東京電力、原子力規制委員会、資源エネルギー庁に対する抗議文:汚染水の海洋放出に抗議する
汚染水の海洋放出に抗議する
本日(5月21日)、東京電力はこれまで貯めていた約560トンの汚染水を海洋に放出した。政府はこれを積極的に容認した。この無謀な行為に強く抗議する。
今回の放出は、これから1日あたり100トンの汚染水を放出する皮切りとなる。年間最大で1.8億ベクレルのベータ線放射能と550億ベクレルのトリチウムが海洋に放出されることになる。濃度規制はあるものの、放出総量は規制の対象からはずされている。
12カ所の地下水バイパスくみ上げ井戸は、膨大な汚染水が貯蔵されているタンク群の下流にある。昨年8月に漏えいした300トンの高濃度汚染水は、2ヶ月を経て約20メートル離れた観測井戸E−1に到達したが、そのような影響がこれから地下水バイパスくみ上げ井戸に及ぶのは必至である。現に、No.12井戸のトリチウム濃度は、4月15日に運用目標の1500ベクレル/Lを超え、その後も高いレベルを維持している。ただし、政府はNo.12井戸のトリチウム濃度上昇の原因は分かっていないという。このような状況で、海洋放出に踏み切った行為は到底認められるものではない。
他面、この海洋放出は、福島第一原発の汚染水がいかに深刻な問題であるかを表している。ひとたび原発事故が起これば、海洋汚染は免れ得ないことを如実に示している。
膨大な汚染水の存在と日々の増大は、福島第一原発事故の継続であり拡大である。どのルートで汚染水が格納容器の外にでてくるのか、そのルートが開いた原因は地震によるものか等は何も解明されていない。それにも関らず、他の原発の再稼働審査では、汚染水対策は避けてとおるように完全に棚上げにされている。
いまは、汚染水問題に全力で取り組むべきときであり、再稼働審査は棚上げにすべきである。
海洋放出された放射能は生物濃縮され、海流や魚によって各地に運ばれていく。海は国際的につながっている。人類や生物の生みの母、育ての母である海を汚染する行為は決して許されるべきではない。
ゆえに、強い抗議の意思をもって以下を要求する。
・直ちに汚染水の海洋放出を中止せよ。
・汚染水対策に全力を挙げ、再稼働審査を中止せよ。
2014年5月21日
反原発・かごしまネット/玄海原発プルサーマルと全基をみんなで止める裁判の会/グリーン・アクション/フクロウの会/国際環境NGO FoE Japan/美浜の会