大飯原発のFO-B〜FO-A及び熊川断層の3連動評価、 「現状に関する評価会合」等に関する質問書
「現状に関する評価会合」等に関する質問書
原子力規制委員会 御中
2013年4月23日
「大飯発電所3・4号機の現状に関する評価会合」について、3連動評価、地震動、制御棒挿入性、敷地内断層及び津波等、さらに今後の検討方式について以下の点を質問します。
1.大飯3・4号機の特例扱いについて
原子力規制委員会は現在新基準の策定作業中(パブコメも含めて)である。大飯3・4号機以外については、7月に新基準が策定された後に、申請を受け付け審議することとなっている。申請の前提としては
・防潮堤が完成していること
・破砕帯調査中の原発は結論が明らかになっていること
・免震重要棟が完成していること等々が必要としている。
しかし、大飯3・4号機については、これら申請の前提条件が現時点では存在しない。
(1)それにも関わらず、大飯原発だけ特例扱いにして、現在も運転継続を許し、代わりに「大飯発電所3・4号機の現状に関する評価会合」で新基準との適合性を評価するとしている。この措置は、原子力規制委員会設置法など関連法規などのどの条文によるものか。
(2)関西電力は4月18日に「大飯原発3・4号機 新規制基準適合性確認結果について(報告)」を規制委員会に提出した。規制委員会は、4月19日に第1回評価会合を開き、審議を開始した。
これとは別に、大飯原発が9月に定期検査で止まり、その後に再稼働の申請をする場合には、新たに設置変更許可申請書、工 事計画の認可又は届出、保安規定の変更認可書を提出させ、正式な審査を行うという理解でよいか。
2.活断層の3連動及び基準地震動の基本的確認点について
基本的確認点として、以下の点は確認できるか。
(1)4月19日の「第一回大飯発電所3・4号機の現状に関する評価会合」に原子力規制委員会から提出された資料1−4及びそのときの島崎委員長代理の発言によれば、規制委員会としては、FO-B〜FO-A及び熊川断層が3連動することを前提として大飯3・4号機の安全性を評価するべきだとの考え方に立っていること。
(2)関西電力は福井県への説明等で、3連動したときの地震動は現行700ガルの1.46倍になるとしている。すなわち、約1000ガルの基準地震動を想定する必要があることになる。
3連動を認めた場合、基準地震動は当然見直され、それに基づいて大飯3・4号機の耐震安全性は全面的に評価し直されること。
3.制御棒挿入性について
3—1.現行2連動での制御棒挿入性評価について
(1)大飯3・4号機の制御棒挿入時間について、現行で政府が耐震バックチェックで審査し了承した値は2.16秒であることは間違いないか。
3−2.制御棒挿入時間の評価基準値2.2秒について
(1)大飯3・4号機の制御棒挿入時間の評価基準値2.2秒は、設置変更許可申請書の添付書類八及び十に書かれており、それで審査されて設置許可を受けていると理解してよいか。
(2)もし活断層が3連動して挿入時間が2.2秒を超える場合、現行の設置変更許可申請書に立つ限り大飯3・4号機は運転できないのではないか。
3−3.制御棒挿入性に関する原子力安全基盤機構(JNES)の評価について
制御棒挿入時間に関して、原子力安全基盤機構(JNES)は、試験結果に基づいて実機(大飯原発クラス)に関する解析結果を示している。それは2012年3月13日の原子力安全委員会検討会の総検第5−3号の中での原子力安全・保安院の見解において、図6.4.4-1として29頁に記述され、7頁及び27頁で引用されている。
(1)3連動したときの制御棒挿入時間
27頁で保安院は、大飯3・4号機における制御棒挿入遅れ時間はJNESの示す図6.4.4-1グラフのように、地震動(ガル)に比例して延びることを認めている。この事実に従えば、3連動したときの挿入時間は2.2秒を超えるのではないか。
(2)約1560ガルでも2.2秒程度で挿入されることについて
7頁において原子力安全・保安院は自らの見解として、1560ガルでも「2.2秒程度」で制御棒が全挿入されると述べている。
