福井県への要望書:福井県の安全性判断に大きな誤りがあったことを認め 大飯3・4号機をまず停止させ、安全性を再確認してください

福井県の安全性判断に大きな誤りがあったことを認め
大飯3・4号機をまず停止させ、安全性を再確認してください
破砕帯の再調査を優先してください
制御棒挿入性の安全判断を再検討してください

福井県知事 西川一誠 様

 大飯3号機は7月1日に再起動を開始し、8月3日に本格運転に入りました。4号機は7月18日に起動し、8月16日に国の使用前検査を受けることになっています。安全性について何の保証もない大飯3・4号機がこのように運転を続けることに対し、憤りと不安の声が全国的に大きく広がっています。毎週金曜日の官邸前デモには20万人もの人たちが参加し、それに呼応する運動は26都道府県に広がり、大阪の関西電力前では2000名の人たちが抗議の声を上げています。
 大飯3・4号機の再起動は、福井県の安全判断とそれを踏まえた野田首相による再起動決定によって始まったものです。福井県の安全判断には、破砕帯の問題や制御棒挿入性の問題が含まれていましたが、そこには、次に述べるような大きな疑問のあることが明らかになっています。  
そのため、貴職におかれては、まず大飯3・4号機の運転を停止させ、安全性について再検討されるよう強く要望します。

1.大飯原発敷地内の断層調査について
 大飯原発敷地内を走るF−6破砕帯が活断層である疑いが浮上しています。2008年のバックチェックの中では、関電はトレンチ北側斜面のスケッチ図をわざと隠していました。福井県原子力安全専門委員会でもF−6破砕帯が議題に上りましたが、6月12日付の福井県原子力安全専門委員会の「報告書」は25頁で、「本委員会の確認結果」として、「大飯発電所敷地内の破砕帯については、保安院は耐震バックチェックにおいて、後期更新世以降に活動したものではないと判断している」と記しているだけです。結局、保安院の「活断層ではない」との発言に単に依拠しただけでした。
ところが、超党派の国会議員による現地視察、地震・津波に関する意見聴取会を経て、ついに保安院は再調査するよう関電に指示しました。この調査結果を待たない限り、断層の安全判断はできない状況になりました。破砕帯に関して福井県が下した判断は、事実上否定されたことになりました。
 断層の再調査に関しては、設置段階で関与したダイヤコンサルタントという三菱系の会社による調査では、正当な調査が行われるのかどうか、強い疑念を抱かざるをえません。ぜひ福井県として、第三者の専門家が調査・検証できるようにし、資料を全面公開するなど、県民の立場に立って調査を監視すべきです。断層調査を最優先にし、大飯3・4号機をまず停止させてください。

2.制御棒挿入性が成り立つような保証はありません
 大飯原発の傍を走る3つの活断層が連動するときに、制御棒が決められた一定時間2.2秒以内に挿入されるかどうかが、制御棒挿入性の問題です。その場合、活断層の3連動は関電によっても既成事実化され、現行基準地震動(活断層2連動時)Ssの1.46倍の地震動が起こることを認めています。
 この問題について福井県は、2.2秒は超えても差し障りはないかのような説明を全員協議会行いましたが、その考えは国によって明確に否定されています。事実、6月25日の市民団体と保安院との交渉後の6月27日付保安院文書回答においては、2.2秒は設置変更許可申請書に書かれている以上、設置変更許可申請書を再提出しないかぎり勝手に関電が変えることはできないと書かれています。また福井県は、現行の基準地震動時の評価値2.16秒は、実は1.88秒なのだという関電の考えを鵜呑みにしているのでしょうか。この1.88秒は国に報告さえされていない数値です。福島事故を踏まえて評価を厳しくすべきところ、大幅に評価値を引き下げるような、このような姿勢が許されていいのでしょうか。
 福島事故を踏まえて安全性についてより厳しい姿勢を堅持され、3連動の現実性、基準値2.2秒の厳守、評価値2.16秒の引き下げを許さないという観点に立ち、制御棒挿入性の安全判断を再検討してください。

 福島原発事故により、県民の地震による原発への影響を心配する声が大きくなっています。破砕帯という聞き慣れない言葉も知ることになり、破砕帯が活断層かどうかの関心も高くなっています。そういう県民の声を大切にし、安心を与えるためにも、大飯原発3・4号機の破砕帯の調査を関電や国にまかせることなく、県として第三者の立ち会いのもとに行うなど、県民が納得できる方法を提言してください。もし破砕帯が活断層であれば、地震によっていつ原子炉を破損するか分かりません。少なくとも破砕帯の調査が終了し結果が出るまで、大飯3・4号機の運転を停止させてください。

以上の観点に立って、特に次の点を要望します。

要   望   事   項

福井県の安全性判断に大きな誤りがあったことを認め、断層の調査を最優先させ、その調査の透明性をはかり、大飯原発3・4号の運転を停止すること。

2012年8月8日

原発設置反対小浜市民の会
福井県小浜市 小浜郵便局私書箱第3号
プルサーマルを心配するふつうの若狭の民の会
グリーン・アクション 
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美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会 
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