9月15日:八尾市長へ 高浜原発3・4号再稼働反対と原子力災害避難計画等に関する質問と要望
4月14日に福井地方裁判所が出した高浜原発3・4号運転差止め仮処分決定【資料1】では、基準地震動の過小評価、重要施設の耐震安全性の軽視等を踏まえ「万が一の危険という領域をはるかに超える現実的で切迫した危険である」と断じています。さらに、これらについて、新規制基準が規制の対象としていないことを問題とし、「新規制基準は緩やかにすぎ、これに適合しても本件原発の安全性は確保されていない。新規制基準は合理性を欠くものである」と厳しく批判しています。
一方、原子力規制委員会は4月22日に原子力災害対策指針を改定し30km圏外の防護対策は必要なしとしてしまいました。しかし、関西広域連合の4月23日付の国への申し入れ【資料2】にもあるように、今回の改定は「実測値のみに基づく防護措置の実施、UPZ外の地域における防護措置のあり方等について」大きな問題があり、住民の安全を守るものとはなっていません。
この問題について、全国知事会は7月29日に、現在の指針では「住民の被ばくを前提に避難指示等を行うこととなるほか、早い段階からの対応が必要な要支援者等への対処が遅れかねない」。そのため「避難ルート等の検討や準備などには放射性物質の拡散を予測する情報が必要と考えられるため、国においてSPEEDI等の何らかの予測手法を活用する仕組みを構築すべきである」と求めています。
また、8月の原子力災害対策指針の改定では、避難時の検査・除染の省略等が盛り込まれました。これについて滋賀県は、検査の省略では住民の安全や避難先の汚染防止拡大を防ぐことはできないとして反対の意見を出し(規制委員会のご意見募集で)、独自に全員に避難時の検査を実施することを決めました。
このように、規制委員会の指針では住民の安全を守ることができないと、自治体から反対の意見が出されています。
他方、関西電力は大飯原発3・4号機、高浜原発3・4号機の再稼働に向けて準備を進め、老朽化した高浜1・2号機についても運転延長を求めるなど原発推進の動きを強めています。高浜3号については、仮処分裁判の最中であるにもかかわらず、国は使用前検査を開始し、関電は10月中旬に核燃料を装荷し、11月中に原子炉を起動させる計画を国に出しています。
このような状況を踏まえ、八尾市としても、原発の再稼働に反対するとともに、原発の安全性や原子力規制を検証する専門家による第三者機関の設置を、大阪府や関西広域連合に求めてください。
また、八尾市は、若狭の原発で事故が起こった場合に、滋賀県長浜市民1,889名を受け入れることになっています。この受け入れ計画等について、下記の質問と要望に答えてください。
【質問事項】
- 長浜市民の受け入れ計画について
- 汚染検査(スクリーニング)と除染の省略等について
- 汚染検査の基準120Bq/cm2(40,000cpm)について
- 事故時の八尾市民の対策(安定ヨウ素剤の備蓄等)について
- 地方自治体職員やバス運転手等の被ばく線量限度について
- 自然災害と原発事故の複合災害及び孤立集落の問題について
- 国の基準や原発の安全性を検証するために
【要望事項】
- 現状では避難計画の実効性はなく、住民の安全を守ることはできません。避難出来ない孤立集落の問題もあり、原発の再稼働は認められないと表明してください。
- 原子力災害対策指針の改定版では住民の安全は守れません。改定指針に反対を表明し、独自のPPA対策、避難者全員の検査等を検討するよう、大阪府及び関西広域連合に求めてください。
- 八尾市独自に、安定ヨウ素剤の備蓄等を検討してください。
- 原発事故時に避難誘導や物資の輸送などにあたる地方自治体職員やバス運転手等の被ばく線量限度の引き上げに反対してください。
- 福井地裁の高浜原発3・4号の運転差止仮処分決定を尊重し、高浜原発3・4号の再稼働は認められないと表明してください。
- 原子力規制基準や原発の安全性について検証・検討するために、大阪府及び関西広域連合として独自に第三者の専門家による委員会を設置するよう求めてください。
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