共同声明:関電の火山灰問題 5月29日の原子力規制委員会の決定を踏まえて

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規制委員会は関電に対し、設置変更許可申請の提出を命ずる手続きを開始
規制委員会は、直ちに原発の運転停止を命じて、火山灰の再審査を行うべき

原子力規制委員会は5月29日の委員会で、関西電力に対して大山火山灰の新知見に基づき、関西電力に対して、12月末を期限とした設置変更許可申請の提出を命じる手続きに入ることを決定した(「大山火山の大山生竹テフラの噴出規模の見直しに係る今
後の規制上のアプローチについて※1)。
関西電力が設置変更許可申請を出す意思がないことから、今回、規制委員会が原子炉等規制法43条に基づく「バックフィット命令」を適用する初めてのケースとなる。行政手続法に基づき、6月12日を期限に関電に対して弁明の機会を与え、関電の弁明書を踏まえて、設置変更許可申請の提出を命ずる「バックフィット命令」の発出について規制委員会が決定することになった。

規制委員会が求めた設置変更の前提となる新知見は:
・大山生竹火山灰(DNP)の噴出規模は約11km3とする。
・関電が主張するDKP(大山倉吉火山灰)とDNPが一連の巨大噴火であることを否定し、DNPは関電3原発(大飯・高浜・美浜)の火山影響調査で想定すべき自然現象である。

現行の原発敷地での火山灰最大層厚10cmは、許可基準規則第6条等が求める「想定される自然現象」に照らして過小評価であり、火山影響評価にかかる基本設計ないし基本設計方針は不適当だと認めた。設置変更許可申請と同時に、火山灰対策の保安規定等についても変更を求めることになる。これらによって、基本的には関電の火山灰問題は審査のやり直しとなる。

しかし一方で規制委員会は、大山は活火山ではなく噴火が差し迫った状況にはないとして、直ちに原子炉の停止を求める必要はないとした。設置変更許可の申請期限を12月末としたが、その後の改造工事や手順書の変更については期限すらなく、危険な原発は違反状態で動き続けることになる。原発の基本設計が規則に違反していることを認めているのに、原発の停止を認めないことは断じて許されない。

他方、関西電力は4月23日の規制庁との非公開の面談で、「DKPとDNPは一連の巨大噴火であることの説明性を更に高める」よう検討中と表明し、現行の噴出規模5km3を変更する必要はないと主張している(※2)。傲慢極まりない態度だ。

規制委員会は、直ちに原発の運転停止を命じて、火山灰の再審査を行うべきだ。

2019年5月29日
8団体:避難計画を案ずる関西連絡会/グリーン・アクション/原発なしで暮らしたい丹波の会/美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会(美浜の会)/おおい原発止めよう裁判の会事務局/国際環境NGO FoE Japan/福島老朽原発を考える会/原子力規制を監視する市民の会

連絡先団体:美浜の会 大阪市北区西天満4-3-3星光ビル3階
TEL:06-6367-6580 FAX:06-6367-6581
原子力規制を監視する市民の会 東京都新宿区下宮比町3-12-302
TEL:03-5225-7213 FAX:03-5225-7214

※1:5月29日規制委員会資料(決定内容は1~2頁) 
http://www.nsr.go.jp/data/000271367.pdf
※2:4月23日 関電と規制庁の面談資料 
http://www2.nsr.go.jp/disclosure/meeting/ETS/index.html

ダウンロード:関電の火山灰問題 5月29日の原子力規制委員会の決定を踏まえて(PDF)
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