公開質問状:関西電力 原発停止による発電能力見込みについて
関西電力株式会社 取締役社長 八木誠殿
2012年3月23日
申請者 グリーン・アクション
代表 アイリーン・美緒子・スミス
関西電力 原発停止による発電能力見込みについて
2月20日に貴社の大飯原発2基が定期検査に入ったことを受けて、貴殿は、「原発が再稼働できなければ、電力が今夏25%不足するとの試算もある。大飯の2基では到底埋められない」と発表しました。これに関して日本経済新聞は、2月21日付けで貴社の25%不足の内容を報道しております。(p.10)
この25%電力不足の算出の前提になっている最大需要と最大供給電力には、実情に合わない数値が用いられており、電力不足を誇張することで市民、企業に不安を与える発表であると懸念しております。
今年の夏の電力供給についての貴社発表をグリーン・アクションが確認した結果は以下の通りです。
(1)情報公開が不十分
電力25%不足の発表は、一部の公式データのみによる発電能力を用いており、情報が十分に公開されていません。今年の夏の原発全停止は十分に予想されることですが、貴社自身が電力供給者として、原発全停止を想定しての電力量確保の計画を作成しているかどうかが不明です。
(2)発電能力が低く設定されている
2012年夏の電力25%不足の際の発電能力は2353万kWと設定されておりますが、この値は2011年夏の原発を除いた最大供給能力2728万kW(推定)に比べて375万kW低く設定されています。これは、稼働率の設定が低いうえに、電力会社以外の発電能力を十分に織り込んでいないことによるものです。さらに、資源エネルギー庁が通知している卸・IPP・自家発電の活用拡大や、需給調整契約の寄与も盛り込まれていません。
(3)最大需要が高く設定されている
2012年の最大需要を3138万kWと想定しておりますが、過去5年間の最大需要(*)は3095万kW(2010年)と、一度も3100万kWを越えたことはなく、過大な設定になっています。昨年の最大需要は2785万kWでした。
*過去最大需要:2785万kW(’11:最小)、3095万kW(’10:最大)、2795万kW(‘09)、3084万(’08)、3067万’07)
(4)電力不足を誇張して報告している 原発が全停止しても電力不足は発生しない
貴社の発表では、2012年の最大需要予測3138万kWと発電能力2353万kWとの差が785万kWであることから、25%電力不足としています。グリーン・アクションが貴社の計算手法を用いて計算した最大需要は2949万kWでした。発電能力は原発が全停止の場合でも少なくとも3051万kWが可能であり、電力不足は発生しないということになります。
2012年最大需要予測 | 発電能力 | 需要・能力差 | |
関西電力 発表/資料 | 3138万kW | 2353万kW | ▲785万kW(25%不足) |
グリーン・アクション 計算 | 2949万kW | 3051万kW | +102万kW(3.5%余裕) |
* 算出根拠については、p.2【質問2】、p.5【質問9】をご参照ください。
詳細については、下記、PDFをご覧下さい。
公開質問状:関西電力 原発停止による発電能力見込みについて(PDF)