「5名もの死者を出した美浜3号機事故の責任を問う8・29大阪集会」の集会決議

5名もの死者を出した美浜3号機事故糾弾。
関電に原発を運転する資格なし。
福井と関西の私たちが生き残るために、関電の原発を止めよう。

関西電力はついに5名もの死者を出す最悪の事故を引き起こした。私たちは断じて許すことができない。関電は、「お詫び」は口にするが、この事故の責任を認めていない。藤社長の土下座は単なるポーズにすぎない。関電の最大の関心は、社長と本社役員達が、いかにして刑事責任の追及から免れるかということだけである。JCO事故の時と同じことを関電は繰り返している。関電の責任を徹底して追及していかなければならない。

今回の事故では、2次系配管の破断によって、80%もの2次冷却水が一挙に噴出した。補助給水系が働かなければ、炉心溶融の可能性もあった。事故の直接の原因は、運転開始以来28年間1度も配管検査を行わなかったことにある。関電は28年の間に、破断した配管がリストから漏れていることに気づく機会は何度もあった。さらに事故の予兆も何度もあった。すでに今年7月には、大飯1号の2次系配管で、肉厚の法定限度を数年前に超えたほどのひどい減肉が見つかっていた。関電は、配管の減肉が見つかった部位を取り替えただけで、他の原発の検査を行わなかった。今回の事故は、安全無視、人命無視の、関電に深く染みこんだ体質が引き起こした事故である。起こるべくして起こった事故である。

さらに事故の背景には、定検短縮と手抜き検査で、老朽原発にムチうつ経済性最優先の危険な運転がある。本来なら老朽原発には手厚い検査が必要だ。しかし、電力自由化の中で経済性を追求するために、電力会社は、定検期間の大幅な短縮と稼働率のアップを競ってきた。関電の原発では、定検期間の平均は95年には160日だったものが、昨年では67日間と半分にまで短縮され、設備利用率は最近90%にまで達している。個々の原発では定検日数は30数日間という、ぎりぎりにまで短縮されている。さらに電事連は、18ヶ月連続運転を要求している。関電は、総発電量に占める原発の割合が飛び抜けて高い(関電57%、東電33%)。検査手抜きの背景には、全体のコスト削減のためには、原発にかかるコストを大幅に削減するしかないという関電の特殊事情もある。

事故から20日がたった現在、次から次へと明らかになる関電の安全無視、人命無視の体質の、その底知れない深さと不気味さに、私たちは強い恐怖感を抱いている。

関電は事故を引き起こした直後、「他の原発を止める必要はない」と強弁していた。福井県民の怒りを背に、福井県知事が止めるよう要求して初めて、原発を順次停止して検査に入った。知事が要求しなければ、関電は決して、原発を止めようとはしなかった。

事故後明らかになっている関電の原発管理のずさんな実態と、「安全感覚」の欠如は、信じがたいほどのものである。美浜3号の破断した配管は、検査のリストから漏れており1度も検査していなかった。同様に検査リストから漏れていたものは、6基の原発で17箇所も見つかっている。しかし関電は、このうち11箇所は、「他の原発から類推して安全」なのでリスト漏れには該当しないとまで言っている。「類推して安全」の思想は、全ての原発の検査など必要ないという危険な思想である。

また、美浜2号では、昨年9月の定検で2次系配管が国の基準以下に減肉しているのを知っていながら、隠し続けて1年間違法な運転を続けていた。関電は、原発の2次系配管の管理基準に火力発電所の基準を適用していた。今年5月に火力発電所の検査記録ねつ造事件が明るみになった時、関電は「火力と原発は別」、「原発は厳重に管理している」と何度も繰り返した。しかし「火力と原発は同じ」だった。火力の基準を適用して修繕費を削減し、検査や修理にかかる手間を省き、経済性最優先の危険な運転に邁進していた。そして、関電は「技術的には問題はない。安全性に問題はない」とまた居直っている。これは、「不正燃料を使っても、安全性に問題はない」としたMOX燃料データ不正事件の時と同じだ。ここまでくれば、関電の安全無視、人命無視は確信犯という以外にない。関電に原発を運転する資格はない。