� 前記図6.4.4-1に基づけば、挿入時間は約3.26秒になるのではないか。
� 2.2秒程度という判断はJNESの図6.4.4-1から、具体的にどのように導かれるのか。
3−4.ストレステストとの関係
(1)ストレステストでは、制御棒挿入性は完全に評価対象から除外されていたのが事実だか、その認識でいいか。
4.活断層の認定について
地震・津波の新基準を含め新たな「新規制基準」については策定中であり、現在は、現行の「耐震設計審査指針」やその手引き、解説などが基準となっている。
「手引き」では、活断層の認定にあたって、安全側の判断を行うことを強調し、その「解説」では、「すべての調査方法で活断層の存在が必ず確認されるとは限らないので、いずれかの調査手法で相当程度の確からしさをもって認定できる場合」には、安全側の判断を行うよう求めている。
(1)「相当程度の確からしさ」とは、確実に確定できる場合とは異なり、「耐震設計審査指針」や「手引き」で書かれているように、「後期更新世以降の活動が否定できないもの」「断層運動が原因であることが否定できない場合」というように、「活断層が存在する可能性が推定される場合は,・・・-安全側の判断を行う」(「東北電力東通原子力発電所敷地内破砕帯の調査に関する有識者会合」第1回評価会合(2012年12月20日)粟田泰夫委員資料3頁)という理解でよいか。
5.F−6破砕帯について
7月の新基準策定後の再稼働申請について、破砕帯調査を実施中の原発については、規制委員会での結論が出るまでは申請さえ行うことができないことになっている。
(1)大飯3・4号機は破砕帯調査の実施中であるのに、なぜ新基準適合性の評価が行えるのか。
(2)現行の耐震設計指針でも地震・津波の新基準骨子でも、Sクラスの下に、活断層があってはならないとなっている。F−6の直上にはSクラスの非常用取水路が通っている。破砕帯調査では、活断層か地すべりかの結論は未だ出ていないが、「将来活動する可能性のある断層等」に地すべりを含める新基準に照らせば、大飯3・4号機は現状のままでは運転できないという認識でよいか。
6.津波について
規制委員会は、4月19日の第1回評価会合「資料1−4」で、津波波源の設定として、「日本海東縁部、海域活断層等により、適切に設定しているか。また、福井県が平成24年9月に発表した津波シミュレーション結果について、これを精査の上考慮しているか」等をあげている。福井県の津波シミュレーションでは、大飯原発のある大島付近では、津波高さは5.01メートルとなっている。
(1)関西電力は、大飯原発の津波高さを2.85メートルと評価しているが、これは認められないという認識でよいか。
(2)新規制基準の地震・津波骨子6.(2)「基準津波の策定方針について」の�において、「基準津波による遡上津波は、敷地周辺における津波堆積物等の地質学的証拠や歴史記録等から推定される津波高及び浸水域を上回っていること」とされ、�において、「必要な調査範囲を地震動評価における調査よりも相当広く設定した上で、…既存文献の調査…等の特性を活かし、これらを適切に組み合わせた調査を行うこと」とされている。
しかしながら、関西電力の津波堆積物調査は、大飯原発からはるかに離れた三方五湖周辺で局限的に行われたにすぎず、文献調査についても福井県内寺社の聞き取り調査から1586年の「天正地震」による大規模な津波を裏付ける痕跡がない、したがって大津波はなかったとしているにすぎない。
京都府真名井神社の伝承など、文献調査の範囲を京都府に拡大したうえで津波高さの想定を行わせるべきではないか。
7.まずは運転を止めるべきではないか
(1)活断層が3連動したときの安全性やF−6破砕帯の評価、津波評価等はこれから確認されることになり、現在は確認されていない以上、まずは大飯3・4号機の運転は止めてから安全評価を行うべきではないか。
2013年4月23日
おおい原発止めよう裁判の会/グリーン・アクション/美浜の会/原子力規制を監視する市民の会/フクロウの会/FoE Japan