日本原燃への抗議・要請文:臨界管理の基本に係るウラン・プルトニウム混合溶液の2重供給──温度計異常警報の原因も不明のまま運転を継続──「安全文化」の欠如する日本原燃はアクティブ試験を中止すべきだ
2007年3月19日
貴社は、3月11日に、臨界管理の基本にかかわる重大なミスをおかしました。ウラン・プルトニウム混合粉末の入った脱硝皿に、さらに2重に混合液(MOX溶液)を供給したということです。同様の「異常事象」は昨年11月にフランス・アレバ社のカダラッシュMOX燃料工場でも起こっていますが、そこでは国際原子力事象評価尺度(INES)でレベル2とされ、「安全文化」にかかわる重大な事態と捉えられています。
いつものことながら、貴社の公表の仕方には、事実を人々に分かるように正確に伝えるという基本姿勢が著しく欠如しています。具体的に何がどのように起こったのか、貴社の発表文だけからはほとんど何も把握できません。また、新聞報道を見ても、今回は特に事実関係が分かりにくい内容になっています。そのような説明しか貴社はしないまま、ただ安全上の問題はなかったという印象だけを人々に与えるやり方がなされています。まずは、このことに強く抗議します。
今回の事態は、全自動工程における温度警報に端を発しています。脱硝皿の温度を測定する温度計が突然警報を発したのです。しかし、なぜ温度計が異常警報を発したのか、その原因が分からないままに、全自動を半自動に切り替えて運転を継続しました。混合脱硝工程という重要な工程で、異常発生の原因も把握できないままで運転を継続したのは安全性をないがしろにするものです。スケジュール優先の措置がとられたということです。
次に、半自動工程になったために、作業員が指示を出したり事実確認をする必要が生じ、そここで2重のミスが起こっています。脱硝工程を終えた脱硝皿を移動する指示が出されず、次に混合液を供給すべき皿が空であることを作業員が確認することを怠ったのです。さらに、このようなミスがあることに気づいたのは別の作業員だったということです。温度警報からこの確認まで1時間半が経過していますが、その間の具体的な経過が明らかにされていません。
一つの脱硝皿にウラン・プルトニウム混合溶液を2重に供給するなどということは、臨界事故防止の管理の基本に反することです。安全管理に不可欠な重要な位置を占めているはずの貴社の保安規定に違反するという重大事態を起こしているのです。
貴社は「今後は、誤供給が起きないよう、手順の見直しや設備の改善等を行うことを考えています」と、いつものように直ちに対症療法的な方向に言及しています。しかし、なぜ温度警報の原因も不明のまま運転を継続したのか、なぜ2重の管理ミスが起こったのかなどを徹底調査し、管理上・システム上の根本的欠陥を解明することを優先すべきです。
私たちは、このような重大な事態を起こした貴社の姿勢に強く抗議するとともに、以下の点を要請します。
- 「安全文化」にかかわる問題が生じたことに鑑みて、アクティブ試験を直ちに中止すること。
- 今回の事態を起こした管理上・システム上の根本的な欠陥を明らかにすること。
- 今回の事態について、詳細な事実関係と原因を公的な場で説明すること。
- 貴社の「トラブル等事例集」では今回の事態は想定されていない。No.7−09では「脱硝粉取扱い量は変化しないことから、臨界等の事象は発生しない」と書かれている。それなら、臨界の起こりうる具体的な条件とその防止策について明らかにすること。
2007年3月19日
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