関電が現在行っている、全ての原発11基での2次系配管の検査の実態もずさん極まりない。点検リストには載っているが、運転開始以来1度も検査をしていないのは1万1539箇所にも及んでいる。ところが、運転を停止して行う検査の対象は、なんと276箇所のみである。これは、未点検箇所のわずか2.4%にすぎない。これで安全が確認されたなどと、誰が信じることができようか。

私たちには、差し迫った危険がある。関電がまだ4基の原発の運転を続けていることだ。

この4基の原発では、運転開始以来1度も検査していない箇所が3千310箇所にものぼる。美浜1号で793箇所、大飯1号で781箇所、大飯2号で1,135箇所、高浜1号で601箇所。関電は、この4基について「過去の検査結果から安全」だとして運転を続けている。しかし、運転開始以来1度も検査していないのだから、「過去の検査記録」など存在しない。「安全」だとする根拠は全くなにもない。

さらに、点検リストに載っていない部位が健全だという保証は何もない。事実、米国トロージャン原発では、そのような部位でひどい減肉が進んでいた。今回の事故は、予測で健全性を判断するようなやり方自体に強い警告を発している。2次系配管の「管理基準」そのものが破綻していることを事実でもって示している。

5名もの死者を出した大事故を引き起こしながら、自らの責任も認めず、手抜き検査で「安全」を繰り返す関電。原発に火力の基準を援用している関電に、もはや原発を運転する資格などない。

関電がやるべきことは、現在動いている4基の原発を即刻止めること、そして検査に関する一切の情報を公開することだけだ。

関電の原発が動いている限り、大事故の危険は私たちをとらえてはなさない。超危険な関電に、福井と関西に暮らす数千万人の生命をもてあそばれるなど、まっぴらだ。私たちが生き残るためには、関電の原発を止める以外にない。

関電のみならず、国の責任も厳しく問われなければならない。傲慢極まりない関電の体質を放置しつづけてきたのは原子力安全・保安院だ。2次系配管は国の検査の対象外として、電力会社の自主検査にまかせっきりにしてきた。今回の事故は、2次系配管のずさんな検査と管理を了承してきた国の「安全規制」そのものが生み出した事故でもある。

また今回の事故は、核燃料サイクル路線そのものにも大きな警告を発している。関電は、プルサーマル計画再開のために、コジェマ社とMOX燃料製造の正式契約をこの9月にも行おうとしていた。関電プルサーマルはまたもとん挫した。六ヶ所再処理工場のウラン試験実施のための安全協定締結は、またも先送りとなった。この事故は、危険なプルサーマルと再処理工場を進めることへの警告でもある。

さらに今回の事故によって、美浜町長は、使用済み核燃料の「中間貯蔵」誘致を「一時中断」とすると表明せざるをえなくなった。東京では、国の原子力長期計画の見直し論議の真っ最中だ。再処理路線でいくのか直接処分でいくのかが主要な論点となっている。しかし、この二つの路線はともに、危険な老朽原発にむち打つことを前提にしている。使用済み核燃料が今後大量に生み出されることを前提にしている。「中間貯蔵」とは原発の延命のためのゴミ捨て場を確保することに他ならない。

老朽炉にむち打つ経済性最優先の危険な運転の実態、及び、関電と国の安全無視の実態を明らかにした今回の事故は、老朽原発の停止から、具体的に脱原発へと進むことを要求している。

  • まだ動いている関電の4基の原発を即刻停止させよう!
  • 事故を引き起こした関電と国の責任を徹底して追及しよう!
  • 事故と検査、配管のあるがままの実態に関する全ての情報を公開させよう!
  • プルサーマル計画を断念させよう!
  • 六ヶ所再処理工場のウラン試験を阻止しよう!
  • 老朽原発の停止から脱原発へと進もう!

連絡先

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TEL: 075-701-7223
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美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会
(代表:小山英之)
〒530-0047
大阪市北区西天満4-3-3
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