京都市:大飯原発即時停止と、 原子力防災計画策定に関する要望書

京都市長 門川 大作 様

大飯原発即時停止と、
原子力防災計画策定に関する要望書

  1. 大飯原発3・4号機の即時運転停止を、
    政府と原子力規制委員会および関西電力に求めてください。
  2. 実りある原子力防災計画を立てるため、
    市と市民とがより一層恊働できる方法を検討してください。
    意見募集と平行して、説明会と公聴会などを開催してください。

(1)昨年、夏の電力供給が不足するとの理由で大飯原発 3・4号機が再稼働されました。福島事故後の教訓を反映する新たな安全基準も作られないままでの見切り発車でした。その後、夏の需要 のピーク時も含めて「原発ゼロでも電気は足りた」ことが明らかになり、今も十分足りています。しかし、今度は「原発なしでは電気料金の大幅値上げが避けられない」として、電力会社の経営問題と経済への悪 影響を理由に、大飯原発3・4号機を稼働し続けています。経済優先、安全軽視の原発再稼働は認められません。
 しかも、大飯原発敷地内の活断層の危険性が指摘され、規制委員会による検討が継続中です。現地調査を経て、1月16日に行われた直近の評価会合終了後も、活断層を否定できる結論は出ていません。福島事故前(2010年12月20日)に発行された国の「発電用原子炉施設の耐震安全性に関する安全審査の手引き」に従えば、活断層の可能性が否定できない限り、大飯原発の運転は停止されなければなりません。安全審査の手引を守って、大飯原発を即時停止するよう、政府と原子力規制委員会、そして関西電力に要請して下さい。特に広域連合の構成自治体として、関西電力の大株主として、強く要請していただくことを求めます。
 この1月16日、京都市民を含む全国の市民が、原子力規制委員会に対して、「もう待てません! 大飯原発止めよう署名」 14,492筆を提出しました。この署名は、京都府を含め、福井県、関西 2府4県、岐阜県の各知事宛の署名でもあります。この署名は、年末年始にかけて、食品の放射能汚染を心配する生協や、北海道から沖縄の多くの人々が集めたものです。署名の意思を汲んで、大飯原発の運転 停止を強く求めてください。

(2)私たちは京都市が市民を守る立場から防災計画の策定にご尽力くださっていることに感謝しています。しかし、関西電力は京都市との安全協定(事前了解を含む)締結を拒否し続けています。防災の義務だけが課されている状況はアンフェアであると思います。
 また、独立性をうたった原子力規制委員会の権限も、経済界からの圧力によって、心もとないように市民の目からは見えます。原子力災害は 自然災害とは違って、稼働を止めればとりあえず危険性を小さくできます。にもかかわらず、防災計画の策定が急がれている背景に「まず再稼働ありき」の姿勢があるように思われてなりません。
 そもそも地域防災計画の元となる国の「原子力防災指針案(避難の 基準等)」は現在検討中であり、その基準等をめぐっては、より安全サイドに立つのか産業側に配慮するのか綱引きが続いています。
 そういった中で、防災計画を策定するにあたっては、市民の不安を払拭するため、市民の目線に立って、なるべく市民と一緒につくっていく という姿勢を大事にしていただきたいのです。
 さる1月16日、北海道から九州まで各地の市民が集い、原子力防災指針について規制庁との交渉を行いました。そこで示された疑問点を京都市にも共有していただきたいので以下に示します。これらに応える防災計画を京都市と京都市民とが一緒につくっていけるような京都モデルのやり方を検討していただけないでしょうか。

  • 規制庁の「原子力防災指針案(避難の基準等)」は福島原発事故の 避難政策を重視したとされ、原発事故に備えた緊急時防護措置準備区域(UPZ)は「概ね30�」に設定されています。しかしこれは福島原発事故の避難の実態を反映しておらず、範囲が狭すぎます。京都市は京都府とともに独自に32.5�に拡大され、市民を守るために努力していただいていますが、福島原発事故では、40�離れた飯舘村は高汚染で避難地域となり、60�離れた福島市の渡利地区では年20mSvの汚染が見つかっています。京都市の場合、大飯原発から60�は嵐山、円町、二条城、京都市役所・京都御所、平安神宮、大文字まで含まれる地域です。また福島県をはるかに超える関東圏まで一時広く放射性ヨウ素に汚染されたことも明らかになっています。
    これらの実態を踏まえ、広範囲に生活する京都市民を守る防災計画を立てて下さい。
  • また「原子力防災指針案(避難の基準等)」は妊婦や子どもの避難 基準もない等多くの問題点があります。国が定めている放射線管理区域の基準(毎時換算0.6μSv)と比較すれば、OIL1= 500μSv/h、OIL2=20μSv/hはあまりに高い値です。放射線管理区域は18歳未満が立ち入り禁止の区域であり、これよりはるかに高い数値を妊婦・幼児・子どもに強いるのは許されません。放射線管理区域は平常時用の基準だという理由は理由になりません。
    妊婦・幼児・子どもを守る防災計画を策定できるよう、妊婦・幼児・子どもを守れる避難基準を示すよう、国に求めてください。
  • 16日の会合で、規制庁は、拡散シミュレーションの全データ公表の方法や時期を含めて検討すると回答しました。現在は、最も被ばくの厳しくなる値3%をカットしています。大飯原発で事故が起こった場合に、京都市民の被ばく量について具体的に示せるよう、資料 の開示と説明を行うよう国に要請してください。また京都市民に対しても説明を行うよう、国に求めてください。
  • 京都市は、規制庁のシミュレーション(IAEAの基準でもある100mSv(毎時1000μSv))を基準にして防災計画の骨子を 策定しておられると思いますが、この数値は拡散範囲を過小評価したもので、京都市民に高い被ばくを強要することになります。規制庁事務局はこの半分である週50mSvを案として出しており、21日の規制委員会では、OIL(運用上の介入レベル)1(500μSv/h)、OIL2(20μSv/h)などが検討対象となっています。このOIL1の500μSv は京都市が「京都市地域防災計画原子力災害対策編」骨子策定時に採用した基準の半分の値になります。ゆえに週100mSvは現在規制庁が基準値として検討に採用していない数値であり、これをもとにしては防災計画を策定できないと思います。まず、現在規制庁が検討に採用している数値を採用した場合、どの範囲まで京都市は防災計画を作るべきなのか、国に確認してください。
  • 国の「原子力防災指針案(避難の基準等)」は現在検討中であり、今後パブコメにもかけられ、その後正式なものとなります。他方、各自治体では、規制庁のシミュレーション(週100mSv)を基に地域防災計画が策定されはじめています。基準が確定するまでは、自治体の防災計画の策定は困難です。このような状態で、3月18日までに策定するのは問題がある旨、国に伝えて下さい。

以上

2013年1月24日

アイリーン・美緒子・スミス(グリーン・アクション、京都市左京区)
小坂勝弥(京都の原発防災を考える会)
石田紀郎(市民環境研究所、京都市山科区)
西村敦子(アジェンダ・プロジェクト、京都市中京区)
児玉正人(原発なしで暮らしたい丹波の会、南丹市)
清本ゆきえ(3・11後の安全な暮らしを考える会、京田辺市)


参考資料:
大飯原発から60km(大飯原子力発電所から60km付近を地図に示してあります)

国の「審査の手引き」該当箇所
2010 年 12 月 20 日「発電用原子炉施設の耐震安全性に関する安全審査の手引き」

原子力災害帯スカ牛新(防災指針)に関する問題点