委員会による安全性の検証も知事の同意表明の前提条件だった。基準地震動700ガルは過小評価だとして委員の一人が報告書を厳しく批判したが、中川委員長はそれを無視して12月19日に報告書をまとめてしまった。そのような報告書であるにも関わらず、知事はこれを了承した。
関電と国の事故想定と被ばく評価は、福島原発事故を無視したものだ。原子炉容器の底が抜け溶融燃料が格納容器内に出る頃には放射能放出はほぼ止まり、原発から5kmの住民の被ばくは1ミリシーベルト以下とした。知事は住民に対して、この余りの過小評価を受け入れよというのか。

国の防災会議は12月18日に避難計画を了承し、「具体的で合理的」と評価した。しかし、30km圏内では、安定ヨウ素剤は各市町に1か所かせいぜい数か所で備蓄されているだけで、事故後にどうやって配布するのかさえ決まっていない。要援護者の避難手段や避難先は具体化していない。屋内退避によって、薬も食料も底をつき、介護者も来ない中で要援護者の命は危険にさらされた。これら「逃げ遅れた人々」の教訓は無視されている。

このような避難計画の実態を知った母親たちは、子どもを守るため新たに行動を始めようとしている。若狭町の住民が実施したアンケートでは、住民説明会の開催、事故と再稼働への不安や反対の多くの声が写し出されている。

福井県知事が最も恐れている草の根の住民の声に根差して、福島原発事故の教訓を起点として、高浜原発3・4号再稼働反対の運動を一層強めていこう。再稼働を止めよう。

2015年12月22日

避難計画を案ずる関西連絡会
(連絡先団体 グリーン・アクション/原発なしで暮らしたい丹波の会/脱原発はりまアクション/原発防災を考える兵庫の会/美浜の会)

この件の連絡先:
グリーン・アクション
京都市左京区田中関田町 22-75-103 Tel: 075-701-7223 Fax: 075-702-1952

美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会(美浜の会)
大阪市北区西天満 4-3-3星光ビル3階 TEL: 06-6367-6580 FAX: 06-6367-6581

